No. |
年度 |
号数 |
項目 |
会社 |
著者 |
概要 |
大分類 |
中分類 |
小分類 |
1 |
昭和29年 1954年 |
1 |
鉄塔の振動現象の研究について |
中国電力(株) |
村田可朗 |
中国電力においては大島線の鉄塔倒壊事故原因の究明,その補強工作の方針樹立を契機として,高鉄塔の振動現象の研究に手をつけている。この研究経過の概要をここに紹介する。昭和26年10月14日防府付近に上陸したルース台風よって,海峡横断の長径間,高鉄塔(径間長1138m,鉄塔地上高86m)の本土側が倒壊し断線する事故が発生した。この倒壊原因については種々考究されたが,その他に,かかる高鉄塔においては風の息による共鳴振動によって異常応力が発生し,破壊に至らしめることがあり得るのではないかという問題が提議され,この研究に取り組んだものである。 |
事故事例 |
その他 |
台風 自由振動 強制振動 減衰 周期 |
2 |
昭和29年 1954年 |
1 |
風害 |
東京電力(株) |
三好健夫 |
昭和28年2月3日の各新聞紙朝刊に,欧州ことに英国,和蘭を襲った暴風雨の記事が掲げられた。風速44mと報ぜられ,英国における被害は特に甚大なものがあった模様である。わが国も年々台風の襲来を受けており,その被害の程も察し得られるが,風速44mの暴風はあまり例がない。いま手許にある米誌Civil Engineeringの1950年12月号に米国マイアミを襲った暴風による被害が記載されている。この記事の中に,無線塔の受け報告もあり,また約15分間にわたって風速が150マイル毎時(67m/sec)を越えたものでもあるので,なんらかのご参考にもと思いご紹介します。 |
事故事例 |
その他 |
対数 風速 風圧 |
3 |
昭和29年 1954年 |
1 |
送電用鉄塔設計標準(JEC-127(1953)) |
石川島重工業(株) |
|
本規格は,架空送電線路に使用される鉄塔の設計に適用するものであって,鉄塔の種類,想定荷重,不平均張力,風圧,許容応力,部材および基礎についての規定ならびに解説からなっている。 |
設計技術 |
荷重 骨組 |
標準規格 JEC-127 |
4 |
昭和31年 1956年 |
2 |
強力鋼材(SS−50)を使用する送電鉄塔の総合研究 |
日本鉄塔協会 |
− |
現在送電用鉄塔に使用されている鋼材はJIS G 3101 SS41鋼材であって引張強度4100kg/p のものでありますが,外国では5000 kg/p 〜5700 kg/p 程度の鋼材を使用して,軽い鉄塔を一般的としていますので,今回政府より補助金を頂戴致しSS50なる引張強度5000 kg/p の鋼材を送電用鉄塔に使用する研究を実施致しました。試験実験は今尚実施中のものもあり,また終了した試験についても,単にその結果を検討せず報告するもので,詳細なる検討は今後になりますので,この結果は中間的な報告であります。従って後々詳細な報告においてこの結果の変更があるかもしれません。 |
材料 |
鋼材 |
引張試験 曲げ試験 降伏点 |
5 |
昭和31年 1956年 |
2 |
格子梁あるいは格子柱の計算 |
日本橋梁(株) |
石田昭 |
格子構造は綴鈑(帯板)と弦材との交わる節点をピンで置換えると不安定な構造となり,これにラチスを入れると安定なトラス式構造となる。後者は剪断力をラチスがうけもつからである。前者は剪断力に耐抗すべきものがないからである。格子構造は剛節点であるので,弦材の曲げ作用,いいかえるとラーメン作用によって剪断力に耐抗するわけである。ラチスを持つ場合は弦材の応力は軸方向だけと考えることができるが,格子構造とすると軸方向のほかに少からぬ曲げモーメントが加わってくる。いわゆる複合応力と受ける場合となるのである。従ってある程度以上の剪断力をうける梁または柱ではラチス式がすぐれていることは明白である。しかしある程度以下の構造では必ずしもそうではなく,弦材に余力があるときはラチスを廃して弦材を利用しつくす方が有利となる場合がある。加えて外観が美しくなる。最近変電所の鉄構などで格子構造材が用いられるのも,この理由にもとずくものと思う。いまこのような傾向があるので,ここに簡便で実用的と思われる解法の一例に就て述べる。 |
設計技術 |
骨組 解析手法 |
つづり板 座屈係数 複合応力 |
6 |
昭和31年 1956年 |
2 |
送電用鉄柱設計標準(JEC−128(1953)) |
日本鉄塔協会 |
− |
本規格は,架空送電線路に使用される鉄柱の設計に適用するものであって,鉄柱の種類,想定荷重,許容応力,部材,基礎および支線についての規定ならびに解説からなっている。 |
設計技術 |
荷重 骨組 |
鉄柱 支線 JEC-128 |
7 |
昭和32年 1957年 |
3 |
送電線支持物の技術討議会について |
電気学会 |
電力技術委員会 |
昭和25年頃から本格的な電源開発が行われ,昭和29,30年度では,わが国始まって以来の,容量的(最大出力)記録を得ている。この電源開発,特に,大規模水力電源開発に関連して,送電線路建設も盛んに行われ,亘長や送電電圧といった送電線設計の面での飛躍的な進歩ばかりでなく,技術的にもいろいろ新しい試みがなされた。いわば送電線技術の1つの転期であったが,支持物についても,多くの技術的改良や新しい考えが採られた。そこで,これらについて一度,関係者が集まって話し合って見ることは,今後の送電線支持物をより経済的に建設する上に非常に有意義ではないかというかねてからあった声に答えるべく,電気学会電力技術委員会主催の技術討議会を昭和30年12月9日に開催した。本稿は,その講演を取り纏めたものである。 |
設計技術 |
荷重 骨組 電源開発 |
送電線支持物 解析手法 亘長 電圧 |
8 |
昭和32年 1957年 |
3 |
本邦ならびに諸外国の送電用支持物 |
電源開発(株) |
堀貞治 |
送電線路も近年超高圧送電技術の発達によって,大距離,高電圧の送電線路建設が多くなった。わが国においても昭和16年に黒部笹津間に40kmの250kV設計の送電線建設以来,一時中断していた送電線の建設も戦後の昭和21年に200kV広島徳山線,伊丹姫路線が建設され,そして250kVの新北陸幹線が昭和26年に完成し,はじめて超高圧の運転が開始された。続いて250kVの西東京幹線が29年に完成した。さらにわが国第一の水力発電所となる佐久間発電所からの送電線は最高電圧287.5kVとして30年12月に完成した。一方,アメリカでは220kV時代が続いたが1954年に330kV送電が開始されている。スエーデンでは,すでに350kVで運転されている。また,ソビエトにおいても400kV送電線の建設中とのこと。さらに,わが国と国状の似た西独の電気設備は100kV以上の送電線では日本の2.7倍,200kV以上の超高圧にいたっては10倍もできている現状とのこと。 |
設計技術 |
骨組 |
送電線支持物 超高圧 プラットタイプ ダブルワーレン Kトラス |
9 |
昭和32年 1957年 |
3 |
送電線支持物の規格、規程 |
電源開発(株) |
山本義行 |
鉄塔および鉄柱の設計標準について,これに規定されている,想定最大張力に関する注意事項,あるいは許容力や部材の偏心荷重等の考え方ならびに提案がなされている。また,支持物に関する技術基準案と電気工作物規程との相違点について述べられている。 |
設計技術 |
荷重 強度 |
臨界径間 偏心荷重 抗張材 抗圧材 |
10 |
昭和32年 1957年 |
3 |
SK型鉄筋コンクリート柱 |
東京電力(株) |
萬野保 |
SK型コンクリート柱は,60kVに昇圧した岩室線181基に採用している。鉄筋コンクリートの本体は,四角断面であって,柱の下半分は線路方向の立面に穴が開けられている。この狙いは風圧力の軽減とコンクリート材の節約とされている。この型の採用理由は鉄柱に比べ30%のコストダウンとなることである。欠点は施工の難しさであり慎重な製作を要する。 |
設計技術 |
骨組 |
コンクリート柱 |
11 |
昭和32年 1957年 |
3 |
MC鉄塔の理論 |
大阪大学 |
七里義雄 |
MC鉄塔の特徴としてつぎの3点があげられる。まず第1は塔自体の風圧が少ないこと,すなわちパイプとアングルが同一断面積の場合(ただし,共に同一肉厚と仮定)パイプのd=0.64xアングル幅となり,抵抗係数ではアングルのほぼ1/2の0.9〜1.0となる。つぎに,主柱材とガセットプレートの結合は溶接で取付け,かつ腹材はその中心でボルト締めされるので偏心のない止め方となり,強度が低下しない。第3はコンクリートと鋼材との弾性係数比についてMC鉄塔ではn=6と考えており(試験結果でも確認している),この分鋼材の節約となる。 |
設計技術 |
荷重 解析手法 |
抵抗係数 偏心 弾性係数比 |
12 |
昭和32年 1957年 |
3 |
MC鉄塔の実際 |
日本MC |
広瀬一夫 |
本鉄塔はスイスのモーターコロンブス社が創業したもので,この頭字を簡略化してMC鉄塔としている。圧縮力が加わったときコンクリートを鋼管に充填することによって,鋼管とコンクリートと両方にそれぞれ掛かって鋼管だけのときより大きい圧縮力に耐える。一般に部材に引張力または圧縮力が掛かったとき必ず抗張力は大きく耐圧力が小さい。ゆえにトラス部材の鋼管にコンクリートを充填することよって圧縮力を引張力に同じかまたはそれ以上に増加させると鋼材を有効に使用することができる。このことより欧州ではスイス,ドイツ,フランスなどで10年位前から普及してきた。 |
設計技術 |
荷重 解析手法 |
モーターコロンブス社 充填コンクリート コンクリート弾性率 |
13 |
昭和32年 1957年 |
3 |
パンザーマスト |
富士製鉄 |
高木勝之助 |
パンザーマストは欧州方面で25,26年前より使用されているが,わが国ではまだ製作するに至っていない。この柱は2枚の梯形板を半円形に丸め,その丸めた半円筒を2つ合わせて円筒が作られている。この縦方向の接続に当初溶接が採用されたが思わしくないため,機械的に孔をあけ折り曲げて互いに組み合わせて接合する方法(特許)に改良されている。ハンザーマストの特長はつぎのとおり@鋼板厚さは1.0〜2.5mm,1つの円筒形の長さは2mであり,13個の部材で種々の柱が得られる。A釣り竿のように逐次収納され2mの柱1本となり,保管が簡便で場所を要さない。B組み立ては嵌め込み方式となっており,ボルト等は不必要。 |
材料 |
鋼板 めっき |
パンザーマスト 柱テーパ 耐用年数 |
14 |
昭和32年 1957年 |
3 |
溶接三角鉄柱 |
(株)若松服部製作所 |
鈴木久男 |
送配電線路,通信線路等において全国を通じて支持物として使用されている木柱基数は,1千万本を超えこれら支持物(鉄塔,鉄柱,コンクリート柱,木柱)総数の95%以上となっている。しかるに木柱は防腐剤を注入したものにおいても耐用年限短く立替のため年間数十万本の木柱が購入されている実情がにある。わが国森林資源枯渇の現状よりみて木柱用の入手は今後ますます困難なことが予想される。これを反映して木柱に替る型式のものが使用され始めているが木柱の短所を補い,電柱としての主要条件の堅牢,耐久および軽量性,経済性を備えたものが要望されているが,これら要望に沿うものの1つとして溶接三角鉄柱を推奨する。 |
設計技術 |
解析手法 |
溶接構造 残留応力 60度アングル |
15 |
昭和32年 1957年 |
3 |
高鉄塔の振動 |
中国電力(株) |
岡沢哲夫 |
昭和26年10月14日のルース台風の際,大畠瀬戸横断箇所の6,7号の内6号鉄塔が倒壊したが,倒壊をまぬがれた7号鉄塔が将来同様な事故が再び起こさないためにその原因を色々な角度から調査したが,当時の風速記録のもとではこの鉄塔は静的に充分に安全な筈であった。この鉄塔は建設当初から振動が起こりやすかったので倒壊の原因は台風の際の風の息によって起こされる鉄塔振動が思わざる応力を鉄塔各部に生ぜしめたのではないかと想像され,これを契機として鉄塔の振動の研究を始めた。 |
試験事例 |
振動 解析 |
吊鐘振動 周期 周波数 撓み振動 結構 |
16 |
昭和32年 1957年 |
3 |
球型風速計による昭和30年台風22号測定記録 |
気象台 |
− |
台風時風速の微細な変化の状態を測定し,これより風の息の状態,真の意味の最大風速等を知ることは構造物の動的耐風特性を考究する上に是非とも必要なことである。従来は気象台におけるダインス風速計による参考にしていたが,数秒以下の風速変動に応じられないので,かかる研究目的には十分満足すべきデータといえない。中国電力技術研究所では,3年前より以上の目的に適合した球型風速計を試作研究中であったが,昭和30年実用化試験を兼ねて台風測定を行うべく準備を完了し,9月29日〜30日の台風22号の測定に成功し,数々のデータを得たのでその一部を整理し報告するものである。 |
その他 |
その他 |
風速変動 風速分布曲線 風の息の周期 突風 |
17 |
昭和32年 1957年 |
3 |
鉄塔の亜鉛メッキ |
新三菱重工業(株) |
三好泉 |
送電鉄塔における亜鉛メッキは,送電線の死命ともいうべき重要な防食処理であり,その防錆力の特徴としてつぎに3点が挙げられる。@亜鉛の耐蝕性は大きく,屋外暴露に対して強い。A一部分,亜鉛が消耗したり,ピンホールがあっても亜鉛が鉄に対して陽極となってその電池作用で保護する。B亜鉛層がなくなっても鉄と亜鉛層の境界に生成される合金層が,そのもの自体および陽極作用で鉄を保護する。すなわち亜鉛メッキでは,錆が出たように見えても,それは合金層の錆であり素地鉄鋼が侵されるに至ることは,実に数十以上の長年月を要するものである。以下に研究調査の結果を記述し参考に資する。 |
製作技術 |
めっき |
陽極作用 合金層 塗装保護 |
18 |
昭和33年 1958年 |
4 |
製作基準 |
日本鉄塔協会 |
− |
本基準の適用指針はつぎのとおり「鉄塔の製作製図に関して特に指示なきかぎり本基準によるものとする。なお,この基準は二回線四角鉄塔を標準としてもので,エボシ型,矩形鉄塔に関してはこの基準を準用する。」以下に本文の章項目を列記する。・一般事項,・基本寸法,・構造各部,・その他,(付表1〜12,第1図〜第17図) |
製作技術 |
継手・仕口 |
材端 フランジ部縁端 ボルトピッチ |
19 |
昭和34年 1959年 |
5 |
鉄塔の控えボルト算定方法(試案) |
日立造船(株) |
松分富左右良 |
鉄塔の格点における「控えボルト」の算定方法については鉄塔設計標準にその方法が示されているが応用に際しては,しばしば疑問の生ずることがある。しかしこれを解明しようとしても理論的には甚だ困難である。その理由は,1) 各部材の計算ボルト数は必ずしも同じ荷重条件によるものではない。2) ボルト数は正確な応力の代表と見なし得ない。3) 格点は現実には一点に会する構造となっていない場合が多い。等である。したがって多少の不合理はあっても,其の誤差が安全と近似性において保証せられるものであり,かつ各種の格点に対し迷うことなく一定の手法で応用可能なものがあれば,むしろ満足すべきではなかろうかと考える。この試案は格点の不一致による局部的なモーメントの影響と軸力のみの合力とを分離し,かつ控えボルトそのものにも新しい解釈を加えたものである。 |
製作技術 |
仕口 |
格点 控えボルト 抵抗モーメント 水平せん断力 垂直せん断力 |
20 |
昭和34年 1959年 |
5 |
千鳥配列接手控除ボルト孔数に関する実験 |
日本橋梁(株) |
石田昭 |
本実験は電気学会,電気規格調査会,送電用鉄塔設計標準特別委員会における議事「控除ボルト孔数についての改正案」研究のために鉄塔協会技術委員会昭和32年度研究課題の一環として行ったものである。 |
試験事例 |
継手 |
抗張材 控除ボルト孔数 |
21 |
昭和34年 1959年 |
5 |
軽量形鋼(鉄塔部門)諸試験および検討結果表 |
安治川鉄工建設(株) |
水上富三 |
(1)供試材,製作所名及び数量表,(2)山形鋼,C型鋼比較表, 1.材料試験(引張,曲ゲ),2.尻抜試験,3.ピッチ試験,4.加工試験,5.亜鉛鍍金試験,6.組立試験 |
試験事例 |
鋼材 |
軽量形鋼 材料試験 |
22 |
昭和34年 1959年 |
5 |
軽量形鋼の実験 |
(株)巴組鐵工所 |
鎌田逸朗 |
軽量型鋼を送電用鉄塔に使用して軽い鉄塔を製作する案が研究されている。しかし鉄塔鉄柱においては部材は亜鉛めっき,ボルト締めされ,部材が薄いので,ボルト部分の支圧力が問題となる。鉄塔は普通腹材は主柱材に直付されるが故にボルト孔材端距離は建築構造物に比し少く,1.5dに採る。ピッチは最小2.5d,標準3.0dに採るか建築構造物は材端2.2d,ボルトピッチ最小2.7dに採る。これ等に対しての実験結果を表にまとめた。 |
試験事例 |
仕口 |
材端 ボルトピッチ 支圧強度 |
23 |
昭和34年 1959年 |
5 |
門形溶接鉄構における各種結合部構造の剛度の比較 |
(株)巴組鐵工所 |
伊藤令一 |
最近発電所の屋外鉄構に溶接鉄構が用いられる様になって,鉄構をラーメンとして解く場合が多くなった。この場合,柱と梁の結合部は完全剛,柱脚は完全固定と仮定しているが,果たして実際にこの仮定が満足されているかどうか,柱と梁の結合部をどの程度の構造にしたら完全剛として認められるか,等の問題が甚だ曖昧であった。ここでは門型溶接鉄構の柱と梁の種々の結合部構造について,その部分の剛度が水平荷重に対してどの程度の差があるかという問題について,先年当社において実験した結果の大要を述べる。 |
試験事例 |
解析手法 |
溶接鉄構 柱ト梁の結合部 剛度 |
24 |
昭和34年 1959年 |
5 |
亜鉛メッキ、ボルトの適正締付モーメントについて |
(株)若松服部製作所 |
鈴木久男 荒木峰太郎 |
鉄塔組立ての場合の亜鉛メッキボルトの締付モーメントについては,従来より明確な基準がなく,経験に則して締付作業が行われてきたように考えられる。本締めが完了した鉄塔について締付モーメントを実測した結果から判断して,一般に締付モーメントのばらつきが多く,中には締付力が下足しているのではないかと考えられるものや,ボルトの降伏点以上に締め付けられていてボルトが伸びており,鉄塔の振動等により新たに荷重が加わってさらに伸びた場合は,ナットが緩む原因になるのではないかと考えられるものもあるようである。また極端な場合になると,ボルトの締付に際し応々してボルトの破損することがあって,ボルトの材料の不良か締付モーメントの適度か問題になり易いので,ボルトの適正な締付モーメントを検討し実施することは極めて重要なことであると思われる。 |
材料 |
ボルト |
亜鉛メッキボルト 締付モーメント 締付力 降伏点 |
25 |
昭和34年 1959年 |
5 |
ボルトの試験 |
(株)後関製作所 |
高橋寛 |
鉄塔の組立てに亜鉛メッキ鉄塔ボルト(以下ボルトと言う)をスパナーにて締付ける場合,往々にしてボルトが切れることがある。ボルトをどの程度の締付トルクにて締めたら適当であるか,また締め過ぎてボルトが伸びたら,そのボルトの剪断力はどのように変化するのであろうか。以上の点につき,実験した結果を纏めて見た。 |
材料 |
ボルト |
亜鉛メッキボルト 締め付けトルク ボルトの剪断力 |
26 |
昭和35年 1960年 |
6 |
鉄塔ボルト(SS50)の締付トルクに関する実験 |
(株)後関製作所 |
高橋寛 |
近来SS50の鉄塔ボルトが広く使用されてまいりましたので,その適正締付トルクを実験的に求めてみました。即ちボルトをスパナーで締付ける場合,その締付トルクが増加するに従い,ボルト自身が伸ビを生じますので,締付トルクと伸ビの関係を実験的により求め,ボルトの引張捩り降伏点(ボルトを締める場合は,その生ずる降伏点が,ボルトに捩レ作用が働く為に単純なる引張りによる降伏点より低下する。この降伏点を引張捩り降伏点とする)を求め,その値を適正締付トルクと考えました。 |
試験事例 |
ボルト |
SS50 適正締付トルク |
27 |
昭和35年 1960年 |
6 |
鉄塔用ボルト,ナット規格 |
日本鉄塔協会 |
|
送電鉄塔,鉄柱および鉄構に使用されるボルト,ナット,ステップボルトおよびフィラーの溶融亜鉛メッキを施したものおよび黒皮のものに適用する規格。 |
材料 |
ボルト |
規格 ボルト ナット ステップボルト |
28 |
昭和35年 1960年 |
6 |
送電用鉄塔設計標準JECー127(1958) |
電気学会 |
|
この規格は,架空送電線路に使用される鉄塔の設計に適用する。
鉄塔には,電線路の方向の強度とこれに直角の方向の強度とが相等しく設計されるものと,電線路の方向の強度がこれに直角の方向の強度と異なるものがある。前者は4面同形の鉄塔主体を有するいわゆる四角鉄塔と称するのを普通とし,後者は相対する2面がそれぞれ同形な鉄塔主体を有するいわゆる矩形鉄塔と称するのを普通とする。
鉄塔と鉄柱との区別は,鉄塔では各主柱ごとに,鉄柱では各主柱共通に1個の基礎を有するのを標準とする。 |
その他 |
その他 |
架空送電線路 鉄塔設計標準 |
29 |
昭和36年 1961年 |
7 |
鉄塔設計標準の変遷 |
日本鉄塔工業(株) |
鈴木久男 |
明治時代の末期に66kV級の鉄塔が建設されてから110kV,154kVと送電々圧が逐次上昇し275kVより現在は400kV級の送電線が計画される時代となった。この送電線路建設費の中で大きなパーセンテージを占める鉄塔の設計に当っては現在JEC-127の標準規格が採用され,その経済的設計が叫ばれておるが,ここに大正年代から始まって現在の規格が制定にいたるまでの幾多の変遷について思い出すままを記述することとする。 |
設計技術 |
その他 |
大正時代 鉄塔設計標準 |
30 |
昭和36年 1961年 |
7 |
ボルトの切れる話 |
日本鉄塔工業(株) |
荒木峰太郎 |
本日はボルトを締付けている時,どういう訳でボルトが伸びたり切れたりするか,又各サイズのボルトをどれ位のトルクで締付ければよいかということについて,数式を抜きにしてハハーン成程とお分かりになって戴けるようにお話致したいと思います。 |
材料 |
ボルト |
ボルト 破断 締め付けトルク |
31 |
昭和37年 1962年 |
8 |
送電用鉄塔における結構の坐屈強度に関する実験 |
日本鉄塔工業(株) 那須電機鉄工(株) 桜田機械工業(株) (株)巴組鐵工所 |
|
従来送電用鉄塔はその結構の如何によってその強度に可成りの差を生じている。そしてその原因としては,種々なるものが考えられるが,その内でも坐屈の問題は一つの重要な課題として未だ完全に解明されていない。
今回パネルのプロポーションを一定とし,腹材に軸力が生ずる状態において補助材の割込数を変化させた時の坐屈強度がどの程度低下するかを実験的に求めてみた。 |
試験事例 |
骨組 |
実験 結構 補助材の割込数 |
32 |
昭和37年 1962年 |
8 |
最近海外における鉄塔設計仕様の傾向について |
日本鉄塔工業(株) |
鈴木久男 |
海外各国における鉄塔設計仕様は種々雑多であり,使用鋼材の相違,気象条件の差異等の他に負荷条件の考え方に相違が見受けられる。荷重に対する過負荷率(いわゆる安全率)も種々の数値が示されているが一般の傾向としては普通荷重に対しては2.5位が最も多く断線荷重の場合においては一般にこの過負荷率を1.5または1.2に落としており最小値は1.0の場合もある。使用鋼材においては最近とくに高張力鋼が普遍化しており,普通鋼材においても製鋼法の進歩に伴い材質が向上し降伏点が高くなってきている。風荷重の考え方に対してもより合理的になってきている傾向が見受けられる。
本稿においては主として鉄塔設計上の主要点である鋼材の許容応力ならびに風荷重に関する最近の傾向について数例を記述することとする。 |
設計技術 |
その他 |
海外 鋼材 許容応力 |
33 |
昭和37年 1962年 |
8 |
鉄塔の破壊試験 |
(株)巴組鐵工所 |
鎌田逸朗 |
巴組鉄工所豊洲工場の鉄塔試験場で,送電用鉄塔の試験が始めて行われましたのは昭和27年の台湾電力の輸出鉄塔でございました。それからこの試験場で数多くの試験が実施され,また各鉄塔製造業者の間でも幾多の試験が行われて参りました。それに加えて其の頃より市場に出て参りました,抵抗線歪計を使用して,応力を測定する方法が一般的となり,鉄塔試験の初期のものに比して格段の進歩を致してまいりましたものと思われます。 |
試験事例 |
その他 |
変位 応力試験 破壊試験 |
34 |
昭和38年 1963年 |
9 |
中四連絡線海峡横断部鉄塔大久野島ルートNO5,NO6,鉄塔の概要 |
電源開発(株) 電源開発(株) 新三菱重工業(株) |
林潔 島田潔 小野順弘 |
四国と中国,九州との電力相互融通による経済的運用を図るため,電源開発(株)において計画された,220kV2回線の超高圧送電鉄塔は,昭和36年初めから本格的に着工し,生は37年8月完工した。本鉄塔は四国今治市から,瀬戸内海国立公園の島々を縫って,広島県竹原市忠海町に至るもので,そのうち,当社神戸造船所が設計,建設した超大型鉄塔大久野島ルートNo.5およびNo.6鉄塔について,その概要を紹介する。 |
設計技術 |
その他 |
220kV 超高圧送電線鉄塔 |
35 |
昭和38年 1963年 |
9 |
屋外鉄構の図表式ラーメン解法の実用化 |
日立造船(株) 日立造船(株) 日立造船(株) |
松分富左右良 伊佐憲三 住田沢好 |
屋外鉄構を使用電圧,形状,基本寸法および荷重の種類などにより分類し,各類ごとに簡易な図表を作成し,複雑な固定法の計算を省略してラーメン計算を行ったところ,この方法によれば,計算の煩雑さを避け得たばかりでなく,ほとんど図表によるため計算のまちがいもきわめて少ないことが確認されたので,以下その要点を紹介する。 |
設計技術 |
解析手法 |
屋外鉄構 ラーメン計算 |
36 |
昭和38年 1963年 |
9 |
鉄塔用ボルトの適正締付トルクの研究 中間報告 |
(株)青木工業製作所 大阪精機工業(株) (株)後関製作所 那須電機鉄工(株) 日本鉄塔工業(株) |
技術討議会 |
鉄塔用ボルトの締付トルクについては,従来各社で行った実験結果が発表されているが,実験結果に比較的大きいと思われる差異があるほか,実験結果より適正締付トルクを推定する方法も,統一された考え方になっていない。実験データーも,周知のように各種の要因によって非常に広い範囲にバラツキもあって,統計的に解析する必要があるので,従来の散発的な小規模の実験ではなくて,系統的に多数のデーターを集めて,整理解析する為,上記メーカー五社で協同して計画的に実験と解析を行ってゆく事とした。本報告は,その第一報で研究予定のものの一部である。 |
試験事例 |
ボルト |
適正締付トルク実験 |
37 |
昭和38年 1963年 |
9 |
溶融亜鉛めっきの技術管理について |
新三菱重工業(株) |
内田勝雄 |
本考察は筆者が今まで機会あるごとに報告して来た数年前における海外事情調査とその後入手した文献・資料を基として,鋼管・構造用圧延鋼材・工作物等に大幅に適用されている溶融亜鉛めっきについて,亜鉛から形成されるドロス・アッシュの発生量を減少させ,また釜の耐久力を増大し,かつ最高値のめっきを均一につける方法における比較的最近の進歩を紹介してめっき技術者の参考に供さんとするものである。 |
製作技術 |
めっき |
溶融亜鉛メッキ |
38 |
昭和39年 1964年 |
10 |
66kV釧路線鉄塔連続倒壊事故について |
北海道電力(株) 北海道電力(株) |
新谷一男 小池毅三 |
昭和38年2月25日未明北海道東南部釧路南方海上に発達した低気圧の影響を受け北海道東南部全域に渉って,異常な電線着雪が発生し送配電線,通信線は壊滅的打撃を受けると云う大事故が発生した。この中で特に重大な被害を受けたのが66kV釧路線の鉄塔連続15基倒壊事故であり,この事故の概要および原因究明過程について若干述べる事とする。 |
事故事例 |
|
鉄塔倒壊事故 スリートジャンプ |
39 |
昭和39年 1964年 |
10 |
鉄塔用ボルトの適正締付トルクの研究(第二報) |
(株)青木工業製作所 大阪精機工業(株) (株)後関製作所 那須電機鉄工(株) 日本鉄塔工業(株) |
技術討議会 |
SS41W5/8の鉄塔用亜鉛めっきボルトについて,各締付トルクに対して生じる引張り荷重即ち締付力と,更にボルトの軸に直角な面に生じる捩れの角度を測定し,ボルトに降伏が生じる点の締付トルクを求めることとした。 |
試験事例 |
ボルト |
適正締付トルク実験 |
40 |
昭和39年 1964年 |
10 |
組立圧縮材の座屈に関する研究 |
那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) |
小川登 吉田幸弘 |
現在,鉄骨組立圧縮材の座屈については,各方面で研究されているが,まだ充分に検討されていない。ここで本研究は鉄塔脚部に見られるような,変断面組立材において,現行は主材の座屈長さを短くするために補助材で,主材を分割し,主材は個材座屈のみ検討されているが,全体座屈も考慮しなくても良いのかと言う問題を取り上げたものである。このような鉄骨骨組で立体と平面の場合について,荷重の比率,断面の比率,主材と斜材のなす角度(h/l=θ),等によって,全体座屈と個材座屈とのどちらが優先するかを検討したものである。 |
設計技術 試験事例 |
解析手法 耐力試験 |
鉄塔脚部 個材座屈 全体座屈 |
41 |
昭和40年 1965年 |
11 |
鉄塔の腕金接合ボルトの研究 |
三菱重工業(株) 三菱重工業(株) |
谷口重次 森田寿郎 |
送電線鉄塔の腕金材と主柱材を接合するボルトの適正な本数を求めるために,そのボルトに生ずる応力状態を実験的に測定し解析を行った。腕金接合ボルトは架渉線の1本断線荷重によりせん断応力と引張応力を同時に受けるので,その合成応力により設計すべきである。この場合,並列に配置したボルトにはそれぞれ相異なった引張応力が生じ,外側第1番目のボルトに生じる引張応力が最大となる。このボルトの引張応力の分担率を求めるために特殊ボルトを試験鉄塔に取り付け,ボルト本数n=3〜6の各caseについて荷重試験を行った。また,接合ボルトの最終耐力を求めるために,破壊試験用ボルトを使用してn=3〜6について破壊試験を実施した。これらの実験結果を解析して腕金接合ボルトの適正な本数を算定する算定方法を作成し,さらに実際の鉄塔に適用するために,腕金主材のボルト本数と腕金接合ボルト本数との関係を求めた。 |
試験事例 |
試験 解析 |
腕金接合ボルト |
42 |
昭和41年 1966年 |
12 |
溶融亜鉛メッキ鉄塔ボルトの適正締付実験報告 |
千葉工業大学 |
江藤元太 |
従来,鉄塔に使用されるボルトは,鉄塔の生命を脅かすほど重要なものであるにもかかわらず,その締め付け方法に関しては明確なものがなかった。そのため,一部ではボルトの締め過ぎ,または締め不足の結果を生じ,種々な障害を招いたいたことは周知の事実である。このため日本鉄塔協会技術委員会のボルト部会がこの問題を取り上げ,当大学において一連の実験を行い,その結果をまとめたものである。溶融亜鉛メッキ鉄塔ボルト(材質SS41:SS50,サイズW5/8: W3/4:W7/8)について,その適性締付力および適性締付トルクを求めることができた。 |
試験事例 |
試験 解析 |
鉄塔用ボルト 適正締付トルク 実験 |
43 |
昭和41年 1966年 |
12 |
新潟火力線FM型鉄塔強度試験について |
東北電力(株) |
高尾敬一郎 |
新潟火力線は新潟火力発電所の発生電力を輸送するため,既設中新潟変電所間を結ぶこう長約4.5kmの140kV4回線(今回2回線架線)送電線路である。この鉄塔は腕金が4段になっており,鉄塔頂部より曲げ点に行くにしたがい塔体幅が狭くなり,従来の烏帽子鉄塔の腕金を4段積み重ねた形態を採用した。このような形態では強度上種々問題点があるので,実際に用いる鉄塔の一部を採り出し,下記の点を確かめるため荷重試験を実施した。・ 正面構面の4段目腕金取付付近に応力が集中しないか・ 正面構面の変形がかなり大きくなるのではないか・ ねじり力による各構面のせん断力分担の仮定が妥当であったかどうか・ 以上挙げた原因あるいはこれ以外の原因で,鉄塔の実際の応力分布状態が設計計算応力分布といかほど相違するか |
試験事例 |
試験 骨組 |
特殊鉄塔 |
44 |
昭和41年 1966年 |
12 |
送電鉄塔の控えボルト算定について |
日立造船(株) 日立造船(株) |
松分富左右良 伊佐憲三 |
先に鉄塔第5号に「鉄塔の控えボルト算定法(試案)」を発表したが,その後JECの改定に伴い,これを加味するとともに試案における問題点をさらに検討したが,今回送電用鉄塔製作基準の第3回改訂版の発行に際し,鉄塔技術委員会において審議の結果,付録として「鉄塔控えボルト算定基準」として採用されることになった。しかし,これは現時点における一応の基準ということで多少の不具合な点はあると思われるが,なんらかの基準がないときわめて不便であることから,とりあえず基準として採用されたものであり,実際に使用した結果により関係各位の意見に従ってさらに修正したいと考えている。 |
製作技術 |
節点 仕口 |
控えボルト |
45 |
昭和43年 1968年 |
13 |
500kV送電鉄塔の強度試験について |
関西電力(株) 関西電力(株) 三菱重工業(株) |
山崎松次郎 久保光男 瀬川剛 |
関西電力では500kV送電線の建設に際して,風雪氷害を考慮しなければならない急峻な山岳地での支持物形式として,用地上特に問題のない地域については,信頼度・経済性の見地から1回線水平配列えぼし型コンクリート充てん鋼管鉄塔を使用することに決定した。コンクリート充てん鋼管鉄塔は,関西電力が昭和35年7月,275kV枚方線に採用して以来,今日まで幾多の改良を重ねた結果,現在では研究段階を脱して実用化の域に入っており,特にその潜在耐力の優れていることは広く注目されているところである。しかし,500kV送電支持物に適用しようとする場合,その構造規模がきわめて大きいことと,その実施例が皆無であること,また,線路重要度が高く,信頼度を強く要求されることなどから,支持物の最終耐力を確認する必要が生じた。また,えぼし型鉄塔についての設計法は,従来から慣用設計法で行われているが,この設計法には多少合理的でない面もあり,経済性におよぼす影響も大きいため,これらを明確にする必要があった。これらの理由から,実規模供試鉄塔による各種強度試験,ならびに一連の付帯試験を実施した。 |
試験事例 |
試験 骨組 |
えぼし鉄塔 コンクリート充てん鋼管 |
46 |
昭和43年 1968年 |
13 |
送電用鉄塔片継脚の全体座屈の研究 |
那須電機鉄工(株) |
小川登 |
現在送電用鉄塔の設計においては,主材および斜材の座屈長を短くするために,補助材によって部材を分割し,その節点間を座屈長として部材の大きさを求めているが,変断面組立圧縮材に対しては,補助材の割込み数,主柱材と斜材の細長比および剛比,主材と斜材のなす角,主材応力と斜材応力との比など種々な影響によって,個材座屈よりもむしろ片継脚が全体として座屈を起こす場合が考えられる。このような変断面組立圧縮材の座屈問題に対しては,片継脚の種類によって個材座屈と全体座屈のどちらが優先するか決め,これを設計面に適用するにはまだ文献や資料に乏しく,現行では補助材の割込み数に応じた裕度増加や斜材補強,あるいは主材と斜材のなす角の制限などの方法を設計面に適用し,片継脚の耐力に対処するよう考慮が払われている。本研究は,東京電力より依頼された「安曇幹線鉄塔片継脚の試験研究」の一環として上記問題を取り上げ,全体座屈の理論解析および個材座屈との比較検討を行い,合理的な設計方法の確立を図ることを目的とした。 |
設計技術 |
解析 |
鉄塔脚部 個材座屈 全体座屈 |
47 |
昭和44年 1969年 |
14 |
500kV送電用えぼし型鉄塔の風胴実験と風圧値 |
東京電力(株) |
建設部電気課 |
えぼし型鉄塔は,その形状が四角鉄塔と著しく異なるため,JECにも記されているとおり,空気抵抗係数に関する資料が乏しく,合理的に風圧値を定めることが困難であった。したがって,従来のえぼし型鉄塔の風圧値は,四角鉄塔に準じて適当な値をとってきた。しかし,500kV1回線えぼし型鉄塔は,従来のえぼし型鉄塔に比べ,著しく規模が大きくなるため,風圧値のもととなる空気抵抗係数を明らかにする必要が生じた。そこで安住幹線の実施設計に先立ち,風洞実験を実施し,風圧値のもととなる空気抵抗係数の実態をはあくするとともに,その実験結果を種々検討し,かつJECならびにその他の実験結果などを参考にして,具体的鉄塔風圧値を確立したものである。 |
試験事例 |
実験 解析 |
風洞実験 えぼし鉄塔 |
48 |
昭和44年 1969年 |
14 |
500kV送電用鉄塔の強度試験 |
東京電力(株) |
建設部電気課 |
従来275kVまでの鉄塔に関しては,過去の使用実績と各種試験によって,その信頼度が確かめられている。しかし,安曇幹線の500kV超大型鉄塔は,たとえ構造方式が同じであっても,規模が著しく大きくなるため,荷重条件と構造耐力について,さらに究明することが必要である。これらの問題を調査するためには,実物大の規模によって,荷重試験および破壊試験,さらには振動試験を行うことが,有効適切な方法と考え,昭和41年末に実物大の鉄塔によって各種試験を実施した。これによって各種条件下における,構造全般の強度を確認すると同時に,設計検討に必要な貴重な資料を得ることができた。また,500kV鉄塔の設計上の諸問題に関する検討に際しては,学識経験者の意見あるいは,送電用鉄塔設計標準,その他各種資料文献などを参考にし,かつ本試験の成果を反映させて,具体的な設計法を確立したものである。 |
試験事例 |
実験 解析 |
500kV鉄塔 実規模試験 |
49 |
昭和44年 1969年 |
14 |
鉄塔用ボルトの応力断面についての実験 |
日本鉄塔協会 大阪精機工業(株) (株)後関製作所 那須電機鉄工(株) 日本鉄塔工業(株) |
技術委員会 |
現在,鉄塔用ボルトの応力断面積は,JEC-127に規定されているように,引張とせん断の場合とではその断面積が異り,後者の方が前者より約6%大きくなっている。しかし,荷重方法が変わったからといって,応力断面積が異なるのは,はなはだ不合理であり,ISOネジ導入に際し,これを改正JIS有功断面積に統一したく,素材およびボルトネジ部の引張ならびにせん断試験を実施した。なお,当実験においては,正確を期するために,試料はサイズ別に1本の規格品定尺のものから製作し,平均値をもって比較検討を行なった。その結果,引張およびせん断とも,JISの有功断面積(JIS B1180-1968)にほぼ近い数値が得られたので,鉄塔用ボルトの応力断面積は,両者ともJIS有功断面積に統一して問題はないものと考える。 |
試験事例 |
実験 解析 |
ボルト |
50 |
昭和44年 1969年 |
16 |
標準鉄塔の改訂について |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
今回改訂された,電気事業連合会66〜77kV2回線標準鉄塔は,昭和43年2月から44年3月にわたって,10数回の標準鉄塔幹事会(東北・東京・中部・関西・九州の5電力会社の委員で構成されていた。)によって討議され,その方針に基いて,日本鉄塔協会が設計を行なって出来上ったものである。
旧標準鉄塔は,次の3点の動機から改訂されることになったものである。
1.昭和43年にISOねじの規定が制定され,ウィットねじで設計されていた旧標準鉄塔をISOねじで設計しなおす必要がある。
2.旧標準鉄塔制定当時はSS55材というものがなく,L100×7以上をSS50で設計していたが,最近はSS55材の使用が通常化され,SS50材を使用しなくなってきたので,旧標準鉄塔もこれに歩調を合わせたほうが都合がよい。
3.最近はL60×4,L90×6,L150×10等断面性能のよい薄手の山形鋼が使用されるようになったので,標準鉄塔にもこれらをとり入れて合理化をはかるべきである。 |
設計技術 |
その他 |
標準鉄塔 電気事業連合会 ISOネジ SS55 中間サイズ部材 |
51 |
昭和44年 1969年 |
16 |
溶融亜鉛めっき鉄塔用ボルト(ISOメートルねじ)の締付実験報告 |
千葉工業大学 |
江藤元太 |
溶融亜鉛めっき鉄塔用ボルトが,ウィットねじからISOメートルねじに切換わり,鉄塔工事に重要な要素をもつ,締付力および締付トルクについての実験を,日本鉄塔協会から依頼され,当大学において行なってきたが,その結果が判明したので報告する。 |
試験事例 |
ボルト |
ISOネジ 締め付けトルク 締付力 トルクレンチ |
52 |
昭和45年 1970年 |
17 |
送電用鉄塔設計の問題点と対策 |
日本鉄塔協会 |
堀貞治 |
電気事業を中心に,電気協同研究会に大形鉄塔専門委員会が設立され,275kV送電線を対照とした,大形鉄塔設計に関する一応の研究結果が得られたことから,鉄塔設計標準にこれを取り入れ,現行の送電用鉄塔の設計標準が出来たのである。
しかし,技術革新のテンポは早く,現時点では,大容量送電時代を迎えようとしている。このような時に,鉄塔の大形化に対応して作られた,現行送電用鉄塔設計標準とはいえ,500kV送電時代を迎え,なお幾多の問題点を残している。
以下これらの問題点について,本誌を借りて,速かに鉄塔設計標準の再検討を願うとともに,大容量送電時代にふさわしい,設計標準が生まれることを要望する次第である。 |
設計技術 |
その他 |
鉄塔設計 設計標準 大形鉄塔 問題点 |
53 |
昭和45年 1970年 |
17 |
ボルト締め付けによる鋼材間の摩擦力について |
日本橋梁(株) |
菅野裕嗣 |
日本鉄塔協会昭和44年度技術委員会研究事項の一つとして,“ボルト締め付けによる鋼材間の摩擦力について”の文献調査を行なった。 |
施工技術 |
ボルト |
摩擦力 高力ボルト ボルト接合 摩擦接合 締め付けトルク |
54 |
昭和45年 1970年 |
18 |
中空鋼管鉄塔のカルマン振動試験 |
九州電力(株) 九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) |
加藤隆之 平塚強一 原田博志 |
鋼管は,優れた断面性能をもっているため,鋼管鉄塔として広く採用されているが,反面,とくに細長い補助材では微風時に振動するという性質があり,220kV送電線においてもこの現象が観測されている。
これらの現象は,一般にカルマン振動と呼ばれているもので,現地において諸測定を行ない検討した結果,220kV級のこれらの部材に生ずる応力は,十分疲労限度内にあり問題ないことが判っている。
しかし500kV送電線では,鉄塔の大きさが,220kV級に比べて格段に大型化し,使用する部材のサイズや長さが,今まで対象とならなかった範囲に広がるため,さらにそれらの部材に対しても,十分検討を行なうことが必要であると考えられる。
そこで,500kV用中空鋼管鉄塔に使用する部材の振動特性を調べるため,工場内に風洞を作成して,諸測定を行ない,さらに自然風下における現場試験,および既設の220kV鉄塔における測定を総合して,解折・検討を行なった。 |
試験事例 |
振動 |
カルマン振動 カルマン渦 固有周期 固有振動数 風洞実験 |
55 |
昭和45年 1970年 |
18 |
ラップ継手を持つ主柱材の座屈試験 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
通常のアングル鉄塔において,主柱材をラップ継手とするときは,その近傍にかなり大きい曲げ応力を生じ,座屈強度が低下すると考えられるので,ラップ継手でない突合せ溶接継手の骨組と比較試験を行ない,座屈強度を実験的に確かめることを目的とした。 |
試験事例 |
継手 |
山形鋼鉄塔 ラップ継手 座屈試験 締め付けトルク ボルト接合部すべり |
56 |
昭和45年 1970年 |
19 |
主脚材応力が水平補助材におよぼす応力について |
安治川鉄工建設(株) |
能美義晴 |
鉄塔の設計を行なう場合,ブライヒ水平材のように,部材の座屈長さを制限するために挿入される部材は,非応力材となる。このような部材の座屈強度を増すために,部材の支持点間を短くする意味で挿入する補助材は,主脚材の変形を考慮しない限り応力材とはならない。しかし,主脚材にSS55・L250×35が使用されるような,超大形鉄塔の上記補助材と,SS41・L100×7が用いられる鉄塔の上記補助材が,同じサイズのものでよいか(純非応力材と考えてよいか)という点には疑問があり,更に主脚材の座屈に伴う変形が,一義的に求め得るものではないので,これを実験的に確かめようとするものである。 |
試験事例 |
骨組 |
山形鋼鉄塔 ブライヒ水平材 座屈補剛材 非応力材 応力比率 |
57 |
昭和45年 1970年 |
19 |
鉄塔構造物についての2・3の提案 |
桜田機械工業(株) |
安岡富夫 |
鋼桁に広く使用されその構造材としての信頼性が確認されているCT形鋼と,橋梁のみならず土木・建築・造船・自動車その他の,あらゆる鋼構造物に使用されているといっても過言ではないシヤーコネクター(ずれ止め,またはせん断連結用材と訳す)の使用状況に触れ,これについての提案を行ない併せて問題点も列記する。 |
材料 |
鋼材 |
CT形鋼 シャーコネクター |
58 |
昭和46年 1971年 |
20 |
中空鋼管鉄塔の節点耐力 |
九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) |
加藤隆之 中村俊郎 |
鋼管は,断面性能や風圧の点からみて優れた性質をもっているので,これを利用した送電用鉄塔が開発され,すでに220kV級では相当の実績をあげている。現在,九州電力で準備中の500kV送電線の建設に当っても,技術的・経済的に検討の結果,中空鋼管鉄塔を採用することになった。
最近の送電線の超高圧・大容量化に伴う荷重の増大につれて,使用する主脚管は大きくなる傾向にあるが,そのためD/tが大きくなり従来検討のすんだ範囲を越え,ガセットプレートも大きくなるので,節点の耐力について再検討が必要と考えられた。
そこで,今回500kV級送電線の建設に当り,この問題について再び一連の実験を実施したので,その概要を報告する。 |
試験事例 |
節点 耐力試験 |
鋼管鉄塔 節点耐力 ガセットプレート 局部曲げ耐力 D/t |
59 |
昭和46年 1971年 |
21 |
送電用鉄塔について |
日本鉄塔協会 |
編集委員会 |
全国いたる所にはりめぐらせれている送電線の鉄塔,また各都市にそびえ立つ無線用鉄塔は,年ごとにその数も規模も大きくなり,鉄塔の存在が一般社会人にも認識されてきております。
これらの鉄塔について,全般的な常識程度の内容を,シリーズものとして掲載します。
第一回目として鉄塔の総括的なものを記載し,次号からは設計・原寸・加工・メッキ等工程順に,具体的な内容を説明します。 |
その他 |
|
教育資料 形態別 使用鋼材別 比較表 |
60 |
昭和46年 1971年 |
22 |
中空鋼管鉄塔の片継脚の耐力について |
九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) |
宮崎昌博 林弘 |
現在,送電は大容量時代に入り,わが国においても,500kV送電線が次々と建設されるようになってきている。大容量送電により送電線路が大型化され,それに伴い種々の研究・検討がなされている。片継脚の耐力の問題もその一つであるが,日本のように送電線が平坦な土地を通ることがすくなく,そのほとんどが山岳地帯を縦断している状況では,送電用鉄塔が大形化するにつれて,支点の高低差も著しくなり,片継脚の最高高さも非常に高いものとなる。そのために,主柱材と斜材との狭角θが狭小化した片継脚になる。その結果,今までの最小角度を下回るものが多くなり,また,最下ブライヒ水平材より斜材引付点までの高さも大きくなり,補助材による分割数も多い片継脚となっている。このような片継脚に対して,従来は個材座屈により部材を決定しているが,上述のような片継脚になると,個材座屈より全体座屈が先行して起こる可能性がある。これらに関し解析した結果を述べる。 |
設計技術 |
解析手法 |
全体座屈 片継脚 |
61 |
昭和46年 1971年 |
22 |
送電用鉄塔の設計について |
日本鉄塔協会 |
編集委員会 |
送電用鉄塔の全般的な基礎知識程度の内容を紹介するシリーズの第二回目として使用度の高い四角鉄塔の設計概要を述べる。 (初回 21号より掲載) |
設計技術 |
その他 |
教育資料 設計概要 |
62 |
昭和46年 1971年 |
22 |
送電用鉄塔のボルトができるまで |
日本鉄塔協会 |
編集委員会 |
送電用鉄塔の全般的な基礎知識程度の内容を紹介するシリーズと併行して鉄塔組立に不可欠な組立ボルトについて素材から製品に至るまでの工程経過を簡単に説明する。 (成形加工〜ネジ部加工) |
材料 |
ボルト |
製作工程 |
63 |
昭和47年 1972年 |
24 |
500kV中空鋼管鉄塔の強度試験(その1) |
九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) |
|
九州電力株式会社では,玄海原子力発電所ほかの西部九州方面の電源開発に関連して,昭和47年末の完成を目標に,500kV佐賀幹線を建設中であるが,同幹線の特徴の一つは,中空鋼管鉄塔による最初の500kV送電線であるということである。中空鋼管鉄塔は従来より,220kV級には相当の実績をもち,構造上・強度上の諸問題は実質的には殆ど解決されているが,500kVへの採用については,220kV級に比べて規模が飛躍的に大型になり,新しい問題点もあるので個々の実験的研究を積み重ねてきた。例えば,(1)接点耐力の実験的研究(2)カルマン振動による部材応力の実験的研究(3)大型ネックフランジ耐力の実験的研究(4)片継脚鉄塔の下部構造耐力の理論的研究などをを行った。しかし,鉄塔全体の耐力は,この他の諸要因も複雑に組合わさった状態の影響を受け,500kV用鉄塔については実規模試験を実施し,合理的な設計手法の検討と強度の確認を行う必要があると考えられたので,今回の試験を実施し,500kV送電線の信頼度の向上をはかった。試験結果の詳細を述べる。 |
試験事例 |
耐力試験 |
耐張腕金ねじり試験 基礎不同変位試験 節点局部耐力試験 脚部強度試験 塔体振動試験 |
64 |
昭和47年 1972年 |
24 |
送電用鉄塔現寸図の描き方 |
日本鉄塔協会 |
編集委員会 |
送電用鉄塔の全般的な基礎知識程度の内容を紹介するシリーズの第三回目として使用度の高い四角鉄塔の現寸図の描き方について説明する。 (初回 21号より掲載) |
製作技術 |
その他 |
教育資料 現寸 |
65 |
昭和47年 1972年 |
24 |
送電用鉄塔のボルトができるまで(その2) |
日本鉄塔協会 |
編集委員会 |
送電用鉄塔の全般的な基礎知識程度の内容を紹介するシリーズと併行して鉄塔組立に不可欠な組立ボルトについて素材から製品に至るまでの工程経過を簡単に説明する。 (メッキ〜出荷) |
材料 |
ボルト |
製作工程 |
66 |
昭和47年 1972年 |
25 |
500kV中空鋼管鉄塔の強度試験(その2) |
九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) |
|
第24号で紹介したものの続編 (試験結果と考察を記載) |
試験事例 |
耐力試験 |
耐張腕金ねじり試験 基礎不同変位試験 節点局部耐力試験 脚部強度試験 塔体振動試験 |
67 |
昭和47年 1972年 |
25 |
送電用鉄塔の加工について |
日本鉄塔協会 |
編集委員会 |
送電用鉄塔の全般的な基礎知識程度の内容を紹介するシリーズの第四回目として鉄塔製作の各工程の作業方法を説明する。(切断〜仮組) (初回 21号より掲載) |
製作技術 |
その他 |
教育資料 製作工程 |
68 |
昭和47年 1972年 |
25 |
送電用鉄塔のメッキについて |
日本鉄塔協会 |
編集委員会 |
送電用鉄塔の全般的な基礎知識程度の内容を紹介するシリーズの第五回目(最終回)として製作工程の一つであるメッキのアウトラインについて述べる。 (初回 21号より掲載) |
製作技術 |
めっき |
教育資料 メッキ工程 |
69 |
昭和47年 1972年 |
26 |
地線頂部耐力試験について |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
現在,送電線鉄塔の頂部地線取付部の構造は,4面曲げの1枚プレ-トの構造が多いが,これを2面曲げ1枚プレ−トと曲げなしプレ-ト2枚の構造にした場合について,前者との耐力比較および安全性を確認することを目的とした。本試験は鉄塔協会の製作基準改訂作業に伴って提議され,試験は昭和47年3月日本鉄塔工業(株)豊橋鉄塔試験場において行なわれた。 |
設計技術 試験事例 |
骨組 |
キャップ 地線頂部 |
70 |
昭和47年 1972年 |
26 |
山形鋼単一材と十字材の継手について |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
最近,鉄塔が大型化し荷重が増大するにつれ,単一山形鋼では強度不足となり,溶接組み合わせによる十字材を使用することが多くなった。この場合,製作上および現場組立上のメリットから,できるだけ単一材を使用できる範囲は単一材を使用し,それ以上の所に十字材を使用することが望ましい。この場合でも,継手の位置をどこにするかという論議があり,継手箇所の免れ得ない偏心を吸収するには,塔体曲点部以上,腕金主材の直上部が選ばれている。送電用鉄塔では,他の分野の構造物と異なり,その特殊性,経済性から部材のラップ継手が一般に許容されているが,この構造上不可避の偏心については,既に実績のある単一山形鋼の継手部における偏心程度に押えることが実用上の目安であり,数種の構造が現在使用されている。今回これらの構造の耐力度と,より良い構造をうる指針を求めるために,簡単な比較試験を行った。試験は昭和47年3月21日から27日にかけて,日本鉄塔工業(株)豊橋試験場で行われた。 |
設計技術 試験事例 |
継手 |
十字材 ラップ継手 |
71 |
昭和48年 1973年 |
27 |
110kV標準鉄塔の概要について |
中国電力(株) |
荒木繁人 |
送電用鉄塔のうち,66〜77kV用2回線鉄塔については,すでに全国大で標準化し,電力用規格として電力各社で採用され設計,製作,施工の省力化,迅速化に大きく寄与していることは周知のことである。今回当社においては,比較的使用頻度の多い,110kV用,2回線鉄塔について,66〜77kV標準鉄塔とは若干異なった方式で標準化を検討してきたが,漸やく,本格的採用の見通しを得たのでここにその概要を紹介し,関係者のご参考に供したい。 |
設計技術 製作技術 |
その他 |
110kV標準鉄塔 |
72 |
昭和48年 1973年 |
27 |
送電鉄塔用高張力形鋼(75キロ鋼)について |
東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)野沢工業研究所 |
山岸啓利 茂筑智美 大花寿雄 |
近年,電源の遠隔化に伴う大容量化と都市の過密化に伴う用地取得の困難から基幹送電線の大容量化,さらには多回線化が盛んに採用される動向にあり,これに加え台風・塩害・地震などわが国特有の風土事情から送電用鉄塔はますます大型化し,大サイズ部材が導入されつつある。このような情勢から,電力会社・製鉄メ−カ−・鉄塔メ−カ−ともども鉄塔構造・使用部材の合理化について積極的に取組み幾多の成果を収めてきた。この合理化の一環として材質面においても製鉄メ−カ−が中心となり活発に研究が行なわれ,昭和38年には降伏点が40kg/mm2にも及ぶ鋼材が開発され,主要材料として国内の基幹系統の大型鉄塔にはもちろんのこと諸外国への輸出鉄塔にも数多く使用され,多大な効果を挙げてきたが,最近の技術革新の急速な発展と相まって,さらに強度が一段と高い降伏点60kg/mm2,引張強さが75kg/mm2の非調質の高張力鋼材が新日本製鉄と日本鋼管の努力によって開発された。そこでこの鋼材を鉄塔部材としての適否を調査するため,基礎的試験と骨組試験を新日本製鉄および日本鋼管の協力を得て実施し,貴重なデ−タ−が得られたので,以下その概要について述べる。 |
材料 高張力形鋼 |
鋼材 |
山形鋼鉄塔 |
73 |
昭和48年 1973年 |
特集号 |
鉄塔用ボルトの剪断強さに関する研究 |
大阪大学 姫路工大 |
田中政夫 砂田久吉 |
従来ねじボルトの引張強さに関してはその強さに及ぼす各種因子の影響が詳細に究明され,今日ではそれにもとづくねじボルトの引張試験方法が確立,規定(JIS B 1180 参照)されている。反面ボルトの剪断強さに対してはその試験の画一的方法の規定の困難さから試験規格もなく必要に応じ適宣実施されている現状である。 ・・・・ 本研究は主としてこの様な種々の状態における鉄塔用ボルトの剪断強さを知る目的で実施した試験報告である。 |
材料 試験事例 |
ボルト |
軸部 ネジ部 せん断強さ |
74 |
昭和48年 1973年 |
28 |
中空鋼管鉄塔部材の耐蝕性試験 |
日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) |
足立一雄 小南鮮寿 |
近年,送電用支持物として,鋼管鉄塔が多量に使用されている。鋼管材は型鋼材と異なり,建設後の内面再塗装が困難であるので,鋼管内面の亜鉛の消耗が鉄塔耐用年数の決定的な因子となっている。一方鋼管鉄塔部材は主柱材の様に密閉状態に近いものや,腹材のように開放状態に近いものもあるが,内面と外面とは耐蝕上かなり異なった条件下にあり,腐食の挙動も異なっていることが想定される。しかし種々な自然環境下において,各種構造の鋼管内面の亜鉛消耗状態は不明であるので,今回自然環境のもとで,実物を模した試験体による耐蝕性試験を実施した。この試験は10年間の亜鉛消耗量を測定し,管内面の耐蝕寿命を推定しようとするものであるが,今回5年目の測定結果がでたので,それをまとめたものである。 |
試験事例 |
その他 |
耐蝕性 暴露試験 中空鋼管 |
75 |
昭和48年 1973年 |
29 |
大型鉄塔腕金側面プレート座屈試験について |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
現在,送電線鉄塔の腕金取付けパネルの側面斜材は,腕金主材がL100を越える場合に側面水平材との間隔が大きくなれば側面斜材を極力斜材引付点に近づけるようにしていたが,これを正面斜材と同一長さにした場合について,前者との耐力比較および安全性を確認することを目的とした。本試験は日本鉄塔協会の製作基準改訂作業に伴って提議され,試験は昭和48年5月,日本電炉(株)琴平試験場において行なわれた。 |
設計技術 試験事例 |
耐力試験 |
山形鉄塔 プレ-ト |
76 |
昭和48年 1973年 |
29 |
鉄塔に加わるねじり力の解析手法について |
(株)巴組鐵工所 |
広木光雄 |
鉄塔に加わるねじり力についてむかし若干調べてみたこともあるので,これを思い出して述べてみたいと思う。15年ほど前,巴組が中部電力さんの御依頼を頂いてトラス鉄塔に不平均張力が加った時の応力解法の実験研究を行なったことがある。これが筆者がこの問題にタッチし始めた最初である。その後,建築学会の鉄塔構造計算規準(1962)が作成された時もその小委員会に参加させて頂いて,解説に若干私なりの考え方を述べさせてもらった。その後,不勉強でさっぱり進歩していないのであるが,思い出話程度のつもりで書いてみたい。もちろん,これを読まれる方々は鉄塔の設計に関して熟練者がそろっておられるので,先刻このような事は十分承知しているとおっしゃられるかと思うが,ときには解放方法の考え方のプロセスをふりかえって見るのも決して無駄ではないのであろうと考えて,敢えてここに述べる次第である。 |
設計技術 |
解析 |
ねじり力 方形鉄塔 方形断面梁 |
77 |
昭和49年 1974年 |
30 |
環境調和鉄塔の強度試験 |
中部電力(株) |
安生晃一郎 |
近年送電線の用地取得は年々その困難度を加えるとともに,都市化の進展ならびに生活水準の向上にともない環境保全は極めて重要な問題であり,送電線においても環境への調和の必要性は今後さらに強まるものと考えられる。環境調和送電線は自然公園,緑化保全地域などの風致地区,あるいはグリ−ンベルトなどの公共用地等,景観との調和を要求させる地域への対応策として,また都市近郊における用地取得難への緩和策として,その重要性は益々増大している。送電線の美化に対する考え方は個人の主観の問題でもあり,一律に定義づけることは困難であるが,基本的には構造の単純化,簡素化であり単柱ならびにラ−メン結構の支持物がこれに該当するであろう。このような観点に立って,これらの環境調和支持物について研究を進めてきたが,昨年2月日本鉄塔工業(株)豊橋試験場で塔体部八角断面,かん(嵌)合接続ならびに腕金取付部のボルト結合方式の実物大単柱について荷重試験を実施したのでその結果を報告する。 |
設計技術 試験事例 |
耐力試験 |
環境調和鉄塔 モノポール かん合接続 |
78 |
昭和49年 1974年 |
30 |
(社)日本鉄塔協会作成の送電用鉄塔製作基準について |
(株)巴組鐵工所 |
鎌田逸郎 |
昭和48年4月(社)日本鉄塔協会で発表し,各電力会社の送電御担当の皆様に御採用を御願い申し上げました題記製作基準について,電力会社の皆様から御質問を受け,当協会会員から御回答申し上げましたが,的確な御回答になっていないものや,不十分のものがございました。製作基準はその名称の如くに,送電鉄塔製作に於ける各部の寸法,形態に対する規約で,少しく製作加工,発送の定めもございます。この寸法,加工に対しては採用理由がございますが,形態に対してはそれを採用した理由が判然としていないためもございます。鉄塔は風圧により決定的な影響を受けますので,受風面積を少なくするため,ガセットプレ−ト等の使用を少なく,かつ小さくする苦心が払われており,出来るだけコンパクトな鉄塔を製作する必要があります。そのためにアングルゲ−ジは主柱材,腹材,腕金取付部,碇材取部等により異なり,また特殊のゲ−ジまで用い,他の鋼構造部の様に,一つの型鋼では一つの定ったゲ−ジとしているものに比較して,工作図,現寸,加工等に苦心するところでございます。新しく送電鉄塔製作に進出しようとする加工メ−カ−が,このゲ−ジの問題と,主柱材2転びの問題で苦労すると聞いています。つまり送電鉄塔は山地に建設,塗装不可能,運搬困難等のため,他の鋼構造物と異なり,亜鉛めっき,ボルト締,腹材を主柱材に直付け等の差異がおり,また一型多数基製作という送電鉄塔特殊の部材の互換性もあり,コンパクトな構造物にする必要もあり,実物大の鉄塔破壊試験が行なわれ,理論と実際の両面から決定された,点も多く,それが長年の間には規定となった点も多くあるものと思われます。 |
設計技術 試験事例 |
その他 |
製作基準 |
79 |
昭和49年 1974年 |
31 |
マイクロ無線鉄塔の構造設計について |
電電公社 電電公社 電電公社 |
北後寿 木村栄一 今野知則 |
電電公社のマイクロ波無線通信用鉄塔(以下「マイクロ鉄塔」)は,かねてから建築基準法ならびに建築学会計算規準にもとづいて設計されてきた。マイクロ鉄塔はこれまでの20年間に全国各地に建設され,現在1,000基に達している。この間,いく度か強震に遭遇したが.幸い通信障害を起こすような鉄塔の大きな揺れや損傷は発生していない。しかし,昭和43年の日向灘地震と十勝沖地震のさいに,部村のひずみ,ボルトのすべり,柱脚のずれなど,局舎の屋上マイクロ鉄塔に軽微な構造トラブルが発見された。十勝沖地震では.このほかに高架水槽や展望タワーの部材が座屈して大変形をおこす被害が報告されている。これらの事実は,鉄塔が地震動によって危険な影響を受けるおそれのあることを示し,地震カに対する慎重な配慮の必要性を示唆した。 |
設計技術 |
耐震研究 |
無線鉄塔 耐震性能 振動実験 振動解析 |
80 |
昭和49年 1974年 |
31 |
四国電力株式会社道後支線装柱美化鉄塔の概要 |
安治川鉄工建設(株) |
岡村一美 |
昨年1月,四国電力において装柱美化鉄塔の建設が決定された。本鉄塔の施工に当たり設計,製作,組立の各面に亘る総合的な検討を加えるため電力とメーカーの共同開発作業を開始した。
本鉄塔はその目的から形状が美観面より決定されたが,基礎構造,応力解析,加工方法,現地組立,保守作業など多くの問題があった。これらの解決のため数多くの検討会や実験を積み重ね構造細部の決定が行なわれた。
そして昭和49年3月,成功裡に鉄塔組立が完了したもので,この機会に本鉄塔の概要を紹介する。 |
工事概要 |
美化装柱 |
箱形断面 |
81 |
昭和49年 1974年 |
31 |
ボルト頭部首下丸味部の応力集中率測定のための光弾性による方法について |
千葉工業大学 千葉工業大学 千葉工業大学 |
江藤元大 武石洋征 清水秀治 |
構造物の部材が標準試験片と異なる一つの大きな点は,ほとんどすべての部材に切欠があるということである。この切欠部には,断面が一様な部分に作用する応力より,一段と大きな応力が局部的に作用し,その現象は応力集中として知られている。そして,その大きさの程度を表わすものとして,応力集中率(形状係数)という言葉が用いられており,この値が構造物を安全に設計するために重要な役割をなしている。この値を求める方法として,弾性論を用いて理論的に求める方法と,実験的に求める方法がある。そして,この値は,切欠の寸法,形状によって変化するのですべてを理論的に求めるのはむずかしいが光弾性を用いると.簡単に求めることができる。
本レポートでは,光弾性の概要を紹介するため,たとえば,ボルト頭部首下丸味部のように計算で理論的に応力集中率を求めることは困難であるものについて,光弾性法によってどのようにして求めるかを述べようとしたものである。 |
材料 |
ボルト |
応力集中 光弾性 |
82 |
昭和49年 1974年 |
31 |
送電用鉄塔製作基準について |
(株)巴組鐵工所 |
鎌田逸郎 |
鉄塔30号と同じ |
製作技術 |
製作基準 |
ボルト 構造 控えボルト |
83 |
昭和49年 1974年 |
32 |
マイクロ無線鉄塔の構造設計について |
電電公社 電電公社 電電公社 |
北後寿 木村栄一 今野知則 |
実物振動実験や理論解析から求めた結果の妥当性を確かめ,さらに振動時の部材応力の性状を明らかにするため,実在の鉄塔と建物の鋼製模型について振動台実験を行なった。 |
設計技術 |
耐震研究 |
無線鉄塔 耐震性能 振動実験 振動解析 |
84 |
昭和49年 1974年 |
32 |
500kV用角度懸垂鉄塔V吊アーム強度実証試験 |
関西電力(株) (株)酒井鉄工所
|
|
送電線建設工事の合理化と省力化を目的として,常時横振れ角度懸垂鉄塔を採用することになった。
この鉄塔は,1種類の塔体と,横振れ条件で区分した,数種類のアームとを組合わせて使用するものである。したがって,塔体とアームの取合部は,共通性を必要とし,夫々のアーム形状は制約をうける。
特に,常時横振れ角30゜〜45゜の時に用いるX吊装置用のアームは,細長い形となり,しかもアームとのクリアランス確保のため,くちばし状の吊下げ装置を取付けた。 このような吊下げ装置を持った長大アームの実例がないので今回実物大によるアーム強度実証試験を実施し,その結果を取りまとめたので報告する。 |
試験事例 |
懸垂鉄塔 |
V吊腕金 |
85 |
昭和49年 1974年 |
32 |
送電用鉄塔製作基準について |
(株)巴組鐵工所 |
鎌田逸郎 |
鉄塔30号と同じ |
製作技術 |
製作基準 |
構造 控えボルト イカリ材 |
86 |
昭和50年 1975年 |
33 |
鉄塔片継脚についての試験研究報告 |
四国電力(株) 四国電力(株) 日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) |
安達哲央 高島弘 足立一雄 村上文隆 |
近年大容量送電による鉄塔の大型化と共に,用地取得の困難性の増大の為に,峻険な山腹斜面の利用による鉄塔の片継脚の高低差の増大,主柱材と腹材間の開角の狭小化の必要性が高まっている。
従来片継脚の設計は個材座屈により部材決定を行ない,かつ裕度の増加や補助材に対しては軸力検討等といった安全策が講じられてきた。
しかしながら前述のような片継脚になるとその全体の変形の部材応力に対する影響が大きくなると考えられる。
今回片継脚の挙動を実験的に究明するために模型による耐力試験及び理論解析を行なったので実験の概要及び理論的検討結果の概要を報告する次第である。 |
試験事例 |
耐力試験 解析 |
鋼管鉄塔 片継脚 トラス解析 |
87 |
昭和50年 1975年 |
33 |
送電用鉄塔アングル部材曲げ試験報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
送電用アングル鉄塔に使用する鋼材は,アングル,プレート,ボルトが主で,この外に補助部材として,フラットバー,チェッカープレート等がある。この中で,曲げ加工を行なって使用することのあるものは,アングルとプレートである。
今回製作基準改定に当り,曲げ加工規準について電力会社からの御質問もあったので,適正な曲げ加工基準を作成するため,試験を実施して,鋼材の曲げ特性を確認することを目的として行っなたものである。
SS50材に関しては現在殆んど使用されていないので,試験を省略し,SS55材について試験を実施することにした。 |
材料 |
鋼材 |
曲げ加工基準 曲げ試験 |
88 |
昭和50年 1975年 |
34 |
基礎の不同変位による鉄塔強度実証試験 |
関西電力(株) 安治川鉄工建設(株) 大熊鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
|
鉄塔の支持物としての機能を考える時,上部構造の強度と基礎部分の強度がそれぞれ所定の強度にあり.両者の強度のバランスの保たれているものが,経済的であり,かつ十分な機能を有する支持物であると言える。しかるに,鉄塔が支持される基礎部については,地盤状況により.土の持つ諸条件が種々に変化するため多種にわたり,さらに工事の施工条件による影響も大きなため基礎が果すべき役割の重要性或は多岐にわたる調査.研究の必要とはうらはらに,十分な裏付資料がないのが現状である。現状の上部設計は,基礎部は変化しないものとして計算されているが.上述の基礎部の持つ諸要素を加味し,何等かの対策の立案が急務である,この点の解明を計るため1972年12月〜1973年10月に亙り,関西電力(株)総合技術研究所と,安治川鉄工建設(株),大熊鉄工所,(株)酒井鉄工所が協同で試験を行った,本稿は其の際のデーターを関係者の了承を得て,本誌上に掲載するものである。 |
試験事例 |
不同変位 |
基礎 |
89 |
昭和50年 1975年 |
34 |
鋼管鉄塔・U字継手の強度試験 |
九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) |
加藤隆之 足立一雄 |
U字継手は,偏心の少ない構造であること,ボルトが複剪構造で本数を少なくできること,比較的製作が容易であること等の理由により,鋼管鉄塔の斜材,補助材の継手として広く使用されている。吾々は過去数回にわたりこの継手の耐力実験を行ってきたので,ここにその概要について報告する。 |
試験事例 |
継手 |
鋼管鉄塔 U字継手 |
90 |
昭和31年 1956年 |
34 |
溶融亜鉛めっき鉄塔用ボルト(メートルねじ)の実験報告 |
大阪亜鉛鉄工業(株) 大阪精機工業(株) (株)後関製作所 那須電機鉄工(株) 日本鉄塔工業(株) 阪急鉄工(株) |
|
「鉄塔」1969年16号に報告された同実験中の推定値を,確定値にする。および新規にM30(SCR4)を追加する。 |
材料 |
ボルト |
メートルネジ |
91 |
昭和50年 1975年 |
35 |
基礎の不同変位による鉄塔強度実証試験(その2) |
関西電力(株) 安治川鉄工建設(株) 大熊鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
|
鉄塔34号と同じ |
試験事例 |
不同変位 |
基礎 |
92 |
昭和50年 1975年 |
35 |
鋼管鉄塔腹材仕口構造の強度試験 |
東京電力(株) 日本鉄塔工業(株) |
|
送電用鋼管鉄塔の腹材等の接合方法として,鋼管の両側に溶接したプレートを介して,鋼管壁に垂直な荷重を一方から反対側に伝達する構造が多く使用されている。最近,鉄塔の大型化につれて,これらの仕ロも大型化し,高強度のものが必要となってきている。
しかし,ガセットプレート部分の強度の考え方については,これまで実証的破壊試験および経験的実績によって処理され系統的な検討がなされていなかった。
そこでこれらの点について系統的な一連の実験研究を行った結果,腹材仕口構造の強度の考え方について普遍的堆定が可能となったので,ここにその概要を報告することとした。 |
試験事例 鋼管鉄塔 |
仕口 |
腹材 |
93 |
昭和50年 1975年 |
35 |
鋼管U字端部構造耐力試験報告書 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
送電用鋼管鉄塔の腹材継手として,広く用いられているU字継手は 偏心量が少ない 取付けボルトが複せん断方式になる などの利点がある。しかし一方,U字プレートと相手側ガセットプレートとのすきま,すなわち建てかた時の納め代(通常,ガセットプレート厚プラス2〜3mmであるが製作誤差が加わることがある)のため,ボルト締付け後も特に鋼管に近い部分は,ガセットプレートに密着していないことも多い。このような状態におけるU字部分の耐荷力を調査するため,実物大のU字継手供試体を製作し,引張試験を行なった。 |
試験事例 |
継手 |
鋼管鉄塔 腹材継手 U字継手 |
94 |
昭和51年 1976年 |
36 |
環境調和鉄塔の強度試験(U) |
中部電力(株) |
工務室 |
近年,環境保全は極めて重要な問題となってきており送電線においても周囲の景観との調和の必要性は今後ますます増大するものと思われる。送電線の美観については個人の主観の問題もあり一律に規定することは困難であるが,基本的には構造の単純化,簡素化であり,モノポールならびにラーメン構造の支持物がこれに該当すると思われる。ラーメン鉄塔は美観的にもモノポールに比べ多少劣るとも考えられるがかなり大きな規模の鉄塔にまで適用可能であり,工法ならびに適用地域の制限が少なく,また経済的にも有利になると思われるこのような観点からモノポールに引き続きラーメン鉄塔について研究を進め,強度試験を実施,この結果について報告する。 |
試験事例 |
骨組 継手 環境 |
モノポール ラーメン鉄塔 環境調和 2脚柱 |
95 |
昭和51年 1976年 |
36 |
中空鋼管鉄塔節点耐力についての実験的研究 |
九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) |
加藤隆之 足立一雄 |
中空鋼管鉄塔の主柱材と腹材との接合部の強度については,此迄にも数度試験研究が実施され,其等の結果に基づいて,設計式が提案されている。而し最近鉄塔は益々大型化し,特に海峡横断鉄塔ともなると,其の規模や荷重の大きさが,従来の鉄塔とは比較にならない程大きくなるので,今回再度大型鉄塔を対象とした,節点の強度試験を実施した。 |
試験事例 |
節点 耐力試験 |
ガセットプレート 耐力 補強リブ |
96 |
昭和51年 1976年 |
36 |
鉄塔用ボルトの剪断強さに関する研究 |
大阪大学 |
田中政夫 |
各種鉄塔用ボルトの種々の状態における剪断強さ,すなわちボルトやその部材の種類,形状,寸法あるいは締結状態などが,見掛けの剪断破壊荷重にどのような影響を及ぼすか,またボルトの軸部剪断とねじ部剪断ではどのような強さの相違があるかなどについて実験的研究をおこない報告した。本報告は引続きボルトの軸部剪断強さに及ぼす剪断面のクリアランスの影響およびボルトのねじ部剪断強さに及ぼす剪断工具の嵌合(円筒嵌合およびねじ嵌合)の影響について検討したので,その結果を述べたものである。 |
試験事例 |
ボルト |
軸部剪断 ネジ部剪断 クリアランス |
97 |
昭和51年 1976年 |
37 |
狭根開き鉄塔の耐力試験について |
東京電力(株) |
送変電建設本部 |
近年送電線建設用地の有効活用からグリーンベルト,公園等の公共用地の利用が要請され,極端に根開きの狭い鉄塔が必要となってきた。このような細長化された鉄塔の安全性を確認するため昨年3月日本鉄塔工業竃L橋試験場で,実物大鉄塔により荷重試験を行い部材応力分布,耐力,変形量,振動周期を調査したのでその結果を述べるものである。 |
試験事例 |
振動 耐力試験 |
振動周期 変形量 耐力 狭根開き |
98 |
昭和51年 1976年 |
37 |
高根信濃線2L新設工事狭線間三角配列えぼし型鉄塔について |
中部電力(株) |
山田久 |
標記の狭線間三角配列えぼし型鉄塔は,信濃変電所近傍の平坦地に使用したものでその目的は名称の通り線間の縮小による地域との協調である。この鉄塔の形状は国内外で使用されている三角配列えぼし型鉄塔を基として,下段腕金の取付構造に新方式を導入することによって,より多くの狭線間化を計ったものである。ここに本鉄塔について荷重試験の内容を主にした紹介と,当送電線の概要を述べる。 |
特殊工事概要 |
|
狭線間 三角配列 えぼし鉄塔 |
99 |
昭和51年 1976年 |
37 |
鋼管材のカルマン振動についての実験的研究 |
九州電力(株) 九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) |
加藤隆之 溝口誠治 足立一雄 原田博志 |
鋼管鉄塔の比較的細長比の大きな鋼管部材には,主としてカルマン渦に起因すると考えられる振動現象が発見されている。これら部材のカルマン振動については過去にも実験研究を行ったが,当時は鉄塔の規模もあまり大きくなく対象となる鋼管径も139.8φmmどまりであった。大型鉄塔については,部材のサイズ,長さや接合条件が普通の鉄塔とは違ったものとなるものと考えられ,これらの部材について振動特性の検討を行う必要が生じる。鉄塔は周知のとおり,非常に多くの部材からなっていて,これら部材はサイズ・長さ・接合条件(継手形式,支持条件,相手側部材及びガセットプレート等の剛性)など振動性状に影響を与える多くの要因を含んでいる。カルマン渦による部材の振動性状は,これら要因の組合せによって微妙に変化すると考えられるので,そういった要因を考慮した上で振動実験を行った。 |
試験事例 |
振動 |
カルマン振動 カルマン渦 固有振動 風洞実験 |
100 |
昭和51年 1976年 |
38 |
MC鉄塔大径鋼管継手構造の研究 |
関西電力(株) |
MC研究会 安治川鉄工建設(株) 大熊鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
鋼管構造の中で最も重要で,しかも多くの問題点を残しているのは接合部の設計である。MC鉄塔をわが国に紹介された当時は,主柱材鋼管の継手としてMC継手を推奨していた。然しこのMC継手の製作加工および現場施工は何れも難しく又慣れにくい等の理由で僅か数基に試験した程度でそれ以後は全く用いられてない。MC鉄塔の主柱材継手は最初から現在にいたるまで殆ど大部分がフランジ継手を使用しており,ボルトによる引張型の接合に属するものである。そこでMC鉄塔主材鋼管の接合について関係メーカーと共同で研究を進め,今回新たにリブなしフランジ継手の開発を行った。それら各種検討を加えた経過概要について述べるものとする。 |
設計技術 |
継手 |
MC鉄塔 リブなしフランジ継手 |
101 |
昭和51年 1976年 |
38 |
各国における架空送電線の設計,企画の現状とその動向 |
電源開発(株) |
島田潔 |
各国における架空送電線設計に関する国家規定,基準および各機関における設計基準の内容と設計に対する考え方の現状と今後の動向について,調査したので報告する。調査した国は,アメリカ,カナダ,イギリス,フランス,イタリー,西ドイツ,スウェーデンの7ヶ国である。 |
設計技術 |
その他 |
海外 国家規定 設計基準 調査 |
102 |
昭和51年 1976年 |
38 |
鉄塔主柱材継手の研究 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
現在,山形鋼鉄塔では単一主柱材の継手にはラップ形式を使用し,主柱材の設計に際しては,JEC-127の許容応力度Bカーブを適用している。最近,複雑化した構造上の要請から,バット形式の継手も多々使用されるようになったが構造上の仕様が確定しておらず,また設計上,継手の剛性および継手を含む主柱材の強度について調査しておく必要がある。このため,ラップおよびバット形式の継手について,個材の引張試験を行い,その挙動を調査し,また,その一部の形式について構造体の中での耐力との関係を比較し,今後の実験試料とするものである。 |
設計技術 |
継手 |
バット ラップ |
103 |
昭和52年 1977年 |
39 |
MC鉄塔大径鋼管継手構造の研究(その2) |
関西電力(株) |
MC研究会 安治川鉄工建設(株) 大熊鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
鋼管構造の中で最も重要で,しかも多くの問題点を残しているのは接合部の設計である。MC鉄塔をわが国に紹介された当時は,主柱材鋼管の継手としてMC継手を推奨していた。然しこのMC継手の製作加工および現場施工は何れも難しく又慣れにくい等の理由で僅か数基に試験した程度でそれ以後は全く用いられてない。MC鉄塔の主柱材継手は最初から現在にいたるまで殆ど大部分がフランジ継手を使用しており,ボルトによる引張型の接合に属するものである。そこでMC鉄塔主材鋼管の接合について関係メーカーと共同で研究を進め,今回新たにリブなしフランジ継手の開発を行った。それら各種検討を加えた経過概要について述べるものとする。 |
設計技術 |
継手 |
MC鉄塔 リブなしフランジ継手 |
104 |
昭和52年 1977年 |
39 |
二本柱ラーメン骨組環境調和鉄塔の風洞実験報告 |
東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
室岡満治 茂筑智美 石川 透 |
都市近郊における市街化の進展ならびに生活水準の向上に伴う電力需要の増大に対処するため,現在送電設備の増強工事が鋭意実施されているが,市街地を通る架空送電線の用地確保が困難な状況下にあり,自然公園,緑化保全地域あるいは河川敷,道路沿い等公共用地への共用を図るなどの対応策が必要になってきた。以上のような社会的要請に応え,環境調和鉄塔の研究が積極的に進められ,その結果,現在では単ポールの実用化に至っている。しかし,この単ポールは柱脚固定の単純な片持梁であるため,鉄塔規模あるいは荷重の大きい場合には,たわみ量の増加ならびに塔体幅の増大が顕著になる。そこで規模の比較的大きい4回線送電線の環境調和鉄塔として,二本柱(円形断面)ラーメン骨組の研究開発に取組み,応力解析,構造面に関する種々の検討を重ねるとともに,荷重面では,鉄塔風圧力の問題を究明するため,類似構造物についての空気力に関する資料を調査し,さらに風洞実験を行って空気力学特性を調べた。ここに,66kV4回線鉄塔の1/40縮尺模型で実施した風洞実験の実験概要を報告する。 |
試験事例 |
その他 |
ラーメン骨組 二本柱 風洞実験 環境調和 |
105 |
昭和52年 1977年 |
40 |
送電鉄塔の設計荷重に関する海外の実情 |
電力中央研究所 |
坂本雄吉 |
新しい設計標準では,現在各国の建築物設計標準などで採用されている極限荷重設計法を採用しようとしている。この設計法は架空送電線路がその在置期間に受ける極限的な荷重を近代統計理論にもとづいて推定し,これによって生づる部材の応力を降伏点許容応力度と対応させて設計するもので,信頼性および経済性の向上に多くの利点を有する。しかし他方,この設計法の採用のためには各種荷重の推定およびその組み合せを正確にまた合理的におこなう必要があり,また鉄塔設計と架線設計との関連など多くの検討すべき問題点を残している。そこで委員会ではこの検討のための資料を収集し併せて新しい設計標準を国際性を持った合理的なものにすることを目的として,海外各国の諸機関の設計の実情を調査することとなった。 |
設計技術 |
荷重 |
風荷重 着氷雪荷重 海外 調査 |
106 |
昭和52年 1977年 |
40 |
MC鉄塔大型化に伴うU字継手構造の研究 |
関西電力(株) |
MC研究会 安治川鉄工建設(株) 大熊鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
鉄塔の大型化が進むにつれ,各部材の応力は増大してくるが,これに対応する腹材の仕口構造は従来の考え方を単にスケールアップするだけでは,その信頼性に不安がある。U字継手構造についても,U字プレートの変形・応力集中等による局部応力の性状を十分調査研究し,合理的な形状・寸法を定め,妥当な補強方法を採用する必要がある。本研究は,現行の基本形状を種々改良して試験を行いその特性を把握し適切な補強方針を導き出すとともに,新形式の継手構造を開発することも目的として実施した。 |
設計技術 |
継手 |
U字継手 U字プレート MC鉄塔 |
107 |
昭和52年 1977年 |
40 |
台風時における鋼管鉄塔の振動 |
九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) |
末吉昭典 足立一雄 |
電力の需要増加に対する大電力の供給は送電用鉄塔の大型化高層化を生み,最近は高さ100mを越える鉄塔も珍らしくなくなっている。送電用鉄塔の大型化につれて,耐風設計の立場から従来の静的風荷重に加えて自然風の乱れを考慮した動的耐風設計が必要になりつつある。ところが送電線用鉄塔のような構造物の設計に必要な自然風の鉛直方向の空間構造に関する資料は十分であるとは言い難い。また自然風だけに限らず,送電用鉄塔自体の空気力学的係数も不明な点が少なくない。殊に自然風の乱れの中での鉄塔自体の抵抗係数や空気力学的減衰係数に関する資料は非常に少ない。今後強風時の自然風と鉄塔自体の振動との同時測定や風洞実験を行って基礎的資料を蓄積してゆくことが必要と考えられる。この報告は強風時における自然風と鉄塔の振動の同時測定記録の解析結果の概要を説明したものである。 |
設計技術 |
その他 |
自然風 測定記録 変動風速 乱れ |
108 |
昭和52年 1977年 |
40 |
ガセットプレートの応力伝達の1思考 |
(株)巴組鐵工所 |
広木光雄 |
最近電子計算機の進歩は目覚しく,これに伴って鉄塔の自動計算はもとより,高度な解析技術を駆使する技術計算方面での計算機の活躍はまさに目をみはらせるものがある。技術は日進月歩で前進している以上,現在利用出来るものは十分活用して,より厳密な解答を求め,次の新しい課題に挑戦すること自体は非常に有意義なことである。ここではガセット・プレートの荷重伝達幅について考えてみたいと思う。 |
設計技術 |
節点 |
ガセットプレート 荷重伝達幅 |
109 |
昭和52年 1977年 |
41 |
特殊ゆるみ止めナットを用いたメッキ部材のボルト継手における繰返し加力実験 |
日本電信電話公社 (株)泉創建エンジニアリング (株)泉創建エンジニアリング (株)泉創建エンジニアリング (株)泉創建エンジニアリング |
望月一郎 松本毅 広木光雄 玉松健一郎 米田清 |
電々公社の無線鉄塔で山形鋼を使用したトラス構造形式のものでは,構造材はすべて溶融亜鉛めっきを施し,主要部材の接合には中ボルトと特殊ゆるみ止めナットを使用するように規定されている。今回の研究ではボルト穴の径がめっき前でボルトの公称軸径の+1.0mm以内とされ,溶融亜鉛めっき後で+0.4mm程度である母材の,溶融亜鉛めっきされたボルトおよび特殊ゆるみ止めナットにより接合されている接合部が繰り返し荷重を受けた場合に如何なる挙動を示すか調べる目的で実験を行った。 |
設計技術 |
継手 |
ボルト接合部 繰り返し荷重 ゆるみ止め |
110 |
昭和52年 1977年 |
41 |
MC鉄塔大型化に伴うU字継手構造の研究 |
関西電力(株) |
MC研究会 安治川鉄工建設(株) 大熊鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
前号からの継続。 |
設計技術 |
継手 |
U字継手 |
111 |
昭和52年 1977年 |
41 |
鋼管鉄塔用フランジ継手について |
(株)酒井鉄工所 |
一法真嵯男 |
鋼管の接合には通常,溶接接合とボルト接合が用いられているが,送電用鋼管鉄塔では現場施工が容易な点で主としてボルト接合が採用されている。ボルトを引張材として使用する場合にはリブで補強されたフランジ継手が一般的であるが,この形式では製作面や施工面で難点があるので最近ではハブ付きフランジが使用されるようになってきた。フランジの設計についてはJISフランジの式などがあるが,ここでは実際の使用状態に近い条件で解析を試みた。 |
設計技術 鋼管鉄塔 |
継手 |
ボルト接合 フランジ JISフランジ |
112 |
昭和52年 1977年 |
41 |
中空鋼管鉄塔部材の耐蝕性試験 |
日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) |
小南鮮寿 荊尾治邦 |
鋼管鉄塔は建設後の内面再塗装がほとんど不可能なため,鋼管内面の亜鉛の消耗が鉄塔耐用年数の決定的な因子となっている。鋼管鉄塔部材は,内面と外面とでは耐蝕上かなり異なった条件下にあり,腐蝕の挙動も異なっていることが想定される。外面に対しては異なった自然環境化における耐食性についての試験は種々行われ,耐用年数の推定は可能である。これに反して鋼管内面の亜鉛の消耗状態は不明であるので,自然環境化における実物を模した試験体による10年間の耐蝕性試験を実施した結果をまとめた。なお主柱材の水抜き溝有無による亜鉛の消耗についての結果も最後に付記しておく。 |
試験事例 鋼管鉄塔 |
めっき |
耐食性試験 亜鉛付着量 内面腐食 |
113 |
昭和52年 1977年 |
41 |
ボルト継手構造の応力分担に関する研究報告書 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
近来送電用鉄塔は大型化,大容量化の傾向を強めてきて,鉄塔の各部材には巨大な荷重がかかることになる。一方ボルトは通常M24を上限としているため大荷重に対しては,ただボルト本数を増加させることにより対応させている。また,ボルトを一列に配置する場合6本以上は避けるようにと提言している研究報告もあるが,鉄塔製作においては8〜12本打ちもやむを得ないとしているのが現状である。以上の理由により構造設計の指針を確立させるため,51年度の研究課題として採り上げることにした。 |
試験事例 |
ボルト 継手 |
一列打ちの応力分担 ボルト制限本数 |
114 |
昭和53年 1978年 |
42 |
実大鉄塔荷重試験について |
東京電力(株) |
松岡正矩 |
昭和52年夏,茨城県結城郡八千代町にある500KV新筑波変電所を起点として東西にそれぞれ既設原子力線及び佐野変電所に連繋する154kV筑南線と栃南線が新設された。このうち.154KV筑南線は,多回線高強度鉄塔として,骨組の簡素化,環境との調和,組立工事の省力化をはかった。 また,本線路の代表的な懸垂,耐張型鉄塔各1基につき,実規模で荷重試験を行ない,支持物の耐力を確認した。 |
試験事例 |
耐力試験 振動 |
実規模試験 1520mm2 静荷重試験 |
115 |
昭和53年 1978年 |
42 |
送電用鉄塔の常時微動振動試験 |
日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) |
足立一雄 原田博志 矢野勝義 |
送電用鉄塔は,台風時に複雑な振動をしているものと考えられる。そこで鉄塔の振動性状を実測により求め台風時に於ける鉄塔の動的解析の基礎的資料を得る目的で実在のいくつかの鉄塔について微風時に於ける常時微動の測定を行った。従来の測定方法に替るより簡単な,より正確な振動性状の調査法として常時微動測定による解析法を採用した。この方法の基本的な考え方は,構造物は常時微少振動をしているが,この微少振動には当然構造物の固有振動を卓越して含んでいるはずであるから,常時微動を定常ランダム過程と仮定してスペクトル解析を行うことによって鉄塔の振動特性を求めようとするものである。 |
試験事例 |
振動 |
微風時 常時微動振動 スペクトル解析 |
116 |
昭和53年 1978年 |
42 |
既設の鋼管鉄塔に取付ける防雀金具の開発 |
(株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
永山通康 三木茅昶 |
最近,送電線鉄塔の斜材,水平材に雀,その他の鳥類が営巣し,糞尿等によって部材が局部的に腐食する等の問題が生じている。この原因は鉄塔に使用している斜材,水平材に鋼管を使用しているため,端部が半円形の開口状態となり,鳥にとって,好適な棲家となっているためであった。従来の防雀金具にない高所作業で取付が容易であり,容易に加工ができる単純な形状であることを条件として検討を加えて下記の2方法を考案した。
1.スポンジゴムを挿着する方法。
2.ステンレススチール製薄板を接着する方法。 |
診断・補修技術 鋼管鉄塔 |
既設鉄塔の防雀金具 |
ステンレススチール製薄板 接着剤 |
117 |
昭和53年 1978年 |
43 |
信濃幹線における箱型腕金の試験について |
中部電力(株) |
辻泰司 |
275kV設計による信濃幹線の経過地のうち,山形鋼鉄塔採用区間は全般的に高標高(900m〜1400m)で多雪地帯であるため,電線着氷雪の諸現象に対する配慮から腕金形状が一般的な500kV送電線に比較すると大規模なものになっている。この大規模腕金を適用するにあたり実施した実規模腕金の耐力試験について概要を記述する。 |
試験事例 |
耐力試験 |
着氷雪設計 実規模腕金試験 |
118 |
昭和53年 1978年 |
43 |
鉄塔用ボルトのせん断強さに関する研究 |
大阪大学 姫路工業大学 |
田中政夫 砂田久吉 |
鋼管U字継手などに用いられる締付けボルトでは継手重ね板の厚さによっては剪断面クリアランスはさらに大きい状態で使用される場合もある。このようなボルトの見掛けの剪断強さを知る目的で,本報告では剪断面のクリアランスを1,5,10mmとし,剪断個所はボルトの軸部のみならず,ねじ部剪断についても,剪断切刃の組合せを変えて試験を行ない検討した。 |
試験事例 |
ボルト |
ボルト せん断強さ |
119 |
昭和53年 1978年 |
43 |
ボルト継手構造の応力分担に関する研究報告書 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
前号からの続き |
試験事例 |
ボルト 継手 |
一列打ちの応力分担 ボルト制限本数 |
120 |
昭和54年 1979年 |
44 |
鋼管鉄塔の溝型継手,CP仕口の耐荷試験 |
東京電力(株) 日本鉄塔工業(株) |
山岸啓利 足立一雄 |
鋼管鉄塔の主柱材と腹材の接合は,U字継手が広く使用されてきたが,ガセットプレートにさし込む構造のため組立施工において難点があった。 この改善方法としては,腹材を外側から取付ける単板形式のものが優れているが,この構造は偏心が生じ強度低下をきたすことになる。そこで,強度低下を剛性の高い溝形状の金具(溝型継手)及び,T字金具と山形添接材の組合せによる交点仕口(CP仕口)を使用することによって補完する方法を検討し,実用化に踏み切ることとした。 |
試験事例 鋼管鉄塔 |
継手 |
溝形継手 CP仕口 疲労耐力試験 |
121 |
昭和54年 1979年 |
44 |
鋼管腕金の風洞実験 |
東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 (株)泉創建エンジニアリング |
山岸啓利 広木光雄 伊沢 健 米田 清 |
従来,送電用鉄塔の腕金には,山形材が使用されてきた。しかし,最近の送電容量の増大等から,腕金先端に加わる電線荷重は著しく増大しており,腕金構造の改善が望まれるようになった。 奥清津秩父線の鉄塔の腕金には,鋼管材を採用し.主材2本,吊材1本で構成した3角断面腕金を本格的に用いた。従来と異なった腕金形状の風圧力算定のもととなる空気抵抗を求めるため,風洞実験を東京大学宇宙航空研究所で実施した。 |
試験事例 鋼管鉄塔 |
骨組 その他 |
三角腕金 風圧力算定 空気抵抗td>
|
122 |
昭和54年 1979年 |
44 |
ボルト継手構造の応力分担に関する研究報告書 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
前号,前々号続き |
試験事例 |
ボルト 継手 |
一列打ちの応力分担 ボルト制限本数 |
123 |
昭和54年 1979年 |
44 |
ボルト接合部の力学的挙動に関する一実験 |
日本橋梁(株) 日本橋梁(株) |
中野哲也 角田和長 |
ここ数十年来,せん断支圧型ボルト継手をもつ鉄構(あるいは鉄塔)に対して,過去幾度か振動実験が行なわれているが,得られた結果は実際の耐震設計に適用するまでには至っていない。 せん断支圧型ボルト締構造物は継手部にいくらかのボルトクリアランスをもつために,振動に対してある程度のエネルギー吸収能力をもつと考えられ,それによって振動時の減衰力がいくらか期待できるものと思われる。そこで,構造物の振動性状を把握するための一過程としてボルト継手部のみに着目した実験を行なった。 |
試験事例 |
継手 |
振動試験実験 静的履歴特性 ボルト接合部すべり |
124 |
昭和54年 1979年 |
45 |
JEC改訂と鉄塔使用鋼材の許容応力度 |
電気学会 東京電力(株) |
堀貞治 山岸啓利 |
今回,わが国のJEC 送電用鉄塔設計規格の改訂に当っては,先づ先進諸外国の現行国家規程並びに設計指針の内容を十分調査し,JEC規格改訂に努力して来た。この全文は,何れ電気学会より発表になるものであるので,鉄塔に最も関係の深い日本の鉄塔メーカ−の方々に,何よりも早くお知らせすることが,必要と思い,最近における使用鋼材の実態と許容応力の大要を述べるものである。 |
材料 |
鋼材 |
機械的性質 耐候性鋼材 |
125 |
昭和54年 1979年 |
45 |
500kV鉄塔鋼管腕金の載荷試験について |
東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
山岸啓利 廣木光男 鷹尾真三郎 伊沢 健 |
従来,送電用鉄塔の腕金には製作,施工,保守面の容易さから,山形材が使用されてきた。しかし,最近,送電容量の増大に伴ない,従来の山形材による腕金構造の合理化が必要となった。検討を重ねた結果,鋼管の特性を生かした三角断面が,最適であることなどの結論が得られた。しかし,この鋼管腕金の実用化には,細部構造,組立施工および保守作業に配慮すべき点を把握する必要性から,実規模鋼管腕金を試作し,組立,保守面の調査ならびに定荷重試験による応力分布の測定と,破壊試験による耐力の確認を行った。 |
試験事例 鋼管鉄塔 |
骨組 耐力試験 |
三角腕金 定荷重試験 応力分布測定 破壊試験 |
126 |
昭和54年 1979年 |
45 |
送電用鉄塔における溶接技術の課題 |
科学技術庁 |
稲垣道夫 |
溶接は局部的にエネルギーを与えて材料間の原子結合を行う技術で,いまや圧力容器,貯槽,ポイラ,橋梁,鉄塔,建築などの構築物,各種の機械など,ほとんどあらゆる構造物や製品の「組立て技術」として広く使われ重要な役割を果している。
送電用鉄塔において,溶接を用いる場合の課題を整理し,溶接施工時のチェック要点などを検討した。 |
製作技術 |
溶接 |
施工技術 製作フロー |
127 |
昭和54年 1979年 |
46 |
77kV狭根開き鉄塔耐力試験 |
関西電力(株) 安治川鉄工建設(株) 大熊鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
|
最近厳しい用地事情に加えて都市周辺部における住宅建設等の増加に伴い狭敷地内での鉄塔建設が強いられたり,また既設送電線の支障発生に対処するため狭い既設敷地内での鉄塔嵩上げ工事などが増えてきているが,この傾向は今後さらに強まることが予想されている。このような箇所では鉄塔敷地などの制約のため標準鉄塔の採用ができなく鋼管単柱を用いることが多いが重量も重く建設費も高くつく。こうした用地上の制約ならびに建設費の高騰に対処するため狭敷地に適応しうる支持物として狭根開き用支持物の開発が急がれるようになった。今回狭根開き支持物として各種の形状,構造について比較設計検討を行い実情に適応できる合理的また経済的な形状構造の支持物を開発してその実用化をはかるため実鉄塔を試作して耐力試験を行った。 |
設計技術 試験事例 |
荷重 骨組 解析 強度 |
狭根開き たわみ 固有振動周期 |
128 |
昭和54年 1979年 |
46 |
鉄塔用ボルトのせん断強さに関する研究(せん断強さに及ぼす過大締付け力の影響) |
大阪大学 姫路工業大学 大阪亜鉛鉄工業(株) |
田中政夫 砂田久吉 似内理惣冶 |
鉄塔用ボルトが取り付けに際し,あやまって過大に締め付けられた場合ボルトの機械的性質のうち,ねじ部せん断強さにどのような影響があるかは関係者の関心事である。しかし今までこれに関する報告が少なく,筆者らは先般よりこれらのボルトのせん断強さについて一連の実験的研究を続け,今回せん断強さに及ぼす過大締め付け力の影響の試験結果をまとめたのでここに報告する。 |
材料 試験事例 |
ボルト |
締め付けトルク ネジ部 せん断強さ |
129 |
昭和55年 1980年 |
47 |
77kV狭根開き鉄塔耐力試験 |
関西電力(株) 安治川鉄工建設(株) 大熊鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
|
46号からの継続。考察およびまとめ。 |
設計技術 試験事例 |
荷重 骨組 解析 強度 |
狭根開き たわみ 固有振動周期 |
130 |
昭和55年 1980年 |
47 |
500kV鉄塔の地線腕金載荷テスト |
四国電力(株) 日本電炉(株) |
大西勝 藤村和男 |
四国中央東幹線(500KV2回線TACSR410mm2×4導体)の設計に当たって,雷害に対する信頼度の向上を図るため,負のしゃへい角を採用するとともに,塔体を軽量化するため塔体幅を狭くとった。このことから,地線腕金が従来より細長化したので,支持物の信頼性,経済性検討の一環として,架空地線腕金と部分塔体について,実規模の実験を行った。 |
設計技術 試験事例 |
骨組 解析 腕金 |
地線腕金 応力分担 |
131 |
昭和55年 1980年 |
48 |
ネックフランジ継手疲労試験 |
九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) |
加藤隆之 黒木英嗣 箱崎一志 |
送電用鋼管鉄塔の主柱材継手には,ネックフランジ継手が多く使われている。溶接の自動化により,適正な溶接条件を与えれば均一で充分な強度を有することが幾多の耐荷試験で実証されているが,疲労強度についての実験例は少ない。そこで今回,従来からしようされてきたSTK41鋼管用ネックフランジ継手およびSTK55鋼管用ネックフランジ継手の疲労に対する安全性を確認するため(1)静的引張試験(2)疲労試験を行い,あわせて(1)静的引張試験により継手各部の応力度分布を測定し,溶接止端部の応力集中係数がどの程度か。(2)疲労試験によりS-N関係式を作成し,STK41とSTK55の疲労強度に差があるかどうか。について調べた。 |
製作技術 試験事例 |
溶接 継手 疲労 |
ネックフランジ 応力集中 溶接止端部 |
132 |
昭和55年 1980年 |
48 |
ボルト締め鉄塔における動的解析三手法の一試案について |
那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) |
若林安弘 竹本正眞 |
送電線鉄塔における耐震動的解析については既に線形解析でかなり検討が行われその結果の一部が発表されている。これらのデータによればJECで計算された許容強度に対し500KV級では40〜80%以内に止まり安全について特に問題とされることはないように思われる。しかし近年の鉄塔は,電力需要家に対する安定供給や送電効率化等により益々大型化の傾向にあり,また形状,構成部材も複雑となり必ずしもその安全性に楽観は許されなくなってきたようにも思われる。本報告は自由な立場から常々ボルト締め構造の動的解析に興味を持っていたところで,鉄構の耐震性についての一連の確認実験データを入手できたことを奇貨として,特にボルト締め構造物の部材間すべりの影響に焦点を絞った動的解析の手法について模索したものである。 |
設計技術 |
解析 |
地震 ボルト接合部すべり |
133 |
昭和56年 1981年 |
50 |
送電用鉄塔の耐震問題について |
三菱重工業(株) 三菱重工業(株) |
中尾好昭 松本竹二 |
送電用鉄塔は従来から風荷重で設計されたものは地震による荷重に対し十分安全に耐えるものとしその検討が一般に省略されてきた。すなわち我が国において発生した数々の大地震に対し送電用鉄塔は地盤の隆起,陥没,地割れ等の地形変動に起因した被害は見られるが,地震動による振動に伴う部材損傷は皆無である事実から地震荷重に対して十分安全と考えられてきた。しかし送電用鉄塔が大型化し,さらには腕金・碍子の長大化,架渉線の多導体化などからトップヘビーの状態になることが予想され,その耐震性についても十分検討しておく必要が生じ始めた。本稿は鉄塔の耐震検討に応用できる類似構造物の既往の研究成果を整理するとともに,山岳地での地震外力・鉄塔・架渉線の連成・腕金部の耐震強度等送電用鉄塔固有の問題からくる研究の方向について,その概略をとりまとめたものである。 |
設計技術 |
解析手法 |
地震 連成系 ボルト接合部すべり |
134 |
昭和56年 1981年 |
50 |
鉄塔載荷試験の解析における「多次元最小2乗法の利用」 |
日本電炉(株) 日本電炉(株) |
藤村和男 塩出基夫 |
近年,鉄塔の大型化に伴い,業界では種々の実証試験が行われ,得られた測定データをもとに,多くの解析がなされている。その場合,得られた測定データが妥当なものであるのか,誤差がどれくらいあるのか,ということが問題となる。或は試験において,経済的な理由や設備的な理由で,解析者が考える裁荷状態をとれないこともある。以上のような問題を解決する一つの方法として,以下に試験解析における多次元最小2剰法の利用について述べる。 |
その他 |
解析手法 |
データ処理 |
135 |
昭和56年 1981年 |
51 |
送電用支持物設計標準JEC127(1979)研究会報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
堀委員長よりJEC−127の初制定時からの経緯,今回改訂の必要性,およびその成果等について,つぎのような概要説明がなされた。「日本の送電用支持物設計標準規格はもともとアメリカのNASCによるところが多く,これに日本の気候風土の諸条件を採り入れ,1926年に初めて送電用鉄塔,鉄柱,コンクリート柱の規格(JEC)が制定され,以来今日まで60年近い歳月を経過している。この間台風や豪雪による被害,戦争による鋼材不足などから過去6回ほど規格が改訂されたが,根本的な改訂はなされてなかった。このため現時点のように送電技術が発達し,UHV等大容量送電による長距離送電や小電力送電といえども今後は代替エネルギー(太陽熟,風力,小水力,地熱,波力等の発電)供給政策からも,またその社会的環境保全上からも電力の有効送電は重要な問題であることから,この際送電用支持物設計標準規格を根本的に改訂する必要に迫られて来た。 |
設計技術 |
荷重 解析手法 |
設計風圧 風速40m/s |
136 |
昭和56年 1981年 |
51 |
送電鉄塔のダブルワーレン腹材の設計法について |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
送電鉄塔の結構形式で広く用いられているダブルワーレントラスの腹材(斜材)交点はトラス面内方向に対しては腹材相互に支持された節点を形成するが面外方向については腹材を連続材としてその曲げ剛性を期待するような節点となる。従って,面外方向の座屈の検討に用いる等価座屈長は,交差する腹材の剛性や,作用軸力によって変化する。送電用鉄塔で現在行われている腹材の設計法は,鉛直荷重を全て主柱材で負担し,腹材は横荷重と,ねじり荷重より生じる横力のみ負担するものと考え,交差する腹材にはそれぞれ同じ大きさの引張り力と圧縮力が作用するものとして設計されている。圧縮力と同じ大きさの引張り力が作用した場合,腹材交点の面外方向の移動は引張り腹材によって十分支持されているものと見なせるため,座屈長は常に節点長を用いて設計されている。 |
設計技術 |
骨組 解析手法 |
ダブルワーレン 曲ゲ剛性 座屈長さ |
137 |
昭和56年 1981年 |
52 |
送電用鉄塔片継脚の座屈耐力の研究 |
東京工業大学 東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
鈴木敏郎 山岸啓利 佐藤亘宏 深沢隆 |
山岳地の送電用銃塔に用いられる片継脚は,図1に示すように,主柱材,腹材を補助材,裏打材で補剛した変断面組立柱材であり,節点間での個材座屈よりも片継脚の全体としての座屈の方が優先する場合のあることが知られている。東京電力株式会社が現在採用している送電用鉄塔の片継脚設計指針における主柱材,腹材の全体座屈裕度,補助材の主柱材圧縮応力に対する応力倍数は,東京電力株式会社と那須電機鉄工株式会社が共同して実施したエネルギー法による弾性全体座屈理論解析と弾性立体応力解析を用い,片継脚の座屈耐力に影響を及ぼす諸パラメータを変化させたパラメトリックスタディから求められている。しかしながら,近年送電容量の大型化などに伴い,送電用鉄塔片継脚の設計において次のような点を考慮する必要のあることが指摘されている。大型送電用鉄塔の主柱材は,塑性座屈で屈伏する細長比の小きい部材が用いられており,これらの主柱材から成る片継脚は材料非線形性を受けやすいことから塑性領域における挙動を考慮する必要がある |
設計技術 |
解析手法 |
片継脚 非線形解析 簡略弾塑性固有値解析 パラメトリックスタディ |
138 |
昭和56年 1981年 |
52 |
溶融亜鉛めっき鋼材の塗装仕様の確立に関する研究 |
大日本塗料(株) (株)酒井鉄工所 田中亜鉛渡金(株) |
|
溶融亜鉛めっきによる防食は,長期の耐久性が要求される鋼構造物に古くから広く活用されて来た。マイクロ鉄塔や送電線鉄塔の場合は,溶融亜鉛めっきの上に,航空安全標識や環境調和を目的とした塗装が行なわれて来たが,海岸や重工業地域に設置された場合には環境因子の影響により亜鉛の消耗が早いため,防食を目的とした塗装を行なうようになって来た。送電線鉄塔及びマイクロ鉄塔は,最近,大型化して来たため建設後に塗装するのは高所作業となり危険度が高く,塗料の飛沫による汚損の影響,等を考慮して製作工場内で塗装する例が増加して来た。しかしながら,限られた塗装場所に数多い部材を並べて,数回の重ね塗りを繰り返し長期間にわたって塗装を行なうのは施工上の問題もあり,短期間に施工できる塗装系の設定が強く要望されて来た。溶触亜鉛めっき表面への塗装は,亜鉛めっきが活性であるため,めっき施工時の条件,塗装時の条件及び塗料の性状によって,塗膜の付着性が低下し時として塗膜が剥れを生じる例が認められ,この原因の究明と対策が要望されて来た。そこで,溶融亜鉛めっきの特性を活用し,耐久性に富んだ塗装系を設定し短期間に施工できるものとするため,実験・研究を行なった。 |
施工技術 |
めっき |
溶触亜鉛メッキ 表面処理 塗料 付着性 塗装系 |
139 |
昭和57年 1982年 |
53 |
ボルト・ナットの機械的性質に関する試験研究 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
現行の溶融亜鉛めっきボルトは,鋼材の種類により強度区分が行われているが,今回改定されたJEC-127(1979)はではJIS B1180「六角ボルト」に準拠し,ボルトの機械的性質による強度区分が用いられている。すなわちJEC-127(1979)「ボルトの仕様鋼材」にはボルトの強度区分と鋼材の関係を,その成形方法,ねじの加工方法を含め表1のように規定している。さらに,電気事業連合会送電用支持物設計マニアル作成委員会「JEC-127(1979)改定に伴う送電用鉄塔設計運用要項」の内「ボルト強度系列」では,ボルト径と強度区分の関係について表2のような組み合わせを示している。ただし同表で,M12についての強度区分はないので,ここでは( )で示した。当ボルト部会では,昭和54年度,並びに同55年度の研究課題として,上記ボルト径と強度区分の組合せによる「ボルトの機械的性質に関する試験研究」を行ったので,ここに報告する次第である。 |
材料 |
ボルト |
機械的性質 |
140 |
昭和57年 1982年 |
53 |
送電用鉄塔片継脚の座屈耐力の研究(その2.片継脚の設計手法) |
東京工業大学 東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
鈴木敏郎 山岸啓利 佐藤亘宏 深沢隆 |
前報で中空鋼管片継脚の非線形域における解析方法,および模型実験による解析の妥当性の検証などを行った。本報では片継脚の設計法の提案を行うことを目的としており,次の内容から成り立っている。@ 所定の強度を満足し,かつ靱性に富む合理的な片継脚の設計方針を定める。A これを受けて,片継脚の座屈体力に影響を及ぼす要因を変化させたモデルについて,簡略弾塑性固有値解析によるパラメトリックスタディを行い,設計方針を満足する片継脚の各部材の必要強度を求める。B 併せて,片継脚各脚への入力の把握を行い,現行設計法との対応を考慮し,実用設計方法を提案する。 |
設計技術 |
解析手法 |
片継脚 非線形解析 簡略弾塑性固有値解析 パラメトリックスタディ |
141 |
昭和57年 1982年 |
53 |
地震時における電線・がいし系の振動特性と鉄塔との連性系の振動特性に関する研究 |
東京電力(株) (株)巴組鐵工所 旭可鍛鉄(株) (株)泉創建エンジニアリング |
岩間貴行 広木光雄 小林武 玉松健一郎 |
最近の送電用鉄塔は送電容量の増大にともなう,電線や値線サイズ,導体数の増加,高電圧化による気中絶縁間隔の増大,送電ルート立地条件の悪化などにより,大型化しており,塔高100mにもおよぶものが数多く建設されるようになってきた。このように鉄塔が大規模長大化すると,鉄塔構造に対する動的安定性の問題が重要な課題である。とりわけ,送電用鉄塔は一般的な塔状構造物と異なり,塔体が独立しておらず電線およびがいしにより,隣接鉄塔に接続された構造となっている。このため,その振動特性をとりあつかっていく上で電線がいし系の振動特性の影響の把握は最も重要である。風を受ける時の電線,吊橋のケーブル等の振動特性に関しては,実験的,解析的に数多くの研究がなされてきた。しかし,電線がいし系の振動特性が鉄塔に与える影響について,実験的,解析的に研究がなされた例は少ない。本研究の目的は,電線がいし系の振動特性の影響を考慮した鉄塔系の振動特性を把握し,送電用鉄塔の耐震設計への活用を図ることにある。 |
設計技術 |
荷重 解析手法 |
加振装置 定常加振 張力変動 振動数 減衰性 |
142 |
昭和57年 1982年 |
54 |
西部西尾張線木曽三川内の大型井筒基礎設計と施工の概要について |
中部電力(株) |
河合昌範 |
河川区域内の鉄塔基礎は河川流水内に位置すること,軟弱地盤地帯で支持層が深いこと,大容量送電線を長径間架線のために高鉄塔となり鉄塔根開きが大きく,なおかつ基礎荷重が大きいことなどから,基礎として信頼性の最も高い「大型井筒基礎」(直径6m,深さ45〜55m,4脚独立,ピアー上部で梁結合)を採用することとした。主にその経緯,設計及び施工の概要について述べる。 |
特殊工事概要 |
|
井筒基礎 N値 ピアー アンカーボルト |
143 |
昭和57年 1982年 |
54 |
屋外鉄構衝撃試験 |
京都大学 京都大学 日本電炉(株) |
金多潔 甲津功夫 藤村和夫 |
昭和53年6月の宮城県沖地震で,変電機器が多数被害を受けたが,それ以後変電設備に対する動的設計の必要性が唱えられ変電設備(屋外用がいし形機器,変圧器,電源装置,配電盤類等)を主な対象として,昭和55年5月に「変電所等における電気設備の耐震対策指針」(電協研)が作成された。以後,屋外鉄構本体も,前記指針に準拠してきたが,この指針は変電設備を中心に記述されたものであり,屋外鉄構本体に適用するには問題な面もある。特に,仕口部の横造(溶接とボルト締め構造)の相違に伴なう屋外鉄構本体の動的性状の差異について不明な点がある。また,最近の電力系統の規模の拡大にともない,系統短絡時の短絡電流による電磁力が屋外鉄構に与える影響も無視できないように考えられる。上のような問題点の解明に資するため,実規模の187KV母線鉄構を試作し,これに短絡電磁力による瞬時の電力線方向の張力の増大を模擬した面外方向の衝撃力を加えて,母線鉄構の動的性状を解析したものである。 |
試験事例 |
実規模母線鉄構の試作試験 解析 |
屋外鉄構 地震 仕口部の横造 短絡電磁力 衝撃力 動的性状 |
144 |
昭和57年 1982年 |
54 |
鉄塔部材の溶融亜鉛浴中における機械的特性と挙動について |
東京電力(株) (株)巴組鐵工所 |
山岸啓利 菊池昌利 |
送電用鉄塔の部材には従来から防錆のための溶融亜鉛めっきを施し,耐久性に著しい効果を挙げるとともに,この溶融亜鉛めっきが鋼材に対し何ら影響を与えないものと考えて使用され,この面からの調査研究は皆無であった。 このように亜鉛めっきを施した鉄塔は,近年の電源の遠隔化,立地面に伴う大容量化傾向から大型となり,使用部材も経済面より鋼管が用いられ,また溶接接合が多用されるので,溶融亜鉛浴中における鋼の液体金属ぜい化と溶融亜鉛浴へ浸せきする際の熱変形・熱応力の実態を把握することは重要であると考えられる。 このような観点から母材こよって基礎的調査を行うとともに溶融亜鉛浴への浸せき時の挙動を理論的に解析し,きらに実大部材を用いた溶融亜鉛への浸せき試験によって挙動の実態を把握し,理論解析と検証することができたので,これらの概要を述べる。 |
試験事例 |
めっき |
液体金属ぜい化 熱変形 熱応力 |
145 |
昭和57年 1982年 |
54 |
送電線鉄塔における軸心不一致仕口の研究(その1) |
那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) |
若林安弘 竹本正真 |
最近の送電線鉄塔は,大容量化・大型化に伴って安全性の確認を前提とした各細部に亘っての見直しが進められている。本研究は,その一試案として鉄塔の主材(主管)と斜材(支管)を接続する仕口部についてその軽量化と安定性を追求することを目的として,東京電力の指導の下,一連の検討を重ねてきた。今回その縮小モデルによる耐力テストが終ったのでこれを一つの区切りとしてその概要を報告するものである。〈考え方〉 主材と斜材の交点は軸心一致の建前から主材中心軸に一致させている。これは斜材の水平分カによる主材曲げモーメントが,垂直分力による曲げモーメントと相殺される。このことは,鉄塔が大型化すると主管径のアップに伴ってガセットプレートが必要スペース以上に大きくなる傾向にある。この現行法に対し軸心を主管径の1/2に迄すなわち管壁に迄移動させることによりガセットプレートの短小化=軽量化が考えられる。そこで,主柱材の最終耐力に対する偏心応力の影響など種々の検討課題を含め,軸心不一致仕口の可能性を追求するため試験研究に取り組んだもの。 |
設計技術 |
節点・仕口 |
軸心不一致仕口 偏心曲げモーメント 最終耐力 |
146 |
昭和57年 1982年 |
55 |
既存無線鉄塔の耐震診断 |
元電電公社 電電公社 |
望月一郎 猪原鉄博 |
電電公社(以下公社)の無線鉄塔は,従来より建築基準法・同施行令や建築学会の構造計算基準に準拠し,無線鉄塔固有の問題を加味して作成された公社の「構造設計指針」に基づいて設計されており,上記の地震経験からしても通常の建築物等に較べ高い耐震性能を有するものと考えられる。しかしながら,旧い指針により設計されたものの一部には耐震性能が不十分であると考えられるものがある。また,東海地震の発生が危惧され,「大規模地震対策特別措置法」が施行される一方,建築基準法施行令が改正され,建築物の保有耐力と変形性能に基づく大地震時の安全性に関する検討(2次設計)が義務づけられるなど耐震対策は新たな段階を迎えている。そこで,公社内外の知識を結集し,「既設鉄塔耐震調査会」を設立した。本稿は,現在までの公社無線鉄塔の構造設計手法の変遷,既設鉄塔耐震調査会における審議経過および「既存無線鉄塔耐震検定方法」のがいようについて紹介する。 |
診断・補修技術 |
― |
耐震性能 基準せん断力係数 固有周期 せん断力係数比 |
147 |
昭和57年 1982年 |
55 |
鉄塔用ワックス処理ナットについて |
関西電力(株) 関西電力(株) (株)酒井鉄工所 大阪亜鉛工業(株) |
辻本健三 大田鉄造 一法真瑳男 似内理惣治 |
現行のメッキボルトにナタネ油を注油しナット締めした場合,潤滑効果が万全でないためトルタ係数にバラツキが見られ,締付トルクを厳重に管理しても,結果として導入軸力にバラツキを伴うことになるので設計上このことを考慮しておく必要がある。また,鉄塔の大型化に伴い,高強度大径ボルトの使用本数が増加しているが,この高強度大径ボルトの締付けには,大きな締付トルクを必要とするため,塔上での作業が益々困難となるので,省力化が強く望まれている。この締付作業の省力化には,締付トルクの低減すなわちトルク係数の低減を図ることが最も有効な手段である。 そこで,今回,締付トルクを低減させ,かつトルク係数のバラツキを小さくする方法として,メッキボルトのナット表面に潤滑処理を施す手段が考えられ,ワックス処理・ボンダリューベ処理の2方法について一連の試験を実施した。その結果ワックス処理が良好であったので,これの選定に到る試験概要と結果について紹介する。 |
材料 |
ボルト |
締め付けトルク トルク係数 潤滑処理 |
148 |
昭和57年 1982年 |
55 |
大型鋼管鉄塔風力係数の研究 |
九州電力(株) 九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) |
今泉宏道 平塚強一 足立一雄 松永稔 |
海峡横断用の大型高鉄塔は塔高が200mにも達し,強風時における主柱材鋼管まわりの流れのレイノルズ数は10 以上に,又,下部の根開きは主柱材鋼管径の40倍にも達するものとなるが,この様に高いレイノルズ数および大きい間隔倍数をもった鋼管構造物についての耐風設計を合理化する為に資料収集が必要である。 鋼管の様な円筒構造物の場合,そのレイノルズ数が臨界値に近い時には,風力係数はレイノルズ数に強く依存するが,臨界値以上の更に高いレイノルズ数域における風洞実験は,単独円柱の場合においてすら容易でなく,まして骨組構造の場合には風洞の大きさや風速の制約から更に困難である。この様な困難をさけるため表面粗さを利用して臨界レイノルズ数を実質的に低下させることがFageとWarsap 以来,国内に於ても中村,岡島らにより研究が進められ,単独円柱 あるいは直列2本円柱 の場合に適用されている。 本研究ではまず骨組構造物の基本となる直列2本円柱について風洞実験を行ない,主に高レイノルズ数域における上流およぴ下流側円柱の風力係数を求めた。 |
設計技術 |
荷重 |
レイノルズ数 風洞実験 風力係数 |
149 |
昭和57年 1982年 |
55 |
送電鉄塔における軸心不一致仕口の研究(その2) |
那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) |
若林安弘 竹本正真 |
鉄塔鋼管における主材と斜材の仕口部をコンパクト化し,合理的で経済的な仕口にするための有効な手段として軸心不一致仕口の研究を進めてきた。前回は,先ず実用化の可能性を探るための耐力実証試験を行いそのめどを得たことを報告した。今回は更に一歩進め実態をより把握するためと,次の段階への足がかりとするための有限要素法による理論解析を行ったので,その結果を報告する。解析はIBM社のNASTRANプログラムを用い,λ=40の現行型,C 型,C 型,各タイプを中心として弾性範囲内で行った。これは,先づ仕口周辺の応力が各タイプによってどう変わるか,又それが最終耐力にどう影響するのか,等を追求する目的で試験モデル及び結果と対比させながら進めた。 |
設計技術 |
節点 仕口 |
軸心不一致仕口 偏心曲げモーメント 最終耐力 |
150 |
昭和58年 1983年 |
56 |
鋼管鉄塔の節点の耐力に関する実験的研究 |
(株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
佐藤亘宏 土肥実 松尾康博 |
送電用鋼管鉄塔の節点には,ガセットプレートをリブ,リングなどで補強した構造が用いられている。各種節点の耐力に関して実験的,理論的研究が行われてきており,これらにもとづいて設計式が設定されている。しかし,現在,節点の耐力に関しては,送電用鉄塔 ,日本鋼構造協会の海中鋼構造委員会 (以後JSSCと呼ぶ),建築学会 などで個々に設計式が提案されており,それらのあいだには若干の差がある。本報告は,これらの設計式の再確認を行うことを目的とし,節点の基本要素である引張り力を受ける「リング継手」,「ダブルワーレン交点部」,曲げとせん断力を受ける「主柱材と腹材との一般節点部」について単調載荷実験を行い,それらの力学的性状を調べ,従来の設計式との比較などを行ったものである。ここにリングの耐力に関しては,実験資料も乏しいので特に注目しており,新しい設計式を提案している 。 |
設計技術 |
節点 仕口 |
節点耐力 |
151 |
昭和58年 1983年 |
57 |
送電用鉄塔ねじれ防止骨組の強度に関する実験について |
東北電力(株) 東北電力(株) 三和鋼器(株) 三和鋼器(株) |
近信雄 木村掬夫 涌井善吾 荒木靖夫 |
異常着雪時に発生すると思われる過大なねじり力による鉄塔被害を防止する研究の一環として,鉄塔最下腕金下の塔体腹材節点に,ねじれ防止材を挿入した供試体と従来から使用されて来た鉄塔骨組の供試体について載荷試験を行い,ねじれ防止材の挿入による鉄塔の最終耐力に及ぼす影響を確認することを目的に破壊試験を実施した。 |
試験事例 |
骨組 |
ねじれ防止 立体解析 破壊試験 |
152 |
昭和58年 1983年 |
57 |
無線通信用鉄塔の力学的性状に関する実験的研究 |
電電公社武蔵野研究所 電電公社建築局 東京工業大学 東京工業大学 |
奥田賢持 猪原鉄博 小河利行 鈴木敏郎 |
電電公社(以下公社)では,災害時の伝送ルートの確保を目的として,既存の無線鉄塔の耐震診断を進めている。耐震診断の対象としている鉄塔は,公社の鉄塔の大部分を占める山形鋼を用いたトラス形鉄塔であり,これらは従来より建築基準法や建築学会の諸規準に準拠して,許容応力度設計を行ってきている。しかし,旧規準により設計した初期の鉄塔の一部には,耐震性能が不十分でると考えられるものがあり,既存鉄塔の耐震性能を点検する必要が生じたものである。ボルト接合によるトラス鉄塔の終局に至るまでの力学的性状を明らかにするために,鉄塔の下部3節部分を約1/2.5に縮小した試験体による正負繰返し加力実験を行った。本稿は,この実験の概要と結果について紹介するものである。 |
試験事例 |
耐力試験 |
無線鉄塔 トラス構造 破壊試験 耐震性能 |
153 |
昭和58年 1983年 |
57 |
鋼材の亜鉛めっきやけについて |
日本鋼管(株) (株)巴組鐵工所 |
生駒勉 菊池昌利 |
溶融亜鉛めっきを施した鉄塔材に,めっけきによるやけが発生することがあり,部分的に暗灰色に変色して鉄塔の外観を損ねることがある。やけは溶融亜鉛めっき時に生成される鉄と亜鉛との合金層がめっきの表面まで発達したものであり,鋼に対する防食性能には影響のないことはよく知られている。また,やけの発生に与える鋼材成分の影響については既にいくつかの報告があるが,溶融亜鉛めっき作業との関連についてはほとんど報告されていない。ここでは,鋼管鉄塔用の鋼管材を対象として,鋼材成分との関連において,通常行われている450℃前後における亜鉛めっき時に,亜鉛浴から引上げてから温水冷却するまでの空中保持時間がやけの発生にどのような影響をおよぼすかを調べたので,この結果について述べる。 |
製作技術 |
めっき |
めっきやけ |
154 |
昭和58年 1983年 |
58 |
送電用鋼管鉄塔塔体の座屈耐力、塑性変形性状に関する実験的研究 |
東京工業大学 東京電力(株) 東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
鈴木敏郎 山岸啓利 長野真康 佐藤亘宏 深沢隆 |
送電用鉄塔塔体は,主柱材を連続材としたダブルワーレンまたはシングルワーレン結構で構成されており,近年,鉄塔の大型化,鋼管部材の適用に伴い,主柱材の細長比が小さくなる傾向にある。このような細長比の小さい部材から成る剛節立体トラスの塑性域における力学的挙動に関しては,不明な点が多い。本研究は,主柱材で座屈する鋼管鉄塔塔体について模型実験,非線形解析を行うことにより,断塑性域における副構面応力・二次応力を含む応力分布などの基本事項を調べ,最大耐力・変形能力などの力学的諸性能を定量的に把握しようとしたのもである。また,細長比の小さい主柱材の降伏は,結構全体の靭性を増加させる効果があることなどを踏まえた設計方針まで言及している。 |
試験事例 |
耐力試験 |
鋼管鉄塔 座屈耐力 塑性変形性状 |
155 |
昭和58年 1983年 |
58 |
送電線・鉄塔系の耐震設計に関する研究(その1)ー架線の鉄塔に対するばね定数ー |
日本鉄塔工業(株) 九州大学 九州大学 九州工業大学 |
足立一雄 小坪清真 井嶋克志 高西照彦 |
本研究は架線を多質点系に分割することを止め,架線を鉄塔に対するばねと見なし,鉄塔-架線系の連成振動の解析法を示したもので,本文ではまず,その第1段階として,連続体理論を用いて架線のばね定数の振動数特性を示した。架線の鉄塔に対するばね作用としては,線路方向と線路直角方向が考えられるが,ここでは線路方向のばね定数について述べた。また,架線の水平ばね定数の振動数特性計算には特性曲線の幅の広いピークのモードのみを採用すればよく,振動数特性計算の簡易化ができた。さらに,この簡略化したばね定数の振動数特性を支配するモードの特性を調べた。 |
設計技術 試験事例 |
解析手法 振動 |
鋼管鉄塔 線形解析 強制振動実験 |
156 |
昭和58年 1983年 |
58 |
鋼材溶接部溶融亜鉛脆化に関する試験について |
三和鋼器(株) 三和鋼器(株) 三和鋼器(株) |
菊池正臣 米井博之 曽我真 |
溶融亜鉛めっきはその特徴として,作業が簡易な上に耐食年数が長いことなどすぐれた経済性により多くの構造物の防食に用いられている。しかし,近年の鋼構造物の大型化に伴う高強度材料の使用により溶融亜鉛中での鋼材の脆化現象が問題視されるようになった。送電用鉄塔構造物においては,従来より防錆用として溶融亜鉛めっきを施しており,将来の超大型鉄塔に対しては高強度材料の使用も考えられることから,この問題については十分に検討しておく必要があると思われる。溶融亜鉛脆化による研究結果は種々報告されているが,明確な機構については解明されていない。本試験では,溶融亜鉛脆化の現象を各鋼材を用いて,母材部,溶接部について調べた。また熱処理およびピーニングの効果についても検討した。 |
試験事例 |
めっき |
溶融亜鉛脆化 |
157 |
昭和59年 1984年 |
59 |
送電線・鉄塔系の耐震設計に関する研究(その2)−鉄塔・架線系の地震応答− |
日本鉄塔工業(株) 九州大学 九州工業大学 九州大学 |
足立一雄 小坪清真 高西照彦 井嶋克志 |
本論では,超高圧送電系において,架線との動的相互作用を考慮した場合の耐張形鉄塔に対する振動特性の解析及び地震応答計算を行って,この種の鉄塔の合理的な耐震設計に関する基礎的資料を得ることを目的とした。また,架線を質量を有するばねとみなし,鉄塔群をこのようなばねによって互に連結された振動系として解析する方法に従って鉄塔-架線系の動的解析を行った。本方法によれば,系の自由度を大幅に低減することができ,また系の振動特性を容易に求めることができる。さらに,系の地震応答を振動形解析法によって計算する際に,採用すべき振動形に関して合理的な取捨選択を行うことが可能であり,計算に要する時間を著しく節約することができた。 |
設計技術 試験事例 |
解析手法 振動 |
鉄塔-架線系 地震応答解析 |
158 |
昭和59年 1984年 |
59 |
溶融亜鉛めっき鉄塔ボルトの締付け試験結果報告 |
千葉工業大学 |
江藤元大 |
本実験ではJIS規格による強度表示方法5.8,6.8,9.8の溶融亜鉛めっき鉄塔ボルトについて潤滑油として市販の菜種油,およびワックスを用いて締付け試験を行ない,そのトルク係数及びばらつきを求めようとしたものである。 |
試験事例 |
ボルト |
締め付けトルク |
159 |
昭和59年 1984年 |
60 |
無線鉄塔三角錐トラスの耐力試験 |
東京工業大学 東京工業大学 電電公社建築局 電電公社建築局 (株)泉創建エンジニアリング (株)泉創建エンジニアリング |
鈴木敏郎 小河利行 守谷一彦 猪原鉄博 王松健一郎 安井八紀 |
電電公社(以下公社)では,災害時における通信の信頼性向上施策の一環として,既存無線鉄塔の耐震診断と補強等の対策を進めている。今回報告する実験は,公社の既存無線鉄塔の耐震診断方法の開発を目的とする一環として実施したものである。本実験は,三角錐トラスの座屈耐力に関する諸問題の解明に加え,座屈後の性状と繰返し加力による挙動についても併せて考察することを目的としている。 |
試験事例 |
耐力試験 |
無線鉄塔 三角錐トラス 最大耐力 変形性状 破壊性状 |
160 |
昭和59年 1984年 |
60 |
鋼管鉄塔の現場改造工事に関する実験的検討 |
桜田機械工業(株) 桜田機械工業(株) |
小池市雄 岡村忠夫 |
中空鋼管鉄塔の代表的構造形状と部材断面を設定し,諸問題について実験的検討を行い,鋼管鉄塔の改造工事の技術的可能性及び今後の問題点について検討した。 |
試験事例 |
改造 |
鋼管鉄塔 現場溶接 |
161 |
昭和59年 1984年 |
61 |
耐用年間における送電用鉄塔の累積疲労損傷期待値の検討 |
東京電力(株) 日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) |
山岸啓利 足立一雄 南美隆 |
此迄送電用鉄塔の疲労耐力については最大級の台風を対象として検討を行っていた。今回関東およびその周辺地域に建設される送電線を対象として,長期間使用中に遭遇すると想定される多くの強風にもとづく鉄塔の疲労耐力について累積疲労損傷期待値による検討を行った。 |
設計技術 |
継手 |
フランジ継手 累積疲労損傷 |
162 |
昭和59年 1984年 |
61 |
送電用鉄塔の減衰特性に関する実験的研究(その1.部材実験および接合部実験) |
東京工業大学 東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
鈴木敏郎 山岸啓利 佐藤亘宏 深沢隆 |
送電鉄塔の地震に対する安全性を検証するためには,鉄塔,がいし,電線の連成系による動的応答解析によるが,鉄塔の変形の増大に伴うボルトすべり変形,あるいは部材の塑性変形による減衰定数については,既往の乏しい試験研究資料を検討の結果,鋼管鉄塔は1%,山形鋼鉄塔は3%としている。本研究は,このような経緯からきめられた減衰定数の妥当性および精度向上をはかるため,送電用鉄塔の骨組に関する実験を行い,ボルト接合部のすべり変形および部材の塑性変形による減衰特性を系統的かつ定量的に把握することを目的としている。また,最大耐力,変形能力などの力学的諸性能も併せて確認する。 |
試験事例 |
骨組 |
減衰特性 接合部 履歴特性 |
163 |
昭和59年 1984年 |
61 |
12角形美化柱に関する実験的研究〔その1.嵌合長さによる曲げ耐力〕 |
那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) |
上塘友義 若林安弘 卯月英夫 |
都市周辺に建設されるモノ・ポールタイプの環境調和鉄塔は,ラチス・タイプの鉄塔と比較し,重量がかなり重くなるという問題がある。この重量を如何に軽減するかという事が重要な研究課題となっている。当社では,多角柱の嵌合継手スリップジョイント方式について検討した結果,Design of Steel Transmission Pole Structures(ASCE)に 規定されている幅厚比制限式から,柱体が同一直径ならば8角柱より12角柱の方が局部破壊しにくく継手耐力が向上し,嵌合長さを短かくすることが出来るのではないかということに着目し,継手部の重ね合せ長さをによる曲げ耐力の把握と応力挙動を克明に調査するとともに,既に仕様実績のある8角柱断面との耐力比較を行い,嵌合部の適性嵌合長さを把握することを目的とした実験的研究を行なった。 |
試験事例 |
骨組 継手 |
モノポール 12角柱 嵌合長さ スリップジョイント |
164 |
昭和60年 1985年 |
62 |
送電鉄塔の耐震設計に関する研究 |
関西電力(株) (株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
秋山哲夫 小林征紀 宮崎重雄 |
送電鉄塔の地震時の部材応力を求める手法について検討し,鉄塔と電線の経済的な有限要素モデルの作成方法と,経済的な動的解析手法を提案したものである。この解析手法には送電鉄塔の特徴である電線との連成振動,および地盤との連成振動も含んでおり,汎用の構造解析プログラムでは不可能な機能を実現したものである。それぞれの手法については,精算解との比較による充分な精度があることを確認した。 |
設計技術 |
解析手法 |
耐震設計 連成系 |
165 |
昭和60年 1985年 |
62 |
鉄塔せり上げ装置の開発に伴う脚間不同変位に関する実験と考察 |
電源開発(株) 日本電炉(株) |
矢吹誠 嶋田潔 |
近年,都市近郊部および植林地を通過する送電線において,線下地の用地事情などにより高鉄塔化を必要とする鉄塔が年々増加しており,安全確実性,汎用性,施工性,経済性に適合した最も実用的な鉄塔せり上げ装置の開発が各界より要望されている。今回開発した鉄塔せり上げ装置の安全性に関する諸機構のうち,各脚に対するデジタル高さ検出装置とせり上げ中の脚間不同レベル差発生時に警報する装置を設置する過程において,脚間不同変位に関する解析と本せり上げ装置を利用し不同変位に関する実験を行なったので,これらの結果について併せて紹介する。 |
試験事例 |
改造 |
せり上げ装置 不同変位 |
166 |
昭和60年 1985年 |
62 |
送電用鉄塔の減衰特性に関する実験的研究(その2.骨組実験(1)) |
東京工業大学 東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
鈴木敏郎 山岸啓利 佐藤亘宏 深沢隆 |
前号の骨組みの構成要素についての実験に引き続いて,本号および次号では骨組実験の結果とそれの実大鉄塔への適用方法について述べる。本号では,1.はじめに 2.実験概要 3.履歴特性の解析方法 4.荷重-変形関係について記載する。 |
試験事例 |
骨組 |
履歴特性 |
167 |
昭和60年 1985年 |
62 |
送電線・鉄塔系の耐震設計に関する研究(その3)−架線の動的ばね定数の簡易計算のための図表− |
日本鉄塔工業(株) 九州大学 九州大学 九州工業大学 |
足立一雄 小坪清真 井嶋克志 高西照彦 |
架線の動特性が2つの無次元パラメーターで定まることを考慮して,架線を代表するこれら2つの無次元パラメーターに対して,上記の特性曲線上の幅の広いピークに対する振動モードの無次元固有円振動数,無次元水平付加張力モードおよび刺激係数をあらかじめ計算してそれを図表化しておき,必要に応じていつでもこれらの図表を利用することによって容易に架線のば定数が得られれば,鉄塔の振動方程式にこのばね定数の項を付加することによって鉄塔と架線の動的相互作用を考慮した鉄塔の地震応答解析のための基礎方程式は容易に導くことができる。 |
設計技術 |
解析手法 |
耐震設計 架線の動的バネ定数 |
168 |
昭和60年 1985年 |
62 |
12角形美化柱に関する実験的研究〔その2,嵌合継手のねじり耐力〕 |
那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) |
上塘友義 若林安弘 卯月英夫 |
12角柱の嵌合長さによる曲げ耐力の実験的研究については,鉄塔61号に掲載した。その結果,12角形断面を有する美化柱にスリップジョイントを採用した場合は,8角柱に比較し局部座屈耐力が上昇するため,重ね合せ長さが,1.5Dあれば十分応力伝達が行なわれることが曲げ耐力実験で確認された。そこで,今回は12角形断面で重ね合せ長さを,1.5Dとした場合のねじり耐力の把握と応力挙動の調査を目的とした実験的研究を行なった。 |
試験事例 |
耐力試験 |
モノポール 12角柱 スリップジョイント ねじり耐力 |
169 |
昭和60年 1985年 |
63 |
送電用鉄塔の減衰性に関する実験的研究(その3)(骨組実験(2)) |
東京工業大学 東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
鈴木敏郎 山岸啓利 佐藤亘宏 深沢隆 |
前号に引き続いて骨組実験結果とそれの実大鉄塔への適用方法について述べる。本号では,5.荷重-部材応力関係 6.力学的諸性能 7.減衰定数の算定 8.実大鉄塔の等価減衰定数 9.おわりにについて記載する。 |
試験事例 |
骨組 |
減衰定数 |
170 |
昭和60年 1985年 |
63 |
腹材の座屈耐力に及ぼすガセットプレート剛性の影響 |
日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) |
箱崎一志 岡元昭八 |
送電用鋼管鉄塔の主柱材と腹材との節点仕口は,主柱材に溶接されたガセットプレートに,腹材端部に取付けられた継手金具を介して,腹材をボルトで締結している。主柱材と腹材との代表的な接合部であるK型節点仕口について,腹材継手に溝型継手を用いた場合のガセットプレート剛性と腹材耐力との関連について検討した。その結果,節点仕口のガセットプレートを弾塑性解析によって,その剛性を用いて得た腹材の圧縮強度の推定値と仕口モデル破壊実験値はよく一致することが判った。ここに,節点仕口の剛性評価方法及び溝型継手付き腹材の圧縮強度推定方法について報告する。 |
試験事例 |
節点仕口 |
ガセットプレート 弾塑性解析 |
171 |
昭和60年 1985年 |
63 |
送電用鉄塔構造用炭素鋼STK55ラメラテアに関する基礎研究 |
三菱重工業(株) 広島研究所 三菱重工業(株) 広島研究所 三菱重工業(株) 広島研究所 三菱重工業(株) 広島研究所 |
吉田康之 若元都夫 松本竹二 小山田昇 |
送電用鉄塔は電気共同研究第39巻第3号「送電用銅管の細部構造」で述べられている様にラメラテア発生の可能性は少ないと考えられるが,近年,送電規模大型化に伴って送電用鋼管鉄塔が大型化あるいは厚肉化する傾向にあるので安全性の検討のため送電用鉄塔に用いられる一般構造用炭素鋼鋼管(STK55)を対象に,ラメラテア発生に及ぼす鋼管のS量,溶接棒の拡散性水素量及び継手形式の影響の基礎的研究を行った。 |
試験事例 |
ラメラテア |
拡散性水素量 |
172 |
昭和60年 1985年 |
64 |
275kV地線腕金重着氷雪荷重載荷試験 |
北海道電力(株) 北海道電力(株) 那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) |
後藤譲 真弓明彦 若林安弘 永井秀成 卯月英夫 |
北海道内の送電線は冬季非常に過酷な条件下に置かれており,架渉線への着氷雪の最大で8kg/mにも発達することがあると報告されている。このような着氷雪時においては,垂直荷重の増大は勿論であるが,径間差や着氷雪の脱落による不平均張力も大きく,鉄塔に対し過酷な影響を及ぼすことになる。特に275KV送電線の場合,雷害に対する信頼度を向上させるため地線腕金が長大かつ細長化しているため,重着氷雪荷重に対する耐力上の影響も大きく,今回はこの275KV地線腕金について,信頼性,経済性を考慮した合理的な設計手法を確立するための理論解析及び実規模腕金試験を行なったので以下にその要点について述べる。 |
試験事例 |
実規模試験 |
着氷雪 地線腕金 |
173 |
昭和60年 1985年 |
64 |
中空鋼管鉄塔の節点の静的耐力,低サイクル疲労強度に関する実験 |
東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
山岸啓利 佐藤亘宏 伊沢健 |
最近,鋼管鉄塔の合理化の追求のなかで,部材の重心軸を偏心させた接合部の採用の可能性,風化による鉄塔の応答は接合部に片振りの応力状態を支配的にもたらすことなどが指摘されている。本実験は,上述の要求に応えるため,各種の補強プレートを有する接合部について,部材重心軸の偏心量を変化させた場合の,静的,完全片振り低サイクル疲労強度に主に着目して計画した。実施にあたっては,偏心のない接合部,完全両振り低サイクル疲労試験についても,それらの比較,従来の実験との整合性を確認するため行なわれた。また,十字プレート継手のガセットプレートの補強法の改良,ニ構面から外力をうける節点の耐力,鋼材の種類などについて調べた。なお,本実験の材料には,鋼管,鋼板とも,新たに開発されたHT60鋼材を主に使用した。 |
試験事例 |
低サイクル疲労 |
腕金 |
174 |
昭和61年 1986年 |
65 |
溶融亜鉛めっきを施した塔状鋼構造物の接合部における高速載荷時の力学的挙動に関する実験的研究 |
京都大学 京都大学 日本電炉(株) |
金多潔 甲村功夫 藤村和男 |
現在の設計基準では歪速度の影響を全く考慮されていないが,短時間に変動荷重が加わる場合と,静的荷重が加わる場合とでは,素材や接合部の材料特性は異なる特性を示すことが予見される。今回これらの問題を解決するため,黒皮およびめっきを施したSS41鋼素材,突合せ溶接接合,単せん断型ボルト接合及び複せん断型ボルト接合形成をもつ各種試験体を使って,高速引張力載荷実験および静的載荷実験を行った。 |
試験事例 |
めっき その他 |
変動荷重 歪速度 高速引張力載荷 |
175 |
昭和61年 1986年 |
65 |
ワックス処理ナット(M36)のトルク係数に関する実験報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会,ボルト部会 |
本実験は昭和59年度研究課題として進めてきたもので,ここにその実験内容について述べる。ワックス処理を施したナットのトルク係数及び標準偏差が,環境条件の変化によって,どのような影響を受けるか調査した。 |
試験事例 |
ボルト |
ワックス処理 トルク係数 |
176 |
昭和61年 1986年 |
66 |
オーガー基礎鋼管単体鉄塔の開発について |
東北電力(株) |
富田芳昌 |
送電線の支持物として,鉄塔を使用する場合が多く,66kV〜154kV送電線では基礎工事費が全体工事費の約70%を占めている。従って,工事費の低減を図るためには,鉄塔基礎の改善が有力な手段である。今回,66kV,ACSR160mm2,2回線規模の送電線について,Earth Auger基礎(以下オーガー基礎と略称する)とした鋼管単体鉄塔ならびに基礎掘削用オーガースクリューの開発・実用化を図ったので,その概要について紹介する。 |
施工技術 鋼管単柱 |
基礎 |
オーガー基礎 |
177 |
昭和61年 1986年 |
67 |
送電用鉄塔模型部分骨組の自由振動減衰特性及び最大耐力に関する実験的研究 |
東京電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
山岸啓利 佐藤亘宏 深沢隆 |
本研究は,実規模鉄塔の縮尺1/7の模型部分骨組について,自由振動試験および極限耐力試験を行い,せん断接合部のボルト締付け力と減衰定数,周期等の振動特性との関係,また主柱材の座屈耐力,溝型継手を有する腹材の座屈耐力の定量的把握を目的とするものである。 |
試験事例 |
耐力試験 振動 |
実規模試験 座屈耐力 |
178 |
昭和62年 1987年 |
68 |
山崎試験線における大束径架空送電線の動的荷重応答試験結果の概要について |
関西電力(株) 関西電力(株) |
水野康信 雪野昭寛 |
当社では,次期大容量架空送電線の実現をめざし,500kV大束径多導体(6〜8)の実規模試験線「山崎試験線」において,昭和59年度下期より人工的な動荷重や静荷重の載荷による送電線各部の応答特性試験を実施してきた。試験設備の概要については,既に本誌'85年63号に紹介させていただいたが,今回2年間にわたる各種試験を終了したので,特徴ある動的荷重応答試験を主体に,試験結果の概要を紹介させていただきます。 |
試験事例 |
その他 |
動的荷重応答試験 |
179 |
昭和62年 1987年 |
68 |
フランジ継手用太径ボルトのゆるみ止めに関する実験について |
千葉工業大学 東京電力(株) 那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) |
江藤元太 山岸啓利 近忠男 望月智之 |
送電用鉄塔は現場組立の容易性からボルト締め構造が採用されており,そのボルトのゆるみ止め対策としてボルトをせん断力で機能させるTGナットあるいはイダリングを使用し,ボルトを引張力で機能させるにはダブルナットを使用している。一方,送電用鉄塔の大型化に伴い主柱材に使用する鋼管サイズが大口径となるので,この大口径鋼管の軽量化の一環として太径ボルトを導入するとともにボルトナット形状の改善をはかったフランジ付きボルト,ナットの実用化が進められている。この継手の接合に使用するボルトのゆるみ止め装置についても合理化をはかる必要から,もっとも軽量化の期待出来るイダリングの使用が検討されている。そこでこのイダリングのゆるみ止め効果を調べるため各種実験を行ったので,その概要を述べる。 |
試験事例 |
ボルト |
ゆるみ止め |
180 |
昭和62年 1987年 |
69 |
鋼管鉄塔ダブルワーレン交点の耐力に関する実験 |
中部電力(株) 中部電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
牧野秀宣 村沢泉 佐藤亘宏 東藤清吉 |
送電用鋼管鉄塔のタブルワーレン交点部は,ガセットプレートをリングスチフナで補強した構造が一般的に用いられている。この接合部について静的耐力に関する実験が行われてきており,実験結果に基づいた設計式が提案され実用設計に反映されている。
最近刊行された日本鉄塔協会の鋼管鉄塔製作基準では,鋼管の許容局部変形耐力および溶接の許容耐力に加え,特に鋼管の変形量の制限の考え方を採り入れているが,変形量と耐力との関係について求めた実験データがほとんどないことから,これに着目した実験を行い,上記設計基準を検討する必要が生じた。
これらのことから本実験は,上述の要求に応えるべくガセットプレートと鋼管の曲げ,せん断耐力および荷重と変形量の関係に着目して計画した
|
試験事例 |
骨組 耐力試験 |
鋼管鉄塔 ダブルワーレン交点 ガセットプレート 耐力 |
181 |
昭和62年 1987年 |
69 |
環境調和対策としてのリン酸塩処理鉄塔の採用について |
九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) |
五島洋 矢野和敏 |
送電用鉄塔部材には防食の目的で溶融亜鉛めっき(以下,めっきという)が施されている。これは,めっきがよく鉄鋼を防食し,大量生産に適していると共に安価に供給されるからである。
ところで,このめっき皮膜は銀白色の光沢を有しており,環境調和という観点から見ると森林地帯や住宅地域において問題となることがある。このような場合,めっきの上から塗装することによって環境調和処理を行なうのが一般的な方法となっている。
この塗装に代わる環境調和処理方法として,化成処理による着色・無光沢化に着目して研究を行なってきた。そのなかで,リン酸塩処理による方法がかなり有効な手段であることがわかった。この方法で得られる色調は暗灰色で現在環境調和対策の塗装色の一つとして採用されているダークブラウン色ににており,技術的には塗装の下地処理方法として確立されたものと同じである。
今回, 2基の鉄塔について環境調和対策としてリン酸塩処理による着色・無光沢化を採用した。ここでは,リン酸塩処理の概要,鉄塔部材へのリン酸塩処理の概要,建設から現在までの現地での評価などについて報告する。 |
製作技術 |
めっき |
リン酸塩処理 環境調和 無光沢 暗灰色 |
182 |
昭和62年 1987年 |
70 |
PTレンチによる鍛造フランジ継手の施工条件に関する実証試験 |
中部電力(株) 中部電力(株) 日本橋梁(株) 住友金属工業(株) |
牧野秀宣 後藤茂 菅野裕嗣 飯田仲男 |
中部電力叶越火力線では,鋼管鉄塔の主柱材が最大φ762.0×18.0となり,鋼管の継手には「送電用鋼管鉄塔製作基準 日本鉄塔協会 昭和60年6月」による鍛造フランジを使用することにしたが,この基準では,φ609.6×16.0以上の継手にはM36(F9.5T級)のボルトを使用することとしている。
M36ボルトの締付けは,従来のフランジ継手(M24,M30ボルト)に用いられてきたPTレンチ(プレテンション レンチ)にアダプターを取付けて行う予定であるが,ポンプの能力よりボルトの初期導入軸力における応力度は従来(27〜28kgf/mu)より若干低くなることが予想される。
また,現場における主柱材継手の組立てにおいては,種々の要因によりボルトの初期導入軸力にある程度のばらつきは避け難い。
これらの実状より鍛造フランジ継手に対するPTレンチの締付け特性,フランジ継手の合理的な締付け方法,初期導入軸力によるフランジ継手の耐荷性能への影響などの調査,確認を目的として実証試験を実施したのでその概要を報告する。 |
試験事例 |
継手 施工技術 |
鋼管鉄塔 鍛造フランジ 大径ボルト PTレンチ |
183 |
昭和62年 1987年 |
70 |
狭角で集合する鋼管部材節点の製作について |
桜田機械工業(株) 桜田機械工業(株) 桜田機械工業(株) |
岡村忠夫 石岡悠久 葛西真一 |
主柱機8本の8面トラス鉄塔の柱脚部節点構造は脚材が狭角で集合し,部材相互の交線は複雑な曲線をなし,又隣接する部材と鋼管壁との交角も交線上で変化する構造となる。このような節点構造の製作には原寸展開,部材加工および溶接施工法に一般の4面トラス構造とは異なる工夫が必要となる。
本報告は同型二件の8面トラス構造から成る大型無線鉄塔の製作,および特に脚材が狭角で集合する節点部の施工法についてこの実大模型試験,等からこの種の節点構造の施工法について検討したのでその結果を報告する。
|
試験事例 製作技術 |
節点 |
鋼管鉄塔 8面トラス 節点構造 狭角 |
184 |
昭和63年 1988年 |
71 |
TPS工法の開発について |
東北電力(株) 東北電力(株) 東北電力(株) |
猪股政紀 木村掬夫 鈴木敏弘 |
近年,送電線ルート周辺の宅地化の進展に伴い,既設鉄塔の嵩上建替工事が多くなり,その工法も設備,環境に適合したすばらしいものが数多く実用化されている。しかし,特に人家密集地で鉄塔敷地に余裕のない場所では敷地の追加買収,工事用地の確保,工事用機械の搬入,施工の面で,これらの工法をもってしても困難な場合が多く,工事費の多額化は避けられない問題となっている。
このような状況に対処するため,今回,TPS工法(Tower Poll Suspend up method)を開発したので,紹介する。
|
施工技術 |
その他 |
嵩上げ TPS工法 既設鉄塔 建替工事 密集地 |
185 |
昭和63年 1988年 |
71 |
送電用鉄塔基本設計の新システム開発について |
関西電力(株) 関西電力(株) |
臼田修 渡辺敏緒 |
現在,鉄塔設計の大部分は,電子計算機によって行われているが,そのアウトプットは,設計条件の増大により,1型当り約400枚にもおよぶ膨大なものとなってきている。また,鉄塔メーカ各社の計算プログラムが独自のものであるため,アウトプット様式がまちまちとなっており,実務を進める上で解りにくい,チェックが繁雑等の問題があった。
このような状況をふまえて,数年前から当社とメーカでアウトプット様式の改善について,いろいろと協議を重ねてきたが,近年電算技術がハード・ソフト共に進歩し,作図・作表が容易に行える環境が整ってきたことから,昭和60年より,見やすく,使いやすい設計図書を作成する手段として,作図・作表プログラムを開発し,設計,保守,運用業務の合理化を図ることとした。 |
設計技術 |
その他 |
鉄塔基本設計 アウトプット\>様式統一 |
186 |
昭和63年 1988年 |
71 |
圧縮応力作用下にあるパイプ柱への溶接 |
日本橋梁(株) 日本橋梁(株) 大阪大学 溶接工学研究所 |
濱野一彦 山中俊太郎 鈴木博之 |
本研究では,パイプ鉄塔の主構造材を想定し,圧縮応力作用下にあるパイプ柱に溶接を施した場合の作業中および作業後の部材の基本的挙動を把握するため,一連の実験を行った。ここに,その概要を報告する。 |
試験事例 施工技術 |
溶接 |
鋼管鉄塔 現場溶接 挙動把握 既設 補強 |
187 |
昭和63年 1988年 |
72 |
鋼管鉄塔用太径ボルトの開発 |
東京電力(株) 日本鉄塔工業(株) (株)後関製作所 |
山岸啓利 黒木英嗣 高橋寛 |
最近の大型送電線は,高標高山岳地を経過することが多く,製作加工・運搬・組立面から鉄塔の軽量化が重要な課題の一つである。
従来フランジ継手ボルトには,M16,M20, M24及びM30が使用されてきたが,M36及びM42ボルトを適用することによって,大型フランジ継手の重量及び資材費をかなり低減することができる。
ここでは,M36及びM42ボルトの実用化を目標として行った「高張力太径ボルトの開発研究」について,その概要を紹介する。 |
試験事例 材料 |
ボルト |
太径ボルト 大口径鋼管 開発 鍛造フランジ |
188 |
昭和63年 1988年 |
72 |
送電用鉄塔のブライヒ組み結構について |
日本鉄塔協会 |
堀貞治 |
ブライヒ組み結構は,外国人の考案ではなく純然たる日本人の堀の考案であることを,一般の人々に知らせておいてもらいたいとの依頼があったので,今回社団法人日本鉄塔協会の雑誌「鉄塔」により鉄塔設計及び送電線建設の方々に対し,紹介するものである。 |
設計技術 |
骨組 |
ブライヒ組み結構 考案 |
189 |
平成 元年 1989年 |
73 |
大径フランジ継手合理化のための太径(M48)ボルトの検討 |
東京電力(株) 日本鉄塔工業(株) (株)後関製作所 住友金属工業(株) |
山岸啓利 岡元昭八 高橋寛 井出隆也 |
将来,UHV送電鉄塔の大型化がさらに進み,使用鋼管が大径厚肉化,ハイテン化するとき,それに対応するフランジ,ボルトの経済設計,すなわち最適寸法,最適材質の決定が必要となってくる。
本報文は,使用鋼管径が1,000φを超えるような大径のフランジ継手において,M48ボルトを使用した場合の経済性の検討を行なうとともに,ボルトの形状,材質について基礎調査を行ない,予備検討を加えたものである。 |
材料 |
ボルト |
大径鋼管 フランジ継手 M48 |
190 |
平成 元年 1989年 |
74 |
技術功績賞「UHV鉄塔の合理化に関する研究」の紹介 |
(株)巴組鐵工所 桜田機械工業(株) 三和鋼器(株) 那須電機鉄工(株) 日本鉄塔工業(株) |
鷹尾真三郎 岡村忠夫 佐藤充彦 若林安弘 吉野正 |
UHV鉄塔は,従来の500kVに比べ送電圧,導体数が共に倍増し,規模が一段と大型化すると同時に有数の豪雪地を含む急峻山岳地帯を経過することから,厳しい荷重条件と相まって,増々鉄塔各部の巨大化が予想された。このため,運搬,建設の現地施工性ならびに工場加工面を総合し,鉄塔の安全性,信頼性を考慮した上で,構造各部のコンパクト化,重量の低減化が,最も重要な検討課題として提起されるに至った。そこで,骨組構造,節点構造を主対象として,昭和57年に東京電力殿の御指導の下に,「大型鋼管鉄塔合理化検討会」を発足させ,試設計,各種の実験研究を重ね,成果を得た。 |
設計技術 |
骨組 節点 |
UHV 軽量化 コンパクト化 偏心接合 |
191 |
平成 元年 1989年 |
74 |
技術功績賞「大型鋼管鉄塔の地震応答特性に関する研究」の紹介 |
(株)巴組鐵工所 |
深沢隆 |
送電用鉄塔は,鉄塔とこれを繋ぐ架渉線,碍子で構成された多径間連成系構造物であり,隣接された鉄塔との間に架渉線を通じて動的相互作用が働くことが良く知られている。これらについては,従来,定量的に言及した研究が少ないことから,鉄鋼鉄塔の等価減衰定数は1%,また連成効果は無視して,耐震安全性の検討を行っている。しかしながら,近年,送電容量の増大に伴い,鉄塔がトップヘビーの構造となる傾向は益々助長されるなど,その社会的影響度合から見て,耐震安全性の検討を更に推し進める必要性が高まってきた。本研究は,せん断ボルト接合部のすべり変形に起因する減衰効果,あるいは連成効果の定量的な把握を行い,鋼管鉄塔の地震時の応答特性を明らかにし,併せて安全性を確認することを目的としている。 |
設計技術 |
解析手法 |
鋼管鉄塔 地震時 応答特性 減衰定数 連成系 |
192 |
平成 元年 1989年 |
74 |
技術功績賞「鋼管鉄塔偏心仕口実用化のための基礎研究」の紹介 |
那須電機鉄工(株) |
望月智之 |
鉄塔54,55号で紹介 |
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193 |
平成 元年 1989年 |
74 |
技術功績賞「鋼管鉄塔用高張力太径ボルトの研究開発」の紹介 |
日本鉄塔工業(株) (株)後関製作所 |
黒木英嗣 高橋寛 |
鉄塔72号で紹介 |
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194 |
平成 元年 1989年 |
74 |
技術功績賞「UHV送電用鉄塔の耐震設計に関する基礎研究」の紹介 |
三菱重工業(株) |
阿比留久徳 |
UHV送電用鉄塔については,その規模,重要性から耐震設計の必要性がクローズアップし,東京電力鰍ナは,「UHV送電設備の耐震検討委員会」が昭和56年12月に発足し,耐震設計指針の検討が開始された。本研究は,このような状況のもと,東京電力鰍フ御指導を受け,従来動的影響の評価が困難であったがいし・架渉線をそのままの形で解析に取り入れ評価できる架渉線鉄塔連成系解析手法を開発し,模型実験や赤城試験線起振機実験の解析を行い,その精度を検証した。 |
設計技術 |
解析手法 |
UHV 耐震設計 連成系 実験 |
195 |
平成 元年 1989年 |
74 |
技術功績賞「大型鋼管鉄塔の極限耐力に関する研究」の紹介 |
(株)巴組鐵工所 |
伊沢健 |
送電用鉄塔に用いられる鋼管は防錆処理として溶融亜鉛めっきが施されるが,高温処理となることから残留応力が一部解除され,製管のまま鋼管に比べて変形性状がやや変化することが知られている。また,鉄塔は,柱材が通し材となった骨組であり,細長比が小さい場合,節点に生じる曲げモーメントが柱材の座屈耐力に影響を及ぼすことが指摘されている。これらについては,降伏比が低い鋼材が用いられていること,細長比が比較的大きいことから,通常の場合無視して設計が行われてきた。しかしながら,近年,鉄塔の大型化に伴って降伏比が高い高張力鋼が適用されるに至り,上記の事項の検討することの必要性が高まってきた。本研究は,めっき鋼管の短柱圧縮変形性状,偏心座屈変形性状を明らかにすると共に,これらの部材を組み込んだ骨組の座屈耐力の定量的な把握,また安全性の確認を目的としている。 |
設計技術 |
その他 |
鋼管鉄塔 骨組 極限耐力 信頼性設計 変形性状 座屈耐力 径厚比 |
196 |
平成 元年 1989年 |
74 |
環境調和対策としての耐候性鋼材鉄塔の採用について |
九州電力(株) 新日本製鐡(株) 日本鉄塔工業(株) |
日下部好美 桑邊行正 林弘 |
溶融亜鉛めっきの上から環境に調和すると考えられる色彩を塗装する「環境調和塗装」が現在最も一般的な方法として採用されているが,環境調和塗装は,経年劣化による再塗装が必要なことから,作業停電を伴うことによる電力供給信頼度上の問題,塗装飛散に起因する用地上の問題及びメインテナンス費用の問題等がある。
このため,環境に調和する色を有し,メインテナンスフリーといわれる「耐侯性鋼材」を使用した鉄塔の採用について検討を行った
|
材料 |
鋼材 |
環境調和 耐候性鋼材 腐食 安定錆 メインテナンスフリー |
197 |
平成 元年 1989年 |
74 |
溶融亜鉛めっき鋼管の局部座屈耐力 |
東京工業大学 (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
藤本盛久 廣木光雄 佐藤亘宏 深沢隆 |
送電用鉄塔を構成する鋼管部材は,通常防錆用に施される溶融亜鉛めっき処理過程において,温度約470度の熱処理を受けることにより,製管時の塑性加工による残留応力が一部解除されることが知られている。したがって,鉄塔の耐力を論ずるに当っては,溶融亜鉛めっきの鋼管の圧縮変形性状に及ぼす影響を定量的に把握する必要がある。
本研究は,めっきを施した鋼管について,残留ひずみ計測,材料引張試験,短柱圧縮試験を行うことにより,溶融亜鉛めっきの鋼管の圧縮変形性状に及ぼす影響を定量的に把握することにより,送電用鉄塔に用いられるめっき鋼管の径厚比制限値を設定することを目的としている。 |
試験事例 |
めっき |
鋼管 座屈耐力 径厚比制限値 |
198 |
平成 元年 1989年 |
74 |
地際部主柱材の応力 |
中部電力(株) 中部電力(株) 日本橋梁(株) 日本橋梁(株) |
竹嶋嘉男 宮崎真一 北村忠昭 小寺一志 |
送電用山形鋼鉄塔の最下腹材引付け点は基礎体のコンクリート天端より5cm程度上に設定される場合が多い。そのため最下腹材引付け点より下の主柱材(以下,地際部主柱材という)は軸力に腹材水平分力による曲げモーメントが付加されることとなる。
その結果,軸力のみにより部材決定された腹材引付け点より上の主柱材と同一サイズの地際部主柱材の耐力は若干低下することがある。
又,鉄塔上部から基礎体への応力伝達については不明な点も残っているため
(1)地際部主柱材の応力の流れ
(2)基礎体における付着応力等の分布状態
について調査することを目的として縮小モデルによる載荷実験を行ったのでその概要を報告する。 |
試験事例 |
その他 |
山形鋼鉄塔 地際 主柱材 曲げモーメント 付着応力 |
199 |
平成 元年 1989年 |
75 |
鍛造十字継手の実用化について |
東京電力(株) 那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) 住友金属工業(株) 住友金属工業(株) |
山岸啓利 若林安弘 名取己公 坂本傑 飯田伸男 |
東京電力での大型鋼管送電鉄塔には,従来腹材端部継手に,継手ボルトCM24-6以下の場合は溝型継手を使用し,荷重が大きく,これを越える場合はボルト配列などから十字継手を使用してきた。このような現状に対して,昨年建設に着手にたUHV送電鉄塔には腕金の構成部材にも鋼管を使用して合理化をはかるとともに部材接合部について極めて詳細な検討を行った。その結果,腹材端部継手の他に腕金主材及び腕金吊材と塔体との接合部,腕金吊材Y分岐部にも十字継手を採用することにより軽量化の図れることが明らかとなり,十字継手の適用範囲を拡大することになった。この腕金主材・吊材は,架渉線からの荷重が直接的に作用する箇所であるので,疲労強度面ならびに,荷重の伝達性に優れた継手が好ましいため十字板と鍛造するリングで構成した鍛造十字継手を実用化した。ここでは,これまでに実施した鍛造十字継手の実用化試験内容を報告するとともに,これらの試験結果に基づいて得られた鍛造十字継手の設計方法の概要を紹介する。 |
設計技術 試験事例 |
仕口 |
鍛造十字継手 解析手法 合理化 |
200 |
平成 元年 1989年 |
75 |
耐候性鋼を使用した試験鉄塔およびサンプル鋼管による長期暴露試験結果 |
東京電力(株) (株)巴組鐵工所 新日本製鐡(株) |
山岸啓利 鷹尾眞三郎 増田一広 |
送電鉄塔の構成材には,我が国に送電鉄塔が出現して以来その鋼材の表面に,溶融亜鉛めっきを施し,大気中における腐食を抑制し,寿命の延長と保守管理の省力化をはかってきた。近年,自然保護の観点から,環境対策を講じる必要のある送電鉄塔の構成材には,溶融亜鉛めっきを施し,その上に錆色の塗装を施す場合がある。一方,鋼材の大気中における耐食性を向上させた耐候性鋼が開発されている。東京電力では,耐候性鋼材の適用に関する検討を(株)巴組鉄工所,新日本製鐡(株)と共同して行った。この結果,機械的性質,溶接施工性については,実用化のできることが明かとなったが,鋼管鉄塔に耐候性鋼材を使用した場合の1)安定錆の生成状況,2)鋼管特有の腐食状況の実態把握と問題点を明らかにするため10年間長期暴露試験を行うことにした。ここに10年経過した結果が得られたので,二,三の知見を含め記述する。 |
材料 |
鋼材 |
耐候性鋼材 長期暴露試験 |
201 |
平成 2年 1990年 |
76 |
送電用鉄塔の塗装劣化診断エキスパートシステムの開発 |
関西電力(株) 関西電力(株) 関西電力(株) (株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
雪野昭寛 村岡清志 仲河秀博 小林征紀 竹内信雄 坂田信雄 |
低廉で安定した高品質の電力を供給するため,電力設備の建設・運用・保守の合理化・高度化をめざして,日夜努力を重ねているが,中でも架空送電線は,過酷な自然条件や社会環境にさらされており,その保守には多くの課題を抱えている。そのひとつに,鉄塔の防錆・外装用塗装の管理がある。特に都市部においてはその劣化が問題で,保守現業箇所における管理業務の比重は高い。一方近年のコンピュータ利用技術は,急速な勢いで進展している。業務支援に関しては,エキスパートシステムと呼ばれる知能処理技術に基づく高度問題解決プログラムにより,原子力プラントの運転支援システムや,電気所運転支援システム,作業停電計画システム等が,稼動している。そこで,都市部の保守現業箇所における鉄塔の塗装劣化診断・管理業務に,エキスパートシステムを導入すべく昭和62年度より検討をすすめたが,今回,ほぼ実用化の目処がえられたので,ここのその概要を報告する。 |
診断・補修技術 |
|
塗装劣化診断 エキスパートシステム |
202 |
平成 2年 1990年 |
76 |
鋼管鉄塔ジョイントボルト保持バンド(スネークバンド)の開発について |
三和鋼器(株) 大興電気工業(株) |
桑田政司 西脇正典 |
従来,鋼管鉄塔の主柱材接続におけるボルト取付方法は,フランジ付近のコの字金具に吊下げた収納袋から作業員が一本ずつ取り出して,フランジの穴に挿入していた。一方,UHV級大型鉄塔の主柱材は大口径で,ジョイントボルトも太径(M36,M42)となり,M42が適用されるフランジにあっては,5.4kg/1本のボルトがジョイント一箇所当り32〜40本使われるので,ボルト重量が約200kgになる。このため,UHV級大型鉄塔になるとこれまでの方法では,作業者の疲労度は非常に高くなるものと考えられる。この問題を改善するため。・高所作業者の疲労軽減・組立工事のスピードアップ・高所作業の安全性向上を目的として開発したこのジョイントボルト保持バンド(スネークバンド)は,主柱材を吊上げる前の地組段階でジョイントボルトをフランジに仮セットする,組立用工具である。以下にその構造の概要を述べる。 |
施工技術 |
ボルト |
ジョイントボルト 保持バンド |
203 |
平成 2年 1990年 |
77 |
技術功績賞「送電鉄塔用60キロ高張力鋼(新HT60)の溶接施工法の確立」の紹介 |
(株)サクラダ (株)巴組鐵工所 日本鉄塔工業(株) 三和鋼器(株) 那須電機鉄工(株) |
押山紀一 中村隆彌 長谷川俊二 藤野時弘 宮内康年 |
近年,引張り強さが60kgf/mm2級の鉄塔用高張力鋼材が開発され,この新鋼材はUHV鉄塔において初めて本格的に適用されることになった。UHV鉄塔の溶接加工に際し,使用材料が新種鋼材であることと最新の製鋼技術による制御圧延鋼材(TMCP鋼)であることから,TMCP鋼における溶接入熱量の確認及び音響異方性を考慮した非破壊試験方法について従来の溶接施工基準並びに溶接検査基準を一部見直すことにした。また,構造面からめっき割れ発生の可能性を少なくする方法がないかについても検討することにした。そこで,これらの課題について協会の名誉会員稲垣道夫博士を委員長とする在関東メーカー5社で構成するUWE委員会を組織し,各種の実験研究を重ねた結果,溶接入熱量の基準化,半円リング先端のめっき割れ防止改善策,非破壊試験実施要領の確立等の成果を得たのでここにその概要を紹介する。 |
製作技術 |
溶接 |
60キロ高張力鋼 メッキ割れ防止 溶接入熱 非破壊試験要領 |
204 |
平成 2年 1990年 |
77 |
技術功績賞「鉄塔用ボルト類の共同検査システム」の紹介 |
関西鉄塔用ボルト 購入検査委員会 |
|
送電鉄塔及び屋外鉄構など,電力用支持物の接合に使用されるボルト類は,通常,支持物の一部として,部材とともに納入されており,その品質保証は鉄塔メーカーにあることは言うまでもない。鉄塔メーカーは,ボルト類の購入先が共通している場合が多いが,従来は各種検査に対して統一した尺度がなく,検査員の認識にも相違があるなどの問題があり,ボルトメーカーにおいても,管理図に対するロットの採り方や算定方法,各種成績表の記載内容などに差異があった。鉄塔ボルト類の総合的な研究や品質管理の向上には,これを目的として,関西電力(株)・鉄塔メーカー7社・ボルトメーカー3社の参加によって,昭和48年7月に発足した関西鉄塔用ボルト研究会があり,数多くの成果をあげてきたが,調査・研究を目的とするボルト研究会と,鉄塔メーカーによる自主的な共同検査システムの確立及び運営を目的とした購入検査委員会に分離することにし,昭和60年7月に関西鉄塔用ボルト検査委員会を設立した。 |
材料 |
ボルト |
ボルト 共同検査 |
205 |
平成 2年 1990年 |
78 |
「500kV環境調和鉄塔(SMC鉄塔)の開発」 |
関西電力(株) |
辻本健三 |
現在,大阪,京都,奈良の3府県にまたがる京阪奈丘陵において,関西文化学術研究都市の開発が進められており,その中心となる精華・西木津地区を通過している500kV山城南線を約4km移設することになった。当社としては,学研都市が文化・学術・研究機能を備えた21世紀の新しい都市づくりを目指していることを踏まえ,移設にあたっては都市計画に少しでも調和した鉄塔にするため,500kV級では,わが国初の環境調和鉄塔の開発に取り組むこととした。開発にあたっては,社外の学識経験者を含めた委員会を設け様々の技術検討をおこなった。以下にその概要を紹介する。 |
設計技術 試験事例 |
骨組 耐力試験 |
SMC鉄塔 シングルワーレン 500kV環境調和型鉄塔 |
206 |
平成 3年 1991年 |
79 |
送電鉄塔用高張力ボルトのできるまで(その1) |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
今日,送電線や無線用の鉄塔は,年ごとにその数も規模も大きくなり,それに伴い使用鋼材も60kgf/mm2級の採用により高張力化の傾向が進んでおります。一方,その鉄塔組立に不可欠なボルトはSCr440及びSCM435をベースとした高張力ボルトが採用され,近年フランジ継手のボルトに座面の支圧力を増加させたフランジ付高張力ボルトも使用されるようになりました。ここでは,これ等の高張力ボルトの製造工程を紹介し参考に供したいと思います。高張力ボルトの製造と41,50kgf/mm2級のボルトの製造との違いは,熱処理工程(焼鈍・焼入・焼戻し)と磁粉探傷検査が加わり,また,めっき工程では遅れ破壊等を考慮し,前処理は酸洗いをせずにショットブラストにより,表面の酸化スケール等を取り除くことであります。次に工程を順に追って説明いたします。 |
材料 |
ボルト |
高張力ボルト 製造工程 |
207 |
平成 3年 1991年 |
79 |
輸入鋼材の現状について |
日本鉄塔協会 |
資材委員会 |
今回,輸入鋼材の現状について,まとめてみた。現状を把握するという観点から見て頂ければ幸いである。 |
材料 |
鋼材 |
輸入鋼材 |
208 |
平成 3年 1991年 |
80 |
鉄塔用ボルト・ナットの機械的性質に関する実態調査報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
鉄塔用ボルト・ナット規格は,昭和44年に改定して以来,送電鉄塔の大型化に伴い太径ボルトの導入・関連JISのISO規格の導入並びにボルト製造技術の進歩等を考慮して,鉄塔用ボルト・ナット規格改定委員会を設立し昭和63年に規格の改定がなされた。今後,更に需要家殿に安定した製品の供給を図るため,技術委員会ボルト部会において,鉄塔用ボルト・ナットの機械的性質に関する実態調査を行い,その結果がまとまりましたので,ここにご報告いたします。 |
材料 |
ボルト |
ボルト・ナット 機械的性質 |
209 |
平成 3年 1991年 |
81 |
大型圧延山形鋼送電線鉄塔耐力試験 |
中部電力(株) 中部電力(株) (株)巴組鐵工所 (株)巴組鐵工所 |
佐々木賢次 川北章宗 佐藤亘宏 松尾康博 |
275kV級規模までの鉄塔には,主に山形鋼を使用しているが,500kV級の大規模鉄塔は荷重が極めて大きく山形鋼材の耐力を超えるため鋼管を使用していた。しかし,山形鋼鉄塔は経済性に優れ,また,加工が容易であることから,圧延による大型山形鋼の開発を平成元年から,鋼材メ−カ−であるNKKの協力により着手し,サイズ・鋼材成分などの仕様決定を経て,平成2年3月に製品化が可能となった。しかしながら,山形鋼鉄塔の主柱材は継手部の偏心,元たわみなど不可避の偏心を伴うため,大型山形鋼の適用に当っては,これらの偏心が座屈耐力,引張耐力に及ぼす影響を把握し,従来設計法の適用に関して検証しておく必要がある。これらの検証のため,大型圧延山形鋼による,部材の座屈耐力試験,継手の引張耐力試験を実施した。さらに,実規模部分鉄塔による耐力試験を実施し,鉄塔構造物としての信頼性を評価し,実用化の検討を行なった。 |
材料 試験事例 |
鋼材 耐力試験 |
ワイドアングル 座屈耐力 突合せ継手 重ね継手 |
210 |
平成 3年 1991年 |
81 |
送電鉄塔用高張力ボルトのできるまで (その2) |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
高張力ボルトの製造工程の内,鉄塔79号で切断行程からねじ転造行程まで紹介いたしましたので,今回はそれに引続き熱処理(焼入れ・焼戻し)工程から溶融亜鉛めっき工程を順に追って説明致します。 |
材料 |
ボルト |
高張力ボルト 熱処理 |
211 |
平成 4年 1992年 |
82 |
海外風力発電事情について |
日本鉄塔協会 |
海外調査委員会 |
1973年秋のオイルショックを契機として,アメリカ政府の代替エネルギ−技術開発推進の努力により,風力利用についての長い歴史と広範な実績を有する欧米諸国を中心に,大規模な風力エネルギ−利用開発計画の動きが活発化し,特にアメリカに於いては,数年の基礎的な開発期間を経て,1980年から1981年にかけて大規模風力発電産業が始まった。風力エネルギ−は,元来が分散型エネルギ−源であり,自然環境に恵まれた未開発地域に於いては導入の素地が潜在している。特に土地が広大で,人工密度の希薄な地域や離島に於いては,大規模集中型エネルギ−システムよりも,燃料導入を必要としない自然エネルギ−をベ−スとした小規模分散型エネルギ−システムの方が有効である。風力エネルギ−利用技術は,カルフォルニア州の「ウインドファ−ム(風牧場)」に見られるように,完全に実用化の域に達し,欧米の一部では,そのエネルギ−コストも既存のエネルギ−コストと競合するまでになっている。風車の利用技術は,およそ出力500kW以下の中小システムでは,すでに商業生産の軌道に乗っており,500kW以上の大型機については,欧米諸国はMWクラスのシステムを国家プロジェクトとして開発研究を行っている。一方,我が国に於いても,1978年から国際エネルギ−機関(IEA)に参加し,通産省の「サンシャイン計画」の一環として基礎研究を行っており,科学技術庁でも小規模風車による風力利用の実証研究である。「風トピア計画」を行ってきた。 |
その他/td>
| その他 |
海外風力発電 風力発電 風トピア計画 |
212 |
平成 4年 1992年 |
83 |
送電鉄塔脚部に加わる積雪圧測定解析研究 (北陸地区における積雪沈降力測定) |
関西電力(株) 関西電力(株) (株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
上平浩 山田勝 山内愛二 田渕敦彦 |
近年,電源の遠隔化と大容量化により送電線の大型鉄塔が気象条件の厳しい山岳地帯に建設されることが多くなった。この中で,積雪地帯に建設される鉄塔の脚部に加わる積雪荷重による部材の沈降(これを積雪沈降力と呼ぶ。)や積雪の移動による圧力(これを積雪移動圧と呼び,これらを総称して積雪圧と呼ぶ。)により部材が損傷した場合,それが引き金になって設備全体に与える影響が多大になることがある。したがって,これを防止するために積雪圧の力学的メカニズムを解明し,耐雪設計手法を確立する必要がある。上記,積雪圧のうち,積雪移動圧については,鉄塔建設地点の選定時に斜面の状況等を配慮すれば,ある程度回避できるが,積雪沈降力は避けられない問題である。単純な水平梁に作用する積雪沈降力については,長期にわたるフィ−ルド試験での実測デ−タが得られている。しかし,複雑な構造の鉄塔脚部の検証は残された課題である。そこで,豪雪地帯である北陸地区の杉尾峠付近で,500kV実現鉄塔の最下節を模擬した試験体で平成元年下期から積雪沈降力の観測を開始した。平成2年下期〜3年上期にかけての観測において,結構体として初めて積雪沈降力が検討できる積雪量を得た。ここに,その結果の概要を報告する。 |
設計技術 試験事例 |
荷重 |
沈降力 移動圧 耐雪設計 |
213 |
平成 5年 1993年 |
86 |
5年を経過した高耐候性粉体塗装の暴露試験中間報告 |
(株)サクラダ (株)サクラダ (株)サクラダ (株)サクラダ |
寺田宏之 小森武 押山紀一 角田範明 |
275kV東京南線は,昭和30年代に建設された送電線であり,神奈川県横須賀市にある東京電力横須賀火力発電所から京浜地区・神奈川県央へ電力を供給している。東京南線の鉄塔部材には亜鉛めっきが施されているものの,三浦半島を縦断する尾根上に位置すること,京浜工業地帯を通過することから,塩分及び大気中の不純物質の影響を受け易い。このため,鉄塔部材に腐食が見られるものがあり,建設後25年余り経過した時点で部材の一部取り替えを行うこととなった。通常は建設当初と同じように亜鉛めっき部材に交換するが,部材交換後も塗装等のメインテナンス作業が生じることは必至であることが予想され,今後の設備信頼度の向上を図る上でも新たな防食策が望まれていた。この実態を踏まえ,従来の亜鉛めっきの上にプラスチック粉体塗装を行い,2重防食とすることでより防食効果を高められるかを知るため,塗料についての各種試験を行った。その結果,鉄塔部材には強密着性を有する高耐候性型ポリエチレン粉体塗装が適していると判断されたため,取り替え部材の一部に試験的に採用した。また,現場検証を行うための暴露試験を行うこととした。暴露試験の期間は10年とし,1,3,5,7年経過時の変状を小型試験片でも把握することとした。今回は,5年を経過した暴露試験の途中経過について簡単に報告する。 |
試験事例 診断・補修技術 |
その他 |
暴露試験 粉体塗装 |
214 |
平成 5年 1993年 |
86 |
溶融亜鉛めっき鉄塔用ボルト(ポイント方式)の締付けトルクの実験報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
平成4年4月に電気設備に関する技術基準が改定され,鉄塔用ボルトは,「JIS B 1051(鋼のボルト・小ねじの機械的性質)」に規定するボルトと定められたことから,当協会の鉄塔用ボルトに関する規格も全面的にJIS B 1051を導入した規格に改正した。この改正に伴い,これに準拠した鉄塔用ボルトの締付けトルクを求めるため,JIS B 1083(ねじの締付け通則)及びJIS B 1084(ねじ部品の締め付け試験方法)に準拠し,実験的に求めたのでここに報告をする。 |
試験事例 |
ボルト |
ポイントボルト 締め付けトルク |
215 |
平成 6年 1994年 |
87 |
送電用鋼管鉄塔の接合部設計手法に関する研究(リングスチフナで補強した鋼管の局部変形による降伏耐力に関する研究)−T.接合部の単純モデル試験− |
東京電力(株) 東京電力(株) (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション |
本郷栄次郎 梅澤直人 佐藤亘宏 松尾康博 |
送電用鋼管鉄塔における主柱材と腹材などの接合部には,鋼管をサドル,半円スチフナ,リングスチフナで補強した接合部構造が用いられている。UHV南北線の鉄塔製作実績によると,主柱材の腕金吊材取付部および曲げ点部など,作用荷重が大きく,リングスチフナで補強された接合部において,リングスチフナの大型化と枚数の増加により,単体重量が予想以上に増大し,工事工程に支障が生じたり,複雑な構造になる部分があり,溶接施工,検査など製作工程に支障をきたした。一方,半円スチフナの試験データにもとづく設計式は,リングスチフナにおいて鋼管軸カによる耐力低減を見込みすぎていることが考えられる。 これらの問題点を解決するため,リングスチフナで補強された鋼管の降伏耐力が鋼管軸カにより耐力低減する度合いを試験によって把握して,新たな設計式を確立することとし,次の研究計画を立案した。 T.リングスチフナで補強された鋼管接合部の単体モデル試験 U.リングスチフナで補強された鋼管接合部を有する縮小模型骨組試験 |
設計技術 |
節点・仕口 |
鋼管鉄塔 接合部 リングスチフナ |
216 |
平成 6年 1994年 |
88 |
技術功績賞「溶融亜鉛めっき鉄塔用ボルト・ナット(ポイント方式)の締付けトルクの実験」 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
平成4年4月に電気設備に関する技術基準が改正され,鉄塔用ボルトは,「JIS B 1051(鋼のボルト・小ねじの機械的性質)」に規定するボルトと定められたことから,当協会の鉄塔用ボルト・ナット規格も,この技術基準に基づき改正された。このため,ポイント方式のボルトを,統一された基準で施工するために,締付けトルクを早急に設定する必要が生じた。 そこで,ポイント方式のボルトの締付けトルクをJIS B 1083(ねじの締付け通則)及びJIS B 1084(ねじ部品の締付け試験方法)に準拠して,鉄塔用ボルトメーカー7社で,鉄塔用ボルトの締付け試験を実施し,平成5年9月にその実験結果をまとめた。 |
設計技術 |
ボルト |
締め付けトルク |
217 |
平成 6年 1994年 |
88 |
送電用鋼管鉄塔の接合部設計手法に関する研究(リングスチフナで補強した鋼管の局部変形による降伏耐力に関する研究)−U.縮小模型骨組試験− |
東京電力(株) 東京電力(株) (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション |
本郷栄次郎 梅澤直人 佐藤亘宏 松尾康博 |
前号では,リングスチフナで補強した接合部の単純モデル試験とその結果から導いた接合部の提案設計式について報告した。本号では,その提案設計式が実際の鉄塔骨組に組込まれた接合部にも適用できることを検証するために実施した縮小模型骨組試験の結果,およびこの提案設計式を適用した場合の予想効果について報告する。 |
試験事例 |
節点・仕口 |
鋼管鉄塔 接合部 リングスチフナ |
218 |
平成 6年 1994年 |
88 |
MC鉄塔の軽量化 |
関西電力(株) 関西電力(株) |
大津谷正和 長谷川徹 |
超高圧架空送電鉄塔の部材は,索道やヘリコプター等を使って建設予定地まで運搬され,クライミングクレーン等で組立てられている。このため部材長さと重量には,運搬・組立上の制限が設けられており,従来,MC鉄塔主柱材は,制限長さに収まるように継手を設けておけば,制限重量を超えることはほとんどなく,超える場合は中空のまま組立てモルタルを充てんしていた。しかし,近年,送電線の大容量化,高鉄塔化に伴い鉄塔が大サイズ化しており,かつ,充てんコンクリートの品質を向上させる目的で,昭和61年より工場充てん工法を採用したため,制限重量内に収まるよう主柱材に継手を設けてかなり短かくしなければならない場合が生じ,結果的に部材数が増加し運搬・組立面で非効率となっていた。また,美観面でも好ましくない状況となっていた。そこで,上記の問題点を解決するため,MC鉄塔主柱材の軽量化研究に昭和63年度から取り組んだ。 |
設計技術 |
強度 |
MC鉄塔 軽量化 |
219 |
平成 6年 1994年 |
89 |
送電用鋼管鉄塔の溶融亜鉛めっき割れ防止に関する検討 |
東京電力(株) 東京電力(株) |
本郷栄次郎 漆原秀雄 |
送電用鉄塔は,溶融亜鉛めっきが施されているが,鋼管鉄塔において,めっき施工中に,すみ肉まわし溶接部で稀にき裂の発生することがある。従来鋼よりもき裂発生に至る熱応力値を高くするなど溶融亜鉛めっきぜい化特性に優れ,かつ10%程度,強度を高めた新高張力鋼(JIS G 3474:STKT590)が開発された。しかし,鉄塔製作開始直後の検査において,薄肉鋼管の円周すみ肉溶接部に,亜鉛めっき割れと推定されるき裂が発見された。このため,STKT590における抜本的なめっき割れ防止対策を確立すべく,その対策検討を行った。この検討において,熱応力でなく新たに,熱ひずみに着目してき裂発生メカニズムを明らかにするとともに,き裂発生確率を定式化し,き裂発生限界ひずみを大きくする鋼材の材質改善を選定した。さらに,従来から採用しているSTK400,STK540に対する耐亜鉛めっき割れ性能について再評価を行い,鋼管とプレートとの板厚差が大きい場合,き裂発生の可能性があり,検査強化など新たな対策が必要であることを明らかにした。 |
設計技術 |
解析 |
鋼管鉄塔 メッキ割れ |
220 |
平成 6年 1994年 |
89 |
M36ボルトの遅れ破壊試験 |
関西電力(株) (株)酒井鉄工所 |
長谷川徹 田渕敦彦 |
MC鉄塔軽量化の一環として,鍛造フランジの軽量化を図る目的で,新たにM36(材質SCM435)を使用することとした。 高張力ボルトの使用に当たっては,遅れ破壊が問題点の1つに上げられるため,遅れ破壊促進試験を行い,その安全性を確認することとした。
本試験の内容は,「MC鉄塔軽量化」−鉄塔No.88−の中で概要を報告しており,今回,その詳細を報告する。
遅れ破壊は,一般にある大きさの軸力を保有しているボルトに水素が侵入することにより発生すると考えられているが,めっきを施されたボルトでは,水素の鋼への侵入速度は,めっきの膜厚の違いや融けた亜鉛による電解液の性状変化の影響を受けることが考えられ,材質自身の耐遅れ破壊性能を正確に把握しにくいと考える。 |
試験事例 |
ボルト |
遅れ破壊 |
221 |
平成 7年 1995年 |
90 |
新型U字継手の開発と耐力確認試験 |
関西電力(株) 関西電力(株) 関西電力(株) 関西電力(株) (株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
川端欣哉 高瀬浩之 大島常夫 木綿俊男 小林征紀 山内愛二 |
MC鉄塔における腹材・水平材等,主柱材以外の部材の継手構造として,主にU字形状の継手を用いているが,鋼管サイズ,ボルト本数(サイズ)・配列等に応じて種類が多い他,大サイズのものについては補強プレート類(リング,リブ)の付属加工が施される等多種多様であるため,部材製作の機械化(ロボット化)を図る上で一つの制約となっている。 そこで,鉄塔メーカーと共同で鉄塔構造の集約合理化検討に取組んだ結果の一つとして,新型U字継手(・ボルト横配列,補強プレート類省略)を考案し,従来構造と異なるため耐力試験を実施し,機能上問題ないことを確認した。 |
開発 |
継手 耐力試験 |
鋼管鉄塔 U字継手 |
222 |
平成 7年 1995年 |
90 |
加熱時および加熱後におけるMC鉄塔材の強度について(その1) 溶接時温度分布の強度に及ぼす影響 |
(株)酒井鉄工所 関西電力(株) |
田渕敦彦 雪野昭寛 |
鋼管鉄塔の改造は現地溶接による既設部材補強が大部分である。この場合,現地で溶接施工をする部材は,圧縮または引張の作用下で高温度の加熱を受けた状態となり,施工中の安全性および施工後の耐荷カの検討が必要である。 そこで,現場施工法の判断基準に供する資料を得るため,(1)溶接施工時の温度分布の強度に及ぼす影響調査試験(2)載荷状態で溶接施工したMC鉄塔材の強度確認試験を行った。 その結果,(1)においては溶接時の強度(断面)欠損率が推定できた。また,(2)における強度は,溶接しないMC鉄塔材あるいは,工場で既に溶接したMC鉄塔材の強度と遜色がない結果を得た。 さらに,応力作用下で高温加熱を受ける場合として,山火事の火災に包まれた状態が考えられるが,その時の検討として,(3)MC鉄塔材の長時間高温履歴後の特性変化の確認試験も行い,防錆材(塗料,亜鉛めっき層)および材料強度の変化が確認できた。 本報告は,上記3試験のうち,(1)について結果をまとめたものである。 |
設計技術 |
強度 |
MC鉄塔 塔体 溶接 |
223 |
平成 7年 1995年 |
90 |
鉄塔用ボルト・ナットの機械的性質に関する実態調査報告書 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
平成4年4月に電気設備に関する技術基準が改正され,鉄塔用ボルトは「鋼製のボルト・小ねじの機械的性質JIS B 1051」に規定するボルトと定められたことから,当協会では,鉄塔用ボルト・ナット規格改定委員会を設立し,平成5年2月に規格を改正した。各ボルトメーカーは,この改定規格に基づいて製造技術・品質管理等を検討し,ボルト・ナットを製造してきた。規格改定から平成5年12月までの期間に製造したボルト・ナットの機械的性質に関する実態調査を,技術委員会ボルト部会において実施し,その結果がまとまったので,ここに報告をする。 |
材料 |
ボルト |
機械的性質 |
224 |
平成 7年 1995年 |
91 |
加熱時および加熱後におけるMC鉄塔材の強度について(その2) 載荷状態で溶接施工したMC鉄塔材の強度確認試験 |
(株)酒井鉄工所 関西電力(株) |
田渕敦彦 雪野昭寛 |
鋼管鉄塔の改造は現地溶接による既設部材補強が大部分である。この場合,現地で溶接施工をする部材は,圧縮または引張の作用下で高温度の加熱を受けた状態となり,施工中の安全性および施工後の耐荷カの検討が必要である。 そこで,現場での施工および載荷状態を再現して,コンクリート充てん鋼管材(以下,MC鉄塔材と称す)に溶接施工試験をし,その後耐力試験を行った。 その結果,その強度は,溶接施工しないMC鉄塔材,あるいは工場で既に溶接したMC鉄塔材の強度と遜色がないことが確認できた。 |
設計技術 |
強度 |
MC鉄塔 塔体 溶接 |
225 |
平成 7年 1995年 |
92 |
送電用鉄塔の片継脚設計手法に関する検討 |
東京電力(株) 東京電力(株) (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション |
本郷栄次郎 降旗範明 深沢隆 松尾康博 |
山岳地など傾斜地に立地する送電用鉄塔の片継脚は,部材節点間での個材座屈より片継脚全体としての座屈の方が優先する場合のあることが知られている。 東京電力において,山形鋼鉄塔の片継脚は,線形固有値解析結果にもとづき,全体座屈を考慮して主柱材等価座屈長さを大きく採る設計手法(従来設計法)を用いている。 一方,鋼管鉄塔の片継脚は,材料および幾何学的非線形を考慮した弾塑性固有値解析(以下非線形解析と呼ぶ)にもとづく思想,すなわち主柱材の個材座屈が先行するように腹材を補強する設計手法(新設計法)を500kV(1000kV設計)西群馬幹線以降の送電線に適用している。 鋼管鉄塔片継脚設計式の補完および山形鋼鉄塔片継脚の設計式を鋼管鉄塔と同様の手法に統一するとともに,設計手法の補完について,代表的なモデルにおける座屈耐力試験と,この試験結果により検証した非線形解析によりパラメトリックスタディを行い,検討した。 |
設計技術 |
解析 |
片継脚 |
226 |
平成 8年 1996年 |
93 |
送電用鋼管鉄塔の接合部設計手法に関する研究(その2)(T.リングスチフナで補強した接合部の設計式) |
東京電力(株) 東京電力(株) (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション |
本郷栄次郎 降旗範明 深沢隆 松尾康博 |
送電用鋼管鉄塔における主柱材と腹材などの接合部には,鋼管をサドル型リブ,半円スチフナで補強した構造が用いられている。これらの接合部の設計は,平成7年3月に改訂された(社)日本鉄塔協会の「送電用鋼管鉄塔製作基準」によっている。しかし,これらの製作基準の設計手法は,全体的に余裕があるため,更に合理的な設計手法を確立するために研究を実施した。本研究の結果は,本号でT.接合部の設計式,次号でU.疲労試験低減および作用荷重の組み合せ評価検討について報告する。 |
設計技術 |
節点 |
接合部 スチフナ FEM解析 |
227 |
平成 8年 1996年 |
93 |
等辺山形鋼重ね継手の平はつりに関する基準 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
従来は特殊な部位を除いてrはつりを使用してきたが,平はつりの方が効率的であるため「鉄塔製作の効率化に関する技術面の対策平成5年3月(社)日本鉄塔協会」を電気事業連合会に提案し,審議の結果,基本的に平はつりを採用するとの回答を得たものである。しかし技術面の対策では継手のボルトピッチのみを提案し,適用範囲及び角面取り寸法を示していなかった。また,ボルトピッチは平はつりによる欠損断面積の増加分をボルトピッチの拡大によって補うものであるが,欠損断面積として平はつり部分の断面積とボルト穴による断面積をとったため,従来のrはつりに比べて著しく大きくなるものがあり,かなりの重量増を伴う結果となっている。このため,適用範囲,角面取り寸法及びボルトピッチを総合的に検討し,等辺山形鋼重ね継手の平はつりに関する基準を新たに設けた。 |
製作技術 |
継手 |
重ね継手 平はつり |
228 |
平成 8年 1996年 |
93 |
等辺山形鋼重ね継手の平はつりに関する耐力検証試験報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
等辺山形鋼主柱材の重ね継手について,平はつり加工した継手とrはつり加工した継手の引張耐力試験を行い平はつり継手の妥当性を検証する。 |
試験事例 |
継手 |
重ね継手 平はつり 耐力試験 |
229 |
平成 8年 1996年 |
94 |
送電用鋼管鉄塔の接合部設計手法に関する研究(その2)(U.リングスチフナで補強した接合部の疲労耐力低減係数および作用荷重の組合せ評価) |
東京電力(株) 東京電力(株) (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション |
本郷栄次郎 降旗範明 深沢隆 松尾康博 |
前号ではリングスチフナで補強した鋼管鉄塔接合部の設計に関する研究の内,リングスチフナ材質を考慮した荷重載荷形態別の接合部設計式について報告をおこなった。本号では,風荷重による疲労耐力低減係数の再評価と作用荷重の組合せ評価,および前号を含めた本研究成果による合理的な新設計手法について報告する。 |
設計技術 |
解析手法 |
接合部 スチフナ 疲労低減係数 FEM解析 |
230 |
平成 8年 1996年 |
94 |
鉄塔用ボルトの機械的性質に関する実態調査報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
平成4年4月に電気設備に関する技術基準が改正され,鉄塔用ボルトは「鋼製のボルト・小ネジの機械的性質JIS B 1051」に規定するボルトと定められたことから,当協会では,鉄塔用ボルト・ナット規格委員会を設立し,平成5年2月に規格を改正した。各ボルトメーカーにおいて,需要家殿に安定した製品の供給に努めてきましたが,製品の品質水準を示す指標の一つとするために,平成6年1月から平成7年12月までの期間に製造したボルトの機械的性質に関する実態調査を行い,その結果がまとまりましたので,ここに報告する。 |
材料 |
ボルト |
機械的性質 調査 |
231 |
平成 8年 1996年 |
95 |
送電線鉄塔の時系列応答解析法 |
(株)泉創建エンジニアリング (株)泉創建エンジニアリング (株)泉創建エンジニアリング (株)巴コーポレーション 神奈川大学 |
安井八紀 丸川比佐夫 百村幸男 岡村俊良 大熊武司 |
送電線鉄塔は,UHV鉄塔に代表される大型長大鉄塔や,敷地上の制限からスレンダーなスリム鉄塔など多様化し,動的特性としては長周期化の傾向にある。一方,送電線鉄塔は,現代社会を支えるべくライフラインとしての重要性は高く,外乱に対する安全性ならびに信頼性に関して社会的関心が高まっている。これらを背景に,送電線鉄塔の動的特性に関する研究が行われている。筆者らは既に鉄塔−架渉線連成系の時系列風応答解析法を提案し,解析モデルの妥当性と問題点を示した。その後,構造物のモデル化ならびに風力のモデル化において若干の修正を加え,新たな解析手法を作成した。本報告は,この解析手法を具体的に示し,合わせてその解析事例を紹介するものである。 |
設計技術 |
解析手法 |
連成系 動解析 |
232 |
平成 9年 1997年 |
96 |
鉄塔用山形鋼(SS400)へのJIS規格材適用について |
鉄塔技術合理化研究会 |
北村光男 |
鉄塔技術合理化研究会では,直面しているコストダウン対策の一環として,鉄塔の設計,製作および施工面での合理化を一層すすめるため,研究会の中にワーキンググループを設置して諸課題の検討・研究を進めている。近時のコストダウン要請の高まりを受け,鉄塔専用材にJIS規格材が,適用可能かどうかを,電力会社と鉄塔協会が一体となって研究するため,材料関係WGを設けて鋭意検討を重ねてきたが,去る平成8年6月の第2回合理化研究会全体会議で,その結論を得ることができたので,ここに,その概要を紹介することとした。 |
材料 |
鋼材 |
鉄塔用山形鋼 JIS規格 |
233 |
平成 8年 1996年 |
96 |
鋼管鉄塔主柱材継手への現場溶接の実用化検討 |
東京電力(株) 東京電力(株) 東京電力(株) (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション (株)巴技研 |
本郷栄次郎 降旗範明 三上康朗 二村幸作 対馬健夫 金谷研 |
UHV鉄塔のように鋼管径が大きい主柱材は,主柱材を短くして重量制限値を満足させる。このため,継手箇所が増加し鍛造フランジ使用量も増え,鉄塔全体重量が増大し建設費増加の要因となっている。しかし近年,建築分野では鉄骨の鋼管柱の溶接に自動溶接装置を使用して効率化を図っており,これを送電鉄塔用に改良できれば,上記問題が解決できるものと考えた。 |
施工技術 |
溶接 |
現地溶接 |
234 |
平成 9年 1997年 |
97 |
JIS規格ボルト・ナットの送電線鉄塔への適用に関する検討結果について |
鉄塔技術合理化研究会 |
北村光男 |
鉄塔技術合理化研究会では,コストダウンを指向し,鉄塔の設計・製作および施工面の合理化をはかる一環として,JIS規格ボルト・ナットの送電鉄塔への適応可否の検討を行うこととし,この検討を効率的に行うため,鉄塔協会において諸活動を行っている技術委員会,ボルト部会に付託して検討することにした。ボルト部会は,慎重,かつ精力的に検討を行い報告書をとりまとめ,平成8年11月の鉄塔技術合理化研究会 第3回全体会議で確認されたので,ここにその概要を紹介する。 |
材料 |
ボルト |
JIS規格 |
235 |
平成 9年 1997年 |
97 |
等辺山形鋼重ね継手の平はつりに関する基準(改訂) |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
鉄塔93.(1996.2)に「等辺山形鋼主柱材の重ね継手の平はつりに関する基準」を発表した。これについて各方面から,ボルトピッチを増加させず,鉄塔重量の増大をさけるという御意見を頂いた。検討の結果,加工上,耐力上問題がないことが確認されたのでここに改訂版を発行することとした。 |
製作技術 |
継手 |
重ね継手 平はつり |
236 |
平成 9年 1997年 |
97 |
等辺山形鋼重ね継手の平はつりに関する座屈耐力検証試験報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
等辺山形鋼主柱材の重ね継手のについて,平はつり加工した継手の実用化の為,その妥当性の検証が行われている。先に平はつり加工した継手とrはつり加工した継手の引張試験が行われた。その結果,最大耐力は同等であったが,総変位量はrはつり加工した継手の方が1.5倍大きいことが示された。その後,各種検討が行われたが,鉄塔部材の終局耐力は部材の座屈によって決定されることから,部材の座屈耐力の確認が必要とされた。本実験は,平はつり加工した継手とrはつり加工した継手を有する部材の座屈耐力,変形性状を調べることを目的としている。 |
試験事例 |
継手 |
重ね継手 平はつり 座屈耐力 |
237 |
平成 8年 1996年 |
97 |
鋳鋼十字継手の開発 |
東京電力(株) 東京電力(株) 東京電力(株) (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション |
本郷栄次郎 降旗範明 角谷靖明 鷹尾真三郎 深沢 隆 稲岡教 |
UHV送電線は,従来500kV送電線よりも更に設備信頼度が要求される状況において,鋼管鉄塔の比較的作用荷重の大きい腕金主材や腹材など鋼管部材の端部継手に,従来の板十字継手よりも風などの繰返し荷重に対する疲労耐力性能が向上した鍛造十字継手を開発し,高信頼度化を図っている。しかし,製作面では,鍛造十字継手は,鍛造リングと十字板とを溶接長が短い突き合わせ溶接を行うことから,高度な技術を要するとともに,内部欠陥検査が必要なため,コスト的には従来の板十字継手に比べ高いものとなる。そこで,コストダウンの観点から,他分野において使用されている鋳鋼品に着目し,鍛造リングと十字板を一体構造とした鋳鋼十字継手の開発について検討を行った。 |
設計技術 |
継手 |
鋳造十字継手 |
238 |
平成 9年 1997年 |
97 |
ボルト、ナットの表面積の計算式 |
千葉工業大学 千葉工業大学 千葉工業大学 千葉工業大学 |
清水秀治 江藤元大 船見国男 片岡真澄 |
今回,日本工業規格(JIS)の国際規格(ISO)との整合化に伴いJIS H0401-1983も見直しされることになり,この規格の中に記されているボルト,ナットの表面積の計算式の検討を依頼された。本稿では以下,修正後のボルト,ナットの表面積の式がどのようにして導かれたか,解説する。 |
材料 |
ボルト |
表面積 |
239 |
平成 9年 1997年 |
98 |
鉄塔設計図及び許容応力表の国際単位系(SI単位)への切替えについて |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 |
今般,電気設備に関する技術基準の体系が変わり,電気設備に関する技術基準(1997年3月改正)と,電気設備の技術基準の解釈(1997年5月制定)から構成されることになった。一方,計量単位の基本である計量法が1993年11月から施工されており,国際単位系(以下SI単位という)への切換えが必要とされてきた。このため上述の電気設備の技術基準の解釈にSI単位が取り入れられた。技術委員会では,このような情勢を踏まえ,平成7年から鉄塔設計図及び許容応力表のSI単位化への切換えの検討に着手し,このたびSI単位による鉄塔設計図の改訂及び許容応力表を発行することができたので,ここにその概要を紹介する。 |
設計技術 |
その他 |
SI単位 許容応力表 |
240 |
平成 9年 1997年 |
98 |
送電用鋼管鉄塔の接合部設計手法に関する研究(その3)(リングスチフナの溶接設計法) |
東京電力(株) (株)サクラダ (株)サクラダ |
本郷栄次郎 岡村忠夫 松田岳憲 |
送電用鋼管鉄塔の節点の接合部構造は,鋼管にガセットプレートを溶接し,その両端を鋼管の局部変形防止のため半円スチフナ,リングスチフナで補強している。現状では一般的に,「電気協同研究第39巻3号」に示されている鋼管と半円スチフナとの溶接設計法の考えを拡張して設計されている。しかし半円スチフナとリングスチフナとでは構造形状が異なり,細径鋼管に大きなリングスチフナが取り付く場合や,太径鋼管に小さなリングスチフナが取り付く場合に,この溶接部設計法では母材厚によるすみ肉溶接脚長の制限値を逸脱する不合理な結果を生じることがある。そこで,この溶接部の応力を解析的に求め,合理的な溶接設計ができるよう設計法を検討することにした。 |
設計技術 |
節点 解析手法 |
接合部 スチフナ FEM解析 |
241 |
平成 9年 1997年 |
98 |
鉄塔用ボルトの機械的性質に関する実態調査報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
平成4年4月に電気設備に関する技術基準が改正され,鉄塔用ボルトは「鋼製のボルト・小ネジの機械的性質JIS B 1051」に規定するボルトと定められたことから,当協会では,鉄塔用ボルト・ナット規格委員会を設立し,平成5年2月に規格を改正した。各ボルトメーカーにおいて,需要家殿に安定した製品の供給に努めてきましたが,製品の品質水準を示す指標の一つとするために,今後,年度別調査することとし,平成8年1月から12月までの期間に製造したボルトの機械的性質に関する実態調査を行い,その結果がまとまりましたので,ここに報告する。 |
材料 |
ボルト |
機械的性質 調査 |
242 |
平成10年 1998年 |
99 |
鋼管鉄塔主柱材継手用鍛造フランジ継手の合理化研究(その1) |
東京電力(株) 中部電力(株) (株)巴コーポレーション 日本鉄塔工業(株) |
本郷栄次郎 須田悟 深沢隆 吉野正 |
現在,送電用鋼管鉄塔の主柱材継手には,一般的に鍛造フランジ継手が使用されている。 電力会社が鉄塔メーカから鋼管鉄塔を購入する際の購入費用に占める材料費の割合は約50%であり,この内,鍛造フランジの材料費に占める割合は,鉄塔規模によって異なるものの,500kVでは約25%と大きく,鋼管鉄塔の合理化を図る上で,この鍛造フランジの合理化は重要課題の一つに挙げられる。 そこで本研究は,現在用いられているSTKT590鋼管用鍛造フランジの低コスト化を目的とした合理的検討を行ったものである。 |
設計技術 試験事例 鋼管鉄塔 |
継手 |
鍛造フランジ 低強度フランジ 高強度ボルト 強度区分10.9 |
243 |
平成10年 1998年 |
99 |
鉄塔・電線連成系の3次元地震応答解析 |
関西電力(株) 関西電力(株) 関西電力(株) (株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
川端欣哉 橋本邦一郎 石窪雄二 田渕敦彦 伏見義仁 |
従来から風荷重で設計された送電鉄塔は,地震荷重に対して十分安全に耐えられるものであったが,今後送電線の大容量化等から,耐震性についてもより詳細な検討の必要性が生じてきた。しかし,厳密な解析モデルでは,計算容量と計算時間が多大となるため,先に提案したトラス鉄塔モデルを多質点モデルに縮退化する2次元の解析方法を基に,鉄塔・電線連成系の3次元地震応答解析システムを構築した。これは,トラス鉄塔モデルを多質点モデルに縮退化することに加え,鉄塔の強度評価に必要な最小限の個有値を選択することによって,より合理的な解析を行うものである。 |
設計技術 試験事例 |
解析手法 振動 |
3次元地震応答解析 振動モデル |
244 |
平成10年 1998年 |
100 |
鋼管鉄塔主柱材継手用鍛造フランジ継手の合理化研究(その2) |
東京電力(株) 中部電力(株) (株)巴コーポレーション 日本鉄塔工業(株) |
本郷栄次郎 須田悟 深沢隆 吉野正 |
本研究は,送電用鋼管鉄塔の主柱材に現在用いられているSTKT590鋼管用鍛造フランジ(以下フランジと呼ぶ)の低コスト化を目的とした合理化検討を行ったものである。前号では,フランジ継手の性能把握試験までについて報告した。 本号では,前号の性能検討結果を踏まえ,1.フランジ(ボルトを含む)のコスト評価,2.これらの総合的評価に基づく合理化フランジ(ボルトを含む)の選定,3.フランジ継手の設計条件の確立,4.実大フランジ継手性能確認試験,および5.フランジ継手の規格化について報告する。また,6.主柱材継手の疲労設計条件の検討結果についても併せて報告する。 |
設計技術 試験事例 鋼管鉄塔 |
継手 |
鍛造フランジ 低強度フランジ 高強度ボルト 強度区分10.9 |
245 |
平成10年 1998年 |
101 |
500kV景観鉄塔の開発検討 |
東京電力(株) 東京電力(株) 東京電力(株) |
本郷栄次郎 小川正浩 山崎智之 |
常陸那珂火力発電所の周辺は国際港湾公園都市計画が掲げられ,景観への配慮が要望されていた。そこで,景観に配慮した鉄塔を4基採用した。鉄塔デザインは,従来にない軽快感を演出することに主眼を置き,最下節以外にシングルワーレン骨組みを採用した。また,腕金部も特殊な構造を採用し,コストダウンを指向した合理的な設計手法を追求した。 |
設計技術 |
骨組 その他 |
景観鉄塔< デザイン 立体解析 シングル結構 |
246 |
平成10年 1998年 |
101 |
鉄塔用ボルトの機械的性質に関する実態調査報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
平成4年4月に電気設備に関する技術基準が改正され,鉄塔用ボルトは「鋼製のボルト・小ねじの機械的性質JISB1051」に規定するボルトと定められたことから,各ボルトメーカーでは,この改定規格に基づいて製造技術,品質管理等を検討し,製造してきた。製品の品質水準を示す指標の1つとするために,平成10年1月から12月までの期間に製造したボルトの機械的性質に関する実態調査結果並びに規格改正から平成10年12月までに製造したボルトの機械的性質の推移を合わせて報告する。 |
材料 試験事例 |
ボルト |
ボルト実態調査 |
247 |
平成11年 1999年 |
103 |
汎用鋼管を用いた77kV用鋼管単柱の開発 |
関西電力(株) |
山元康裕 |
近年,地域環境に対する意識の高まりから,送電設備についても環境調和の配慮が必要となってきている。また,都市部における既設鉄塔の高鉄塔化についても,用地の制約からトラス鉄塔で対応が困難となる場合は鋼管単柱を適用している。 しかし,現在の鋼管単柱は,一般のトラス鉄塔と比べて建設コストが高価であるため,今回鋼管単柱の構造改善を行い,建設費の低減を目的とした鋼管単柱の開発を行った。 |
設計技術 |
骨組 |
H鋼腕金 モルタル充填継手 単柱 |
248 |
平成11年 1999年 |
103 |
鉄塔用ボルトの機械的性質に関する実態調査報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
平成4年4月に電気設備に関する技術基準が改正され,鉄塔用ボルトは「鋼製のボルト・小ねじの機械的性質JISB1051」に規定するボルトと定められたことから,各ボルトメーカーでは,この改定規格に基づいて製造技術,品質管理等を検討し,製造してきた。製品の品質水準を示す指標の1つとするために,平成10年1月から12月までの期間に製造したボルトの機械的性質に関する実態調査結果並びに規格改正から平成10年12月までに製造したボルトの機械的性質の推移を合わせて報告する。 |
材料 試験事例 |
ボルト |
ボルト実態調査 |
249 |
平成12年 2000年 |
104 |
250kV(500kV)阿南紀北直流幹線の鉄塔設計 |
関西電力(株) |
古岡芳弘 |
関西電力(株)では,徳島県阿南市で建設が進められている橘湾火力発電所280万kWの一部(140万kW)を受電するために紀伊水道ルートを新設する。この紀伊水道ルートは,直流送電方式(阿南紀北直流幹線)を採用することとした。支持物であるMC鉄塔は,交流送電鉄塔と比較してがいし装置の規模が大きく腕金が長大となるため,極力コンパクトな装柱を志向することとし,シンプルでかつ経済的な直流長大腕金鉄塔を新たに開発した。 |
設計技術 |
骨組 |
腕金 MC鉄塔 コンパクト装柱 |
250 |
平成12年 2000年 |
104 |
カラー画像解析による送電鉄塔亜鉛めっき劣化診断システムの開発 |
(株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション |
正岡典夫 対馬健夫 |
送電鉄塔には防錆を目的として溶融亜鉛めっき処理を施しているが,溶融亜鉛めっきの経年劣化は様々な外観様相を示すため,客観的・定量的に劣化度合を評価することは困難であった。しかし,溶融亜鉛めっき処理された鋼材が経年劣化すると,表面には経年劣化による変色が現れる。そこで本研究では山形鋼鉄塔を対象に,溶融亜鉛めっきの経年劣化によって生じる変色をカラー画像解析で把握し,部材の経年劣化を客観的・定量的に評価する方法を開発した。 |
診断・補修技術 |
その他 |
画像解析 |
251 |
平成12年 2000年 |
104 |
鉄塔劣化診断・整備提案システムの開発 |
那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) |
平岡和博 池田達也 |
送電用鉄塔,通信用鉄塔は,防錆・防食対策の表面処理として,溶融亜鉛めっきあるいは,溶融亜鉛めっきの上に防食塗装が施されている。鉄塔劣化についての維持・管理の情報管理ならびに,劣化が進行した場合のコスト,施工条件及び周辺環境による制限等,その対策は容易なことではない。そこで鉄塔の建設年度,環境条件,メンテナンス履歴などをカルテとしてデータベース化し効率よく診断・整備を行い鉄塔の耐久性の向上や,ライフサイクルコストを考慮したメンテナンス費用の削減を図ることを目的に,『鉄塔劣化診断・整備提案システム』を開発した。 |
診断・補修技術 |
その他 |
劣化診断 |
252 |
平成12年 2000年 |
105 |
既設鉄塔立替工法,「スライド工法」の開発 |
安治川鉄工建設(株) 安治川鉄工建設(株) |
西田勲 藤木敏春 |
現在の架空送電鉄塔の建替え工事は,用地の追加取得,ルート変更による線下交渉等による用地問題で工事遅延が長期的におよぶケースが増加している。今回トータル的な工期短縮,コスト削減を図ることが出来る既設鉄塔建替えの新工法として「スライド工法」を開発した。本工法の主要なポイントは既設鉄塔をレールに載せ,架線した状態で移動させることにある。 |
施工技術 |
その他 |
CIB基礎 仮鉄塔 スライド工法 |
253 |
平成12年 2000年 |
105 |
送電用鉄塔の絶対変位計測システムの開発 |
日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) |
森本康幸 荊尾冶邦 |
本研究では,強風時における送電鉄塔の平均変位を含めた直接変位計測を可能とする計測システムを構築し,このシステムを用いた計測データから検討した鉄塔の強風時応答特性について報告する。 |
その他 |
風 |
変位計測 強風時応答特性 |
254 |
平成12年 2000年 |
105 |
鋼構造物の環境調和めっきに関する研究開発 |
(株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 田中亜鉛渡金(株) 田中亜鉛渡金(株) 田中亜鉛渡金(株) |
石崎茂 三木芳永日 足利知彦 坂井一樹 高野嘉彦 高田幸士 |
溶融亜鉛めっきされた鋼構造物は,建設当初に金属光沢があり,景観対策が求められてきた。このため,塗料による着色仕上げや,りん酸処理による灰白色の仕上げが行われてきたが,種々の問題があった。そこで各種化成処理方法等について検討し,環境に調和し,耐食性に優れた過マンガン酸法による環境調和めっき方法を開発したので報告する。 |
製作技術 |
めっき |
環境調和 白錆 過マンガン酸処理 |
255 |
平成12年 2000年 |
105 |
鉄塔用ボルトの機械的性質に関する実態調査報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
平成4年4月に電気設備に関する技術基準が改正され,鉄塔用ボルトは「鋼製のボルト・小ねじの機械的性質JIS B1051」に規定するボルトと定められたことから,平成5年2月に鉄塔用ボルト・ナット規格(社団法人,日本鉄塔協会)も改正された。鉄塔協会では規格改正から平成10年12月までの期間に製造したボルトの機械的性質の実態調査を技術委員会,ボルト部会において実施し,その結果を機関紙・鉄塔90(平成7年),94(平成8年),98(平成9年),101(平成10年),103(平成11年)に報告した。その後も継続して年度別調査することとし,平成11年1月から12月までの期間に製造したボルトの機械的性質に関する実態調査結果並びに規格改正から平成11年12月までに製造したボルトの機械的性質の推移を合わせて報告する。 |
材料 |
ボルト |
JIS B1051 クサビ引張試験 機械的性質 |
256 |
平成13年 2001年 |
106 |
ボルトせん断強度向上検討 |
中部電力(株) 日本橋梁(株) 愛知金属工業(株) |
鈴木正嘉 中野智文 高木督次 |
山形鋼鉄塔の主柱材継手はそのほとんどがボルトのせん断強度によりボルト径・本数が決定している。そのため,ボルトのせん断強度向上を図ることで,ボルト径と本数の低減によるコストの低減が期待できる。このボルトのせん断強度を向上する方法としては下記の2通りの方法が考えられる。@材料の引張強さを向上する。Aせん断面をねじ部から軸部に変更する。以上のような高強度軸部せん断ボルトの採用により,せん断強度の向上が期待できることから,本検討では,(1)適用箇所の検討(2)軸部せん断ボルトの強度評価(3)ボルト・ナットの組合せ評価(4)コスト効果の検討を行い,適用箇所およびボルト仕様(強度区分・サイズ)の最適組合せを決定するとともに,実規模継手による耐力試験を行いその有効性を確認し,高強度軸部せん断ボルトの実用化を図った。 |
山形鋼鉄塔 材料 |
ボルト |
軸部 せん断強さ |
257 |
平成13年 2001年 |
106 |
送電設備の色彩に関する研究 |
中部電力(株) 中部電力(株) (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション |
山崎秀樹 樋口達也 松尾康博 川村和彦 古口勝尉 |
ここ数年,景観に関する問題が様々な分野で重視されるようになってきた。本研究は,これまでほとんど協議される事のなかった送電用がいしと,鉄塔本体を含めた送電設備色彩の周辺環境への融和性について検討することにより,がいし並びに鉄塔色彩の最適化を図るものである。 |
その他 |
環境 |
リン酸処理 塗装 |
258 |
平成13年 2001年 |
106 |
コンクリート充てん鋼管用溝付メカニカル継手に関する開発研究 |
(株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
石崎茂 田淵敦彦 |
送電用鉄塔の主材に鋼管を使用する場合の継手は,現地での施工性から,鋼管から突出したフランジ板をボルトで締め付ける引張接合が使用されている。このボルト継手では,引張ボルトのピッチサークル径と鋼管径の離隔量が大きく二次曲げが発生するため,疲労に対し高い安全率が必要となり,フランジ厚が非常に大きなものとなっている。近年送電鉄塔は大型化し,それに伴って柱材の径も大きくなり,ボルト本数の増加とフランジ厚板化から継手の重量が益々大きな比率を占めるようになってきた。そこで,継手のボルト使用量を最小限に抑え,かつ軽量化を図るべく「溝付メカニカル継手」を考案した。この継手の縮小モデルによる基礎実験とFEM解析の結果より十分な継手性能を有することを確認したのでここに報告する。なお,今回はコンクリート充填鋼管の継手を対象にしている。 |
鋼管鉄塔 設計技術 製作技術 |
継手 |
コンクリート充てん鋼管 MC鉄塔 溝付メカニカル継手 |
259 |
平成13年 2001年 |
106 |
鋼管内面腐食防止用エコキャップ(ゴム栓)の開発 |
(株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
石崎茂 田淵敦彦 足利知彦 |
鋼管鉄塔が用いられ始めて,約40年になろうとする現在,鋼管腹材内面の腐食が認められるようになり,その対策が求められてきた。そこで,鋼管鉄塔腹材の仕口部分を塞いで腐食性因子の侵入を防ぐ防食方法としてエコキャップ(ゴム栓)を開発した。以下にその詳細を報告する。 |
施工技術 診断・補修技術 |
環境 |
腐食防止 エコキャップ |
260 |
平成13年 2001年 |
107 |
「送電用鋼管トラス鉄塔節点の設計方法に関する研究」論文概要 |
東京電力(株) |
本郷栄次郎 |
UHV送電鉄塔に関する技術開発研究の一環として,@半円スチフナまたはサドルスチフナで補強される偏心接合鋼管節点,A鋼管を一枚のリングで補強した単一リング補強鋼管,B鋼管に取り付けたガセットプレートをリングで補強した一体型補強鋼管,Cリングで補強された節点を有する鋼管トラス骨組み,を対象に耐力試験,FEM非線形解析,疲労試験を実施した。これらの検討結果に基づいて送電用鋼管鉄塔の節点の合理的な設計方法を提案した。 |
鋼管鉄塔 設計技術 |
節点・仕口 |
UHV 節点耐力 学位論文 |
261 |
平成13年 2001年 |
107 |
高速載荷を受ける骨組の挙動に関する実験的研究 |
日本電炉(株) |
鈴木慎一 |
鉄塔のような鋼構造物が地震や突風など衝撃的な動荷重を受けた場合に,鋼素材の力学的性質に及ぼすひずみ速度効果が無視できないことが報告されている。送電用鉄塔の設計はひずみ速度効果を考慮していない。そこで本研究では,高力ボルト摩擦接合および中ボルト接合された鋼構造骨組が地震や突風のような高速繰り返し荷重を受けた場合に,骨組の復元力特性が載荷速度の影響をどの程度受けるかを実験的に検証した。 |
試験事例 |
骨組 解析 |
復元力特性 繰り返し載荷 |
262 |
平成13年 2001年 |
107 |
鉄塔用ボルトの機械的性質に関する実態調査報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
平成5年2月に鉄塔用ボルト・ナット規格(社団法人,日本鉄塔協会)がJIS B1051に準拠して改正された。鉄塔協会では製品の品質水準を示す指標の1つとして年度別調査を継続している。ここでは平成12年1月から12月までの期間に製造したボルトの機械的性質に関する実態調査結果を報告する。 |
材料 |
ボルト |
クサビ引張試験 機械的性質 |
263 |
平成14年 2002年 |
108 |
遺伝的アルゴリズムを用いた鉄塔最適設計システムの開発 |
中部電力(株) 中部電力(株) 愛知金属工業(株) 愛知金属工業(株) |
上田稔 河村精一 安井英穂 太田和信 |
送電用鉄塔は,送電電圧,使用する電線,経過地の地形などにより設計条件が多種多様であり,設計する鉄塔の部材数は千数百に及ぶまた,建設工程から鉄塔設計に要する期間は限られており,鉄塔敷地の用地が確定してから最も低コスト(ここでは最も鋼材重量が少ない)の鉄塔となるよう部材の接合位置や根開きなどの鉄塔形状を最適化した設計を行うことは難しいのが実際である。そこで,鉄塔部材の接合位置や根開きなど鉄塔形状最適化問題を,これらの組合せ問題としてとらえ,膨大な組合せ問題に対して,高速かつ効率的に解を見出すのに有効な最適化手法として近年注目されている生物進化の理論を応用した遺伝的アルゴリズムに着目した。そして,この遺伝的アルゴリズムとこれまでの送電用鉄塔設計ツール(国の認可を受けたプログラム)をうまく組み合わせることで,実務に耐えうる検討時間で最も鋼材重量の少ない鉄塔形状が見出せる設計システムを構築した。 |
設計技術 |
骨組 |
アルゴリズム 装柱 |
264 |
平成14年 2002年 |
108 |
中空鋼管鉄塔主柱材耐風補強工法の開発 |
九州電力(株) 九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) |
今村義人 布谷孝治 松永稔 海老原修二 |
中空鋼管鉄塔主柱材の合理的な耐風補強方法として,バンド式補助材工法および鋼管または山形鋼を添接する添接材工法の2種類の主柱材補強方法を考案した。ここでは,これらの工法の概要と耐風補強の検討課題の一つである圧縮時耐力の確認試験結果と,FEM複合非線形立体解析結果との比較検討結果およびその考察を報告する。さらに,本補強工法を適用した鉄塔について,補強前後において人力加振試験を実施し,固有振動数,固有振動モードおよび減衰定数について調査し,補強材取付による動特性への影響についても検証した。 |
診断・補修技術 |
試験 振動 解析 |
バンド式補助材工法 添接材工法 |
265 |
平成14年 2002年 |
108 |
地滑り地帯の鋼管鉄塔耐力向上検討 |
中部電力(株) (株)巴コーポレーション |
鈴木正嘉 深沢隆 |
地滑り地帯を経過する送電用鉄塔(以下,鉄塔)では,地滑りにより生じる荷重(以下,地滑り荷重)によって,鉄塔基礎(以下,基礎)の変位および二次応力が発生し,鉄塔の耐力低下が懸念される。そこで,鉄塔・基礎・地盤を一体とした解析モデルを作成し,3次元立体解析により,地滑り荷重など不測の状態を想定した変位挙動および鉄塔の終局耐力を確認した。また,鉄塔耐力向上策の効果についても確認を行った。 |
設計技術 |
荷重 解析 |
地滑り荷重 変位挙動 |
266 |
平成14年 2002年 |
109 |
「2脚1/2面包み込み鉄塔嵩上げ工法」の開発 |
愛知金属工業(株) |
名和英朗 |
近年,架空送電線路付近の市街地化進展にともない,既設送電線路の鉄塔高上げ工事(建替,改造)が増加している。そこで中部電力(株)静岡電力センターとの共同開発により,大規模な工事用敷地を必要としないで,かつ,電気の営業回線を確保するという,問題点の同時解決が可能な,「2脚1/2面包み込み鉄塔嵩上げ工法」を開発した。 |
施工技術 |
その他 骨組 |
2脚1/2包み込み 嵩上げ |
267 |
平成14年 2002年 |
109 |
送電用鉄塔の等価静的風荷重算定ツールの開発 |
広島大学 電力中央研究所 電力中央研究所 電力中央研究所 電力中央研究所 四国電力(株) 日本鉄塔協会 |
中村秀治 石川智巳 山崎智之 奥田慎也 南浩二 漆原育男 山岸啓利/td>
| 1991年9月に発生した台風9号は,西日本地域において送配電設備に著しい被害をもたらした。これを契機に全電力会社,学識経験者および電力中央研究所により,台風被害の原因究明と設計風速および風荷重の算定法の合理化を目指した検討が行われた。ここでは,等価静的風荷重に基づく送電用鉄塔設計支援ツールとして開発したコンピュータ・プログラムの概要について述べている。 |
その他 設計技術 |
風 解析 |
設計支援ツール 立体解析 |
268 |
平成14年 2002年 |
109 |
単軸繰返し載荷を受けるコンクリート充填めっき鋼管の復元性特性 |
関西電力(株) 関西電力(株) (株)酒井鉄工所 (株)酒井鉄工所 |
田中信也br>堀口眞 田淵敦彦 伏見義仁 |
コンクリート充填された溶融亜鉛めっき鋼管(以下溶融亜鉛めっきCFT(concrete filled steel tubes)材と称す)を主材に採用している送電用鉄塔は骨組の一部が塑性域になっても,溶融亜鉛めっきCFT材の高い靭性により倒壊を回避できることは過去の実規模耐力実験で検証されている。そこで,鉄塔の主材に使用されているSTK400・STK540の溶融亜鉛めっきCFT材を用いて軸方向に引張・圧縮の繰り返し載荷を行った実験に基づいて復元力モデルを提案する。 |
試験事例 |
骨組 解析 |
復元力特性 繰り返し載荷 コンクリート充てん鋼管 MC鉄塔 |
269 |
平成14年 2002年 |
109 |
鉄塔用ボルトの機械的性質に関する実態調査報告 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
前報「鉄塔107(H13/7)」に引き続きH13/1〜12(以下,H13年という)の期間に「鉄塔用ボルト・ナット規格(社団法人,日本鉄塔協会H5/2)」(以下ボルト・ナット規格という)に準拠して製造された溶融亜鉛めっき処理のボルト(以下,鉄塔用ボルトという)の機械的性質(引張強さ・硬さ)を調査した。鉄塔協会では製品の品質水準を示す指標の1つとして実態調査結果を報告する。 |
材料 |
ボルト |
クサビ引張試験 機械的性質 |
270 |
平成15年 2003年 |
110 |
YP鉄塔の開発 |
電源開発(株) 佐藤建設工業(株) 日本鉄塔工業(株) (株)ケーエム送電 |
大坪芳次 嶋田潔 小瀬古信博 津田修 |
送電用鉄塔は送電設備の重要な構成要素であり,設備全体の総建設費コストや安全性,信頼性への影響は大きい。鉄塔種別は,山形鋼鉄塔,XP鉄塔,鋼管鉄塔が適用されているが,大型鉄塔については断面性能が優れた鋼管鉄塔が主流となっている。YP鉄塔は,新たに開発したY形断面材を主柱材に用いるもので,組立型の開断面材であることから,溶接加工の回避による製作及び施工コストの削減,防錆対策等において有利であると思われる。Y形断面材は新規開発のボルト組立式部材であることから,部材強度,風圧荷重及び製作方法に関して次の基礎資料を蓄積した。@座屈試験A風洞試験B加工性試験C骨組試験 |
材料 設計技術 試験事例 |
鋼材 耐力試験 |
骨組 強度試験 風洞実験 |
271 |
平成15年 2003年 |
111 |
道央南幹線矩形鉄塔の解析および載荷試験 |
北海道電力(株) 北海道電力(株) 北海道電力(株) 北海道電力(株) 那須エンジニアリング(株) 那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) 那須電機鉄工(株) |
小野忠光 金本明浩 奥山英明 久保貴代 若林安弘 吉井彰 大野泰裕 清水昇 |
設計は,超高圧2回線大型矩形鉄塔で構造規模・荷重規模ともに大きいことを踏まえ,大型烏帽子鉄塔などの文献を参考として平面解析による慣用設計法で設計を行い,線形立体解析で設計の妥当性を検証することとした。検証した結果,不平均張力を伴わない常時荷重条件では,慣用設計法による応力と線形立体解析による応力はほぼ一致しており問題のないことが分かった。しかし,不平均張力を伴う異常時荷重条件では,慣用設計法による応力と慣用立体解析による応力が多くの部材で一致せず,主柱材サイズが変わるような大きな問題のあることが分かった。この原因は,JEC127に示されている矩形鉄塔のねじり力計算式による応力と,線形立体解析による応力が異なることにあり,特に正面側応力は著しく異なっていた。従来,四角鉄塔以外の特殊形状鉄塔は,慣用設計法の応力を基本として部材・ボルトを選定し,線形立体解析によって補完する設計法がとられてきた。しかし,この矩形鉄塔の場合,主柱材サイズまで影響が出るため,従来どおりの設計では,実際の応力分布とかなり乖離する。そこで,この矩形鉄塔に適合した合理的な設計手法を策定するため解析・試験を行ったものである。以下,ねじり力問題を中心に一連の解析・試験結果の概要について述べる。 |
設計技術 試験事例 |
解析手法 耐力試験 |
275kV矩形鉄塔 ねじり力 線形立体解析 非線型立体解析 1/3縮小モデル試験 |
272 |
平成15年 2003年 |
111 |
鉄塔用ボルトの機械的性質に関する実態調査 |
日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
前報「鉄塔109(H14/7)」に引き続きH14/1〜12(以下,H14年という)の期間に「鉄塔用ボルト・ナット規格(社団法人,日本鉄塔協会H5/2)」(以下ボルト・ナット規格という)に準拠して製造された溶融亜鉛めっき処理のボルト(以下,鉄塔用ボルトという)の機械的性質(くさび引張りの強さ・硬さ)を調査した。鉄塔協会では製品の品質水準を示す指標の1つとして実態調査結果を報告する。 |
材料 |
ボルト |
機械的性質 |
273 |
平成16年 2004年 |
112 |
超狭根開き山形鋼鉄塔の動的応答解析に用いる減衰乗数の検討 |
東京電力(株) 東京電力(株) |
本郷栄次郎 飯田健 |
地震や風に対する送電用鉄塔の動的挙動を把握するときの動的応答解析において,送電用鉄塔の減衰定数は重要な要素となる。鋼管鉄塔の地震動に対する減衰定数を把握するために行われた既往の研究では,ボルトすべりを考慮した静的履歴から求めた減衰と自由振動試験から得られた減衰は良く対応すること,さらに,非線形解析の変位波形から推定された減衰は自由振動試験から得られた減衰の1/2程度であることが明らかになっており,線形解析で用いる等価減衰は自由振動試験から得られた減衰定数の1/2とすることを提案している。しかし,山形鋼鉄塔を対象とした研究はなく,これまでは鋼管鉄塔の研究成果を参考に評価してきた。そこで,超狭根開き山形鋼鉄塔(塔高と根開きの比:1/29)の開発研究に当たって,自由振動試験と解析による解析手法の妥当性検証,ボルト接合部のすべり変形を考慮した非線形解析および減衰定数を変化させた線形動解を実施し,線形動解に用いる等価減衰定数の評価方法について検討したのでその概要を述べる。また,風応答解析に用いる減衰定数についても,自由振動試験結果から推測する。 |
設計技術 試験事例 |
解析手法 |
地震応答解析 風応答解析 線形動解 非線形動解 減衰定数 |
274 |
平成17年 2005年 |
114 |
送電用鉄塔鋼材の支圧耐力評価研究 |
東京電力(株) 東京電力(株) |
本郷榮次郎 三上康朗 |
送電鉄塔は一般的に,骨組み部材をボルト接合したトラス骨組みとし,鋼管鉄塔の鋼管同士の引張接合を除き,せん断接合形式を採用している。このせん断接合部の設計は,鋼材(部材,プレート,ボルト)の支圧耐力またはボルトのせん断耐力の照査を行っている。この支圧耐力を評価するための許容支圧応力度は,経済産業省の「電気設備に関する技術基準を定める省令およびその解釈」あるいは電気学会の「送電用支持物設計標準(JEC127-1979)」で1.1σyと規定されているのに対し,日本建築学会の「鋼構造設計規準」では1.25σyと規定されており,電技解釈で規定されている値は安全側に評価されているものと考えられる。しかし,これらの支圧耐力評価に対する実験や研究はほとんど行われていない。そこで,支圧およびせん断力を受けるボルト接合部を模擬した引張試験,および支圧耐力見直しにともなう鉄塔骨組み耐力への影響を,接合部の支圧変形を加味した非線形解析により確認するなど,送電鉄塔鋼材の支圧耐力評価についての研究を行った。その概要および建築基準1.25σyの妥当性について報告する。【平成15年度(社)日本電気協会「技術基準適合評価委員会」にて1.1σy→1.25σy見直し技術基準適合評価後,平成16年7月6日付けで経済産業省の「電気設備に関する技術基準を定める省令およびその解釈」へ許容支圧応力度1.25σyを反映】 |
設計技術 山形鋼鉄塔 鋼管鉄塔 試験事例 |
耐力試験 継手 強度 |
許容支圧応力度 1.25σy 電気設備技術基準 鋼構造設計規準 鋼構造許容応力度設計規準 |
275 |
平成18年 2006年 |
115 |
鉄塔用ボルトの機械的性質に関する実態調査 |
(一社)日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
日本鉄塔協会「鉄塔用ボルト・ナット規格(H5/2,17/3)」に準拠して製造された溶融亜鉛めっき処理のボルトの機械的性質(くさび引張りの強さ,硬さ)をH16/1〜H17/12月の期間にて調査した。それらの調査結果についてはボルト・ナット規格を十分満足出来るものであり,また,その品質水準は安定状態にあり,鉄塔用ボルトの品質水準を示す指標の一つとして報告する。 |
その他 試験事例 |
ボルト 試験 強度 |
鉄塔用ボルト 品質水準 機械的性質 |
276 |
平成19年 2007年 |
116 |
鋼管鉄塔の内面を対象としためっきの品質管理 |
東京電力(株) |
宮澤健博 |
溶融亜鉛めっきは送電用鉄塔の主たる防食手段として過去から現在に至るまで使い続けられている。その理由としては,数十μm以上の厚めっきが容易なこと,多少複雑な形状でも大した手間をかけることなく部材の隅々までめっきが可能なこと,大型の部材を取り扱えること,亜鉛自体の優れた耐食性と鉄素地に対する電気化学的な保護作用が相乗して非常に優れた防食効果を発揮することが挙げられる。しかし,鋼管鉄塔の内面に目を向けると,近年の調査では建設後数十年を経過している特に臨海部の鋼管鉄塔で,内面不めっきによる腐食の顕在化を現実に確認している。鋼管内面の不めっきによる腐食は,設備運用時には腐食の発見が極めて困難であり,その対処に多大な労力とコストを必要とする。内面不めっきの問題は製作メーカの工場で積極的な予防的措置を展開しなければその後のリスクを回避することができない。東京電力では約10年前に新たなめっき施工管理基準を制定し,内面不めっきの防止に取り組んできた。また,これまでの品質管理に加え,有効性のある内面検査方法を品質管理システムに組み込んだ。鋼管内面不めっき再現試験,製作管理や内面検査の手法,およびそれらの根拠について解説する。 |
診断技術 鋼管鉄塔 試験事例 |
塔体 試験 めっき |
鋼管内面腐食 鋼管内面不めっき 鋼管内面検査 品質管理 |
277 |
平成20年 2008年 |
117 |
大間幹線XP/XL鉄塔の採用と製作について |
電源開発(株) |
六反田進一 |
大間幹線は青森県下北郡大間町地内に建設推進中である大間原子力発電所の発生電力を輸送する電源線である。大間原子力発電所を起点とし青森県下北郡東通村地内の東北電力(株)むつ幹線No.1号鉄塔を結ぶ亘長61.2kmの送電線である。送電ルートは大間原子力発電所を起点とし標高400m〜600mの山岳部を経過し,海岸からの距離は10km以内となっている。そのため支持物の構成材料選定は腐食や経済性を考慮して,主柱材には十字断面材を採用したXP/XL鉄塔を採用しており,採用経緯と設計及び製作の概要について紹介する。 |
設計技術 製作技術 |
塔体 環境 継手 |
経済性 腐食 XP XL 十字断面 |
278 |
平成20年 2008年 |
117 |
鉄塔用ボルトの機械的性質に関する実態調査 |
(一社)日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
「鐵塔115(H18/7)」に引続きH18/1〜H19/12の期間に「鉄塔用ボルト・ナット規格(H17/3)」に準拠して製造された溶融亜鉛めっき処理のボルトの機械的性質を調査した。鉄塔用ボルトの品質水準を示す指標の一つとして調査結果を報告する。 |
その他 |
ボルト |
品質水準 機械的性質 |
279 |
平成21年 2009年 |
118 |
中空鋼管鉄塔の中間継手耐力の検討 |
中部電力(株) |
村田秀樹 |
超高圧送電用鉄塔では鉄塔下部の主柱材が大サイズ部材となることから単体重量が増加し,運搬重量の制限により同一パネルに数か所の継手部を設けている。これまで継手部は部材たわみ量の小さい節点近傍に設ける事としていたため,単材長さが重量制限から決まる長さよりも短くなる事が多く,必要以上の継手部を設けなければならなかった。継手部の鍛造フランジは高価であり重量もあるためコストアップの要因となっていた。継手部を節点間の中間位置とできればフランジ個数が削減できコストダウンを図る事が出来る。中空鋼管鉄塔を対象に継手部を節点間の中間位置に配置した場合の実耐力への影響を検証した。 |
鋼管鉄塔 設計技術 |
継手 強度 耐力試験 |
座屈解析 座屈試験 中間継手 コストダウン |
280 |
平成22年 2010年 |
119 |
腹材に山形鋼を適用した送電用鋼管鉄塔(PL鉄塔)の設計手法について |
東京電力(株) 東京電力(株) |
三上康郎 山本顕正 |
構成部材から見た送電用鉄塔の種類は,大別して山形鋼鉄塔と鋼管鉄塔がある。一般的に,規模が小さく風荷重の影響が小さい場合は全ての部材を等辺山形鋼で構成した山形鋼鉄塔を採用し,超高圧鉄塔など,鉄塔への作用荷重が大きく市販の等辺山形鋼の最大サイズ(250×35)で強度的に対応できない場合は鋼管鉄塔が採用されている。
近年,主に腹材で採用される細径薄肉鋼管の内部腐食や,その補修方法(部材交換)などの課題が顕在化してきた。鋼管鉄塔の腹材に山形鋼を使用する構造の鉄塔(以下PL鉄塔という)の設計手法を検討し,実線路への適用を図った。本稿では,PL鉄塔の特徴を説明し,設計手法から確立に向けた各種検討成果について報告する。 |
設計技術 鋼管鉄塔 |
塔体 |
腹材 内部腐食 |
281 |
平成23年 2011年 |
120 |
溶融亜鉛めっき割れに関する解析 |
(株)デンロコーポレーション (株)デンロコーポレーション 岩手大学 岩手大学 岩手大学 |
西尾吉史 今野貴史 宮本裕 岩崎正二 出戸秀明 |
溶融亜鉛めっき処理中に発生するすみ肉溶接止端部のめっき割れの現象は,製品の寸法,形状,構造,溶接方法,残留応力,浸漬速度,液体金属脆化など種々の要因が,単独あるいは複合的に関連することによって発生すると考えられる。したがって,設計ディテール(板厚比の考慮,構造),鋼材の種類,浸漬方法などの適切な条件を選択することで,実用的にめっき割れを防止できるものと思われる。 |
設計技術b 製作技術 |
めっき 溶接 |
すみ肉溶接 めっき割れ |
282 |
平成24年 2012年 |
121 |
補強治具を使用した鋼管鉄塔腹材取替工法の開発 |
九州電力(株) 九州電力(株) 日本鉄塔工業(株) 日本鉄塔工業(株) (株)九建 |
森山正治 原口久司 岩尾真二 岡延夫 廣渡敏克 |
鋼管鉄塔の腹材取替はこれまでも実施されているが,取替が必要な度に補強検討・取替工法を検討していたため,標準的な工法として確立されていなかった。また,重角度鉄塔においては常時作用している腹材応力が大きく,既存の工具では取り替えられないため,荷重に応じた新規治具を開発する必要があった。そこで今回,これまでの課題であった「重角度鉄塔用補強治具の開発」,「水平補強治具の適用範囲の明示」および「取替工法の要点整理」を行い,腹材取替工法として確立したので,概要を紹介する。 |
施工技術 鋼管鉄塔 工事概要 |
改造 塔体 |
腹材取替 治具 取替工法 |
283 |
平成25年 2013年 |
122 |
東京スカイツリーの鉄骨製作 |
(株)巴コーポレーション |
深沢隆 |
開業から1年を迎えた東京スカイツリーのプロジェクトにおいて,巴コーポレーションが携わった鉄骨製作について紹介する。 |
製作技術 鋼管鉄塔 |
溶接 |
高降伏点鋼 相貫継手 鋼管分岐継手 |
284 |
平成25年 2013年 |
122 |
鋼管部材の簡易な疲労損傷評価方法 |
(株)泉創建エンジニアリング (株)泉創建エンジニアリング 神奈川大学工学研究所 |
安井八紀 鶴見俊雄 大熊武司 |
2013年冬季から春季にかけて連続して発生した風力発電タワーの事故は記憶に新しい。これらの事故の原因究明においては,それぞれの調査結果が待たれるところであるが,設計風速よりもかなり低い風速下での事故であったことから,疲労損傷も調査対象となる項目であると考えられる。
疲労損傷の要因としては,地震や風による鉄塔全体の応答に伴うもの,個材の風方向の振動に伴うもの,個材の風直行方向の振動,いわゆる過励振によるものが考えられる。特に,斜材,水平材および水平ブレース,さらには応力材を補剛する補剛材は,比較的曲げ剛性が低いため,設計風速以下での過励振の発生も考えられる。また,大型の鉄塔においては,これらの部材に種々の継手を持つ鋼管部材が用いられる場合が多い。
本報では,風による個材振動を起因とする鋼管部材の疲労損傷に着目し,その簡易な評価法について報告するものである。
風による個材振動を起因とする疲労損傷を評価する場合には,次のような項目が明らかになっている必要があり,
@継手を考慮した部材の振動特性の算定法 Aホットスポット応力の算定法 B照査機関における風速の累積作用時間の算定法 C風荷重および応答値の算定法 D疲労曲線および疲労損傷度の算定法 これらの5つの項目それぞれの算定法を示し,最後に具体的な評価事例を示す。 |
設計技術 試験事例 鋼管鉄塔 |
解析手法 疲労 風 |
疲労損傷 過励振 振動特性 累積作用時間 |
285 |
平成26年 2014年 |
123 |
送電用鉄塔の基礎変位に伴う耐荷力検討手法 |
東京電力(株) 東京電力(株) 東電設計(株) 東電設計(株) 東電設計(株) |
河原章夫 久保田邦裕 山崎智之 中村秀治 本郷榮次郎 |
我が国における送電用鉄塔は,100年余りの歴史があり,全国で約25万基建設され,電力各社において定期的な保守点検に加え,台風,着氷雪,地震などの自然災害に対する特別点検などを行い適切に維持管理が行われてきた。
送電用鉄塔で考慮すべき主要な設計荷重は,風荷重と着氷雪荷重であり,過去の台風と着氷雪被害の経験を基に基準が見直されてきた。また台風9119号の被害に鑑み,局地風について研究が進められ,地震や着氷雪荷重の知見と共に,電気協同研究第62巻第3号「送電用鉄塔の設計荷重」(2006)に取りまとめられている。なお,阪神淡路大震災では,送電用鉄塔の被害は少なく,兵庫県南部地震時の記録波形を用いた事後解析結果から,現行の設計による送電用鉄塔は同地震に対して裕度があることが確認されている。また,東日本大震災においても送電用鉄塔の地震動による直接倒壊被害はなかった。
しかしながら,送電用鉄塔の上部構造への耐荷力に与える影響が大きいのは,基礎の不同変位であり,特に4脚の基礎構造が一体でない場合,基礎の不同変位が生じ,鉄塔の耐荷性能に大きな影響を及ぼすことがある。
基礎が不同変位した鉄塔(以下,”基礎変位鉄塔”という)の耐荷力を解明するための解析において,ボルト滑りが発生応力に大きな影響を及ぼす。さらに,基礎変位量の中には製作,施工時の初期不整(以下”施工誤差”という)も含まれている。
それらを考慮した,解析モデルや載荷荷重等の入力データの作成と,解析結果を用いた部材およびボルトの耐荷力検討システムを東京電力(株)と東電設計(株)で共同開発し,運用している。
本システムは,@弾塑性解析を実施するための入力データを作成する前工程,A弾塑性解析を実施する解析工程,B弾塑性解析結果を用い鉄塔耐荷力を評価する後工程 の三つで構成されており,各工程はシステム中で連結されている。
本報では,耐荷力検討システムの各工程における構成要素の概要を説明した後,耐荷力解析手法を具体的に延べ,山形鋼鉄塔部分骨組を用いた試験結果との比較を示して,解析法の有効性を明らかにする。 |
設計技術 試験事例 |
解析手法 不同変位 |
基礎変位鉄塔 ボルト接合部滑り 非線形解析 弾塑性解析 耐荷力解析法 |
286 |
平成26年 2014年 |
123 |
耐候性鋼を使用した試験鉄塔の32年長期曝露試験結果 |
東京電力(株) (株)巴コーポレーション 新日鐵住金(株) |
高田道成 石田交広 原田佳幸 |
自然保護及び環境対策の観点から耐候性鋼の送電鉄塔への適用が検討され1978年より実規模曝露試験が実施されており,10年経過時において保護性さびの形成が確認され実用化できる事が明らかになった。しかし1).保護性さびの形成が緩やかであり,10年間の評価では十分ではない。 2).接合部の隙間さびや内面密閉化の評価が十分ではない。 などの事からさらに継続して試験を行っていたが,試験鉄塔解体に伴い32年曝露経過後の調査結果を報告した。試験鉄塔は耐候性鋼(COR-TEN490A)を用いた鋼管主柱材4本からなる構造となっており,各柱内外面には様々な表面処理や内面通気条件を変えるなど,比較評価できる条件としている。評価は【外観】【さび厚及びさび安定化度測定(外面,内面)】【さび安定化補助処理材の有効性】【断面観察】【腐食量の測定】などで行われ,保護性さびは経年とともに順調に形成され,適切な処理(密閉化など)を行えば,試験地区同様の環境であれば送電鉄塔への適用は可能と判断された。 |
鋼管鉄塔 材料 試験事例 |
実規模試験 |
耐候性鋼材 曝露 さび 内面密閉化 表面処理 |
287 |
平成27年 2015年 |
124 |
JEC-TR(送電用鉄塔設計標準)発刊にむけたこれまでの取り組みと今後の対応について |
東京電力(株) 関西電力(株) 中部電力(株) |
真野去i 中山竜一 山崎秀樹 |
「JEC-127 送電用支持物設計標準」は1979年に制定されて以来30年以上経過した規格であるため,最新の技術的知見の反映を主目的に「送電用鉄塔設計標準特別委員会」を2009年に設置し改正作業に着手。約5年間の活動により送電用支持物設計標準(JEC-127-1979)の改正案として「JEC規格の理解を補完するためにデータ類をまとめた技術的な文書=テクニカルレポート(以下 JEC-TR)」を纏めて2015年2月に発刊した。JEC-TRの制定は(1)限界状態設計法の導入,(2)平成3年の台風9119号による鉄塔損壊に鑑みて取りまとめられた「送電用鉄塔の風荷重指針・同解説(電力中央研究所 2006年2月)」導入,(3)地震荷重に対する設計方法の反映,(4)送電用鉄塔基礎の多様化に伴う地盤調査,設計に関する最新知見の反映,(5)過去の自然災害等における送電用鉄塔基礎の運用経験の反映 を基本方針として行われた。本書では【構成および記載にあたっての考え方】【改正スケジュール】【JEC-127-1979との比較】【IEC-60826との比較】について詳細に記載している。
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設計技術 |
解析手法 耐震研究 風 荷重 |
限界状態設計法 地震荷重 鉄塔基礎 JEC-127-1979 IEC-60826 |
288 |
平成27年 2015年 |
124 |
既設送電鉄塔ボルトのトルク試験結果について |
東京電力(株) 東京電力(株) 東京電力(株) 東電設計(株) |
三上康朗 土田陽一 相田通武 本郷榮次郎 |
送電鉄塔の部材接合はボルト締結法が採用されている。ボルト締付けは施工性を考慮してボルトねじ部に菜種油を塗布してトルク係数をベースに算定した値(トルク係数)が用いられている。今回,ボルト緩みが多発した既設送電鉄塔において,その原因調査の一環として,ボルトを撤去しトルク試験を実施した結果,トルク係数が新設時の約1.5〜2倍に増加しており,保守点検などで緩みが生じたボルトの増し締めを行う場合,新設時(新品)の値で行うとボルトに導入される軸力は,新設時に期待していた約1/1.5〜1/2となる事から,既設送電鉄塔ボルトのトルク試験結果とトルク係数低減(回復)について試験検討を行った。試験はせん断接合ボルト,引張接合ボルトともに建設後10年経過したものを使用し,ともに建設時よりトルク係数が増加することが確認された。トルク係数低減(回復)方法について市販潤滑油2種類で試験を行い,ナット嵌合部と座面に市販潤滑油を吹き付ければトルク係数を新設時と同レベルに低減(回復)できることを確認した。
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施工技術 補修技術 試験事例 |
ボルト 試験 継手 |
トルク 既設鉄塔 菜種油 ボルト緩み |
289 |
平成28年 2016年 |
125 |
プラットトラス送電鉄塔の耐荷力特性に関する解析的検討 |
東電設計(株) 東電設計(株) 東電設計(株) |
本郷榮次郎 中村秀治 山崎智之 |
近年,既設鉄塔の基礎不同変位や,部材の経年劣化による耐荷力評価の必要性が増し,解析精度の精緻化を図るため,鉄塔骨組を立体トラスとした弾塑性解析により実施することが多くなっている。筆者らは,基礎不同変位に伴うブライヒトラス鉄塔に対する耐力評価手法について,鐡塔123号に報告した。この手法を用いてプラットトラス鉄塔の基礎不同変位に対する耐荷力評価を行うと,引張力のみを分担すると仮定した腹材に圧縮力も作用することになり,基礎不同変位が無くても座屈に対する耐力不足と評価されることがある。そこで,実態確認のため,プラットトラス鉄塔の代表的な事例(猪苗代旧幹線, 上越幹線)を取り上げて,線路概要,材料試験,荷重載荷試験,慣用応力算定手法と算定結果について述べる。次に,山形鋼で構成されたプラットトラス鉄塔に対し,[手法1]座屈を考慮した弾性大変形立体解析手法,[手法2]ボルト接合部滑りと座屈を考慮した弾塑性大変形立体解析手法を用い,慣用設計計算値および手法1,手法2によるFEM解析値の比較を通して,プラットトラス鉄塔の耐荷力特性について解析的に検討した。 |
設計技術 |
解析手法 不同変位 |
プラットトラス FEM解析 大変形立体解析 基礎不同変位 ボルト接合部滑り |
290 |
平成28年 2016年 |
125 |
送電用鉄塔ボルトの支圧耐力評価結果について |
東京電力パワーグリッド(株) |
三上康朗 |
送電用鉄塔におけるせん断接合部の照査に使用する許容支圧耐力は,従前は1.1σyを用いていたが,ボルト接合部を模擬した継手試験と支圧耐力をパラメータとした非線形立体解析による評価を行い,許容支圧耐力を1.1σyから1.25σyに見直すことを鉄塔114において報告した。また,その成果は,電気設備の技術基準の解釈(以降,解釈)や送電用鉄塔設計標準(JEC-TR-00007-2015)へ反映されている。
当社では,解釈へ反映された以降,「板厚4mm以上の場合」に合致する場合の鋼板の 許容支圧応力を1.25σyとし,ボルトの許容支圧応力は1.1σyのまま設計しているが,既設鉄塔の部材取替工事において,取替対象接合部の材質がSS400同士の山形鋼部材とボルトの組み合わせの場合に,許容支圧応力の差異からボルトのみ差し替えるケースが散見されており,ボルトの許容支圧応力についても1.25σyを採用したい要望がある。そこで,せん断接合部の設計に用いる適正なボルトの許容支圧耐力を確認することを目的に,ボルトの支圧耐力に着目した継手試験を行うこととし,その結果について報告する。 |
設計技術 試験事例 |
ボルト 継手 耐力試験 改造 |
せん断接合部 許容支圧耐力 継手試験 |
291 |
平成28年 2016年 |
125 |
鉄塔用ボルトの機械的性質に関する実態調査 |
(一社)日本鉄塔協会 |
技術委員会 ボルト部会 |
前報「鐵塔123(H26/7)」に引続きH26/1〜H27/12月の期間に「鉄塔用ボルト・ナット規格((一社)日本鉄塔協会H17/3)」に準拠して製造された溶融亜鉛めっき処理のボルト(以下,鉄塔用ボルトという)の機械的性質(くさび引張りの強さ,硬さ)を調査した。鉄塔用ボルトの品質水準を示す指標の一つとして調査結果を報告する。なお,前報に引き続き2年分の報告である。 |
製作技術 |
ボルト |
鉄塔用ボルト 機械的性質 くさび引張強さ 硬さ |
292 |
平成29年 2017年 |
126 |
送電用鉄塔設計における立体応力解析の適用に関する検討 |
東京電力パワーグリッド(株) 東電設計(株) 東電設計(株) |
土田陽一 山崎智之 本郷榮次郎 |
送電用鉄塔(以下,鉄塔という)は,ごく一部のものを除き,一般的にトラス構造が採用され,鉄塔の設計は,古くから平面応力解析(クレモナ図式解法)を用いて行われてきた。この解析法については,過去に実施された実規模鉄塔試験や立体応力解析等の実績に基づき,妥当性を確認するとともに,適宜補完され鉄塔設計法として構築されたものである。しかしながら,今後,より合理的な設計を指向する上で,JEC-TRに見られるように,鉄塔設計に用いる想定荷重がより精緻化される状況下において,応力解析法について,より実態に整合した解析値が得られ,その説明性の高い立体応力解析の適用がなされるべきと考えられる。一方で,わが国の鉄塔への立体応力解析の適用は,特殊形状の鉄塔設計,腐食部材の取替時や特異な工事荷重時の強度検討などで適用されている。また,地震時や風の動的挙動の把握のために実施される動的応力解析においては,鉄塔の立体モデルによる解析が行われるなど,立体応力解析を用いた検討・解析実績は蓄積されてきている。以上の状況を踏まえ本論では,鉄塔設計における解析法の合理化の観点から,立体応力解析の設計への適用について述べる。 |
設計技術 山形鋼鉄塔 |
解析手法 骨組 強度 |
平面応力解析 立体応力解析 鉄塔設計システム |
293 |
平成29年 2017年 |
126 |
「送電線設備における「発泡ウレタン充填工法」の開発 |
東京電力パワーグリッド(株) 日塗化学(株) (株)TLC |
小林克也 木村忠 佐久間康暢 |
高度経済成長期に大量に建設された送電用鋼管鉄塔,溶融亜鉛めっきの品質管理が十分でなかったことから,鋼管内面腐食が顕在化することがある。 鋼管が腐食した場合,主柱材など応力が作用している部材は取替が容易でないため,鋼管内面にモルタルを充填する工法を適用していたが,重量増が鉄塔や基礎の耐力に影響することがあり,適用範囲が限定されるとの課題があった。 そこで,モルタルより軽量な「発泡ウレタン充填工法」を開発した。 発泡ウレタンは,「軟質ポリウレタンフォーム」「硬質ポリウレタンフォーム」の2種類に大別され,軟質ポリウレタンフォームは,固体の泡が連続した気泡となっているため,腐食因子となる水と酸素などの鋼管内部への侵入を防御できず,本充填工法には適さない。 硬質ポリウレタンフォームは,固体の泡が一つ一つ独立した気泡になっており,腐食因子となる水と酸素などの鋼管内部への侵入を長期に亘って防御することができ,施工現場での発泡が可能であり,接着剤を使わずとも対象物と強く接着した充填物を得られる等により,本充填工法に適した充填材料と考え,本充填工法専用の発泡ウレタン(硬質ウレタンフォーム)を開発した。 発泡ウレタン充填工法は,「注入」「化学反応」「充填」→「膨張」を経て,鋼管内に充填される。 本論では試験鉄塔における実証試験を実施し,現場適用可能であることを確認できた。 |
補修技術 鋼管鉄塔 |
塔体 試験 強度 めっき |
腐食対策 品質管理 発泡ウレタン 施工方法 硬質ウレタンフォーム |
294 |
平成30年 2018年 |
127 |
送電用鉄塔の基礎変位に伴う耐力検討結果検討 |
東電設計(株) 東電設計(株) 東電設計(株) 東京電力パワーグリッド(株) 東京電力パワーグリッド(株) |
相田通武 井上典久 本郷榮次郎 山崎智之 大園智章 |
軟弱地盤などに生じる基礎不同変位は,鉄塔耐力に及ぼす影響が大きいため,その耐力検討は従来,弾性立体解析により実施している場合が多かったが,近年ボルト接合部滑りを考慮した弾塑性立体解析による詳細解析も実施している。今回,以前より検証している可動トルク法等を用いた手法にて,比較的変位量が大きい鉄塔約700基を対象として実施した耐力検討の概要について報告する。今回行ったボルト接合部滑り及び基礎変位と初期不正の割合を考慮した手法は,ボルト接合部滑りのみを考慮した従来法に比べ,耐力不足の鉄塔基数,部材本数が少なくなりコストダウンが図れるとともに,実情の応力状態と合致した合理的な解析が可能になり,今後の既設鉄塔の適格な維持管理に寄与できるものと考えられる。 |
設計技術 診断技術 |
試験 実験 基礎 解析手法 不同変位 |
設計 ボルト接合部滑り 立体応力解析 軟弱地盤 可動トルク法 |
295 |
平成30年 2018年 |
127 |
送電用鋼管鉄塔の主柱材取替のための塔内支柱工法の開発 |
東京電力パワーグリッド(株) 東京電力パワーグリッド(株) 東電設計(株) 東電設計(株) |
山崎智之 土田陽一 安藤正人 本郷榮次郎 |
腐食が少ないと考えられていた鋼管鉄塔の主柱材に内面腐食による耐力上の懸念が生じる事例があり,既設鉄塔の塔体内部に支柱と仮腕金を設置して主柱材を取り替える「塔内支柱工法」を開発した。開発コンセプトとしては,上回線の停止が短期間,移線無し,短工期,信頼性・確実性の高い施工,想定荷重への耐力,限定用地内の工事,大型重機不使用,現場無溶接,実用的なコストが挙げられる。工法の構造は,山形鋼の幅1.5mのシングルワーレントラスで4分割され,C1荷重を仮腕金で伝達し,塔体の4パネルの節点に接続したターンバックルおよびレバーブロックにて支持する。応力解析は,はり要素を用いた鉄塔立体フルモデルにて幾何学的非線形解析を行い,レバーブロックおよび油圧ジャッキはトラス要素の温度応力で模擬した。また既設腕金と仮腕金を接続する治具はソリッド解析を実施した。これらにより機材の仕様を定めた。実規模施工試験では組立完了時は電技高温季荷重,C1腕金取材ボルト取り外し時と主柱材取り外し作業時は地震荷重を載荷し,ひずみ測定と共に施工性を検証した。現地へも適用し,腕金のボルト取り外しから腹材撤去,主柱材取替,腹材戻し,腕金接続まで1日内,実質作業4時間で実施した。 |
施工技術 鋼管鉄塔 試験事例 工事概要 |
塔体 腕金 解析手法 実規模試験 改造 |
主柱材取替工法 幾何学的非線形解析 既設鉄塔 腐食対策 |
296 |
令和 元年 2019年 |
128 |
Tit工法に用いる275kVスリム型鋼管鉄塔の開発 |
東京電力パワーグリッド(株) 東京電力パワーグリッド(株) (株)巴コーポレーション |
山崎智之 土田陽一 石田交広 |
仮ルート設置や包み込み工法による鉄塔建替は用地確保が困難なケースが増えたことから,既設鉄塔の内部に新設鉄塔を構築するTower in tower工法(Tit工法)を考案し,275kVのスリム型のPL鉄塔を対象に検討した。スリム型は充実率が最大0.6程度と高いことから風洞実験にて風力係数,応力分担率,主柱材表面粗度の影響および変動風力のパワースペクトルを求め,風力係数の算定式,設計用受風面積の補正およびPL鉄塔の応力分担率を提案した。またスリム型は細長いことで剛性が低くなることから鉄塔試験を行い動的挙動やPΔ効果を検証した。引き綱法による大振幅自由振動試験では1〜3次の固有周期を求め,ボルトすべりによる減衰定数の変化また等価減衰定数を求めた。起振器振動試験では加振振動数を変化させて得られた共振曲線から1〜3次モードの減衰定数を求め,レーリー型に合うことを示した。また,材料試験による降伏応力度,ボルトすべり,ガセットプレートの剛性を考慮した立体モデルを複合非線形にて解析した結果,鉄塔試験の応力および耐力と概ね良い対応を示した。最後に実規模部分鉄塔による施工性確認試験を行い,既設の八角対辺化,スライドイン・フライシーブ工法また上方でのクライミングクレーン工法の検証を行った。 |
施工技術 鋼管鉄塔 試験事例 工事概要 |
塔体 腕金 解析手法 実規模試験 改造 |
元位置建替工法 風洞実験 減衰定数 複合非線形解析 ボルト接合部滑り |
297 |
令和 元年 2019年 |
128 |
送電用鉄塔部材への粉体塗装 |
(株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション (株)川熱 (株)川熱 |
岡村俊良 黒田清次 水落宣夫 須藤 忠 |
現在,送電鉄塔では防食処理に亜鉛めっきが使用されている。沿岸部などの厳しい腐食環境下では亜鉛めっきが早期に消失することで短い周期での定期的な塗装補修が必要となる。一方で,送電用鉄塔の現場では高齢化が進み将来的に作業員が減少する傾向にある。このことから,送電鉄塔では厳しい腐食環境下でも長期耐候性を有する防食性能が求められている。
本論文では屋外構造物に多く用いられている防食方法の中から高い防食性能を有する粉体塗装を鉄塔部材に適用することを検討した。しかし,粉体塗装作業では部材を高温に加熱するため鉄塔部材の亜鉛めっき面への熱影響が懸念される。また,塗装にはボルト締めつけによる塗膜割れ・はく離が生じない塗膜性能が求められる。
飽和ポリエステル樹脂は14年経過時の屋外暴露試験 (東京都三宅島伊豆岬)で他の塗膜に比べ健全な塗膜が残存した結果があり,20年経過時でも塗膜は健全であったとの報告もある。さらに,鉄塔の組み立てや運搬時に求められる耐衝撃性にも優れている。このことより,本論文では飽和ポリエステル樹脂粉体塗装を選定した。この粉体塗装の塗膜性能試験及び施工などを考慮した適用試験を実施し鉄塔部材への適用可否を確認した。 |
補修技術 |
試験 |
粉体塗装 耐候性 暴露試験 |
298 |
令和 2年 2020年 |
129 |
形態不安定を回避した送電鉄塔の実用的立体解析方法について |
東電設計(株) 東電設計(株) 東電設計(株) 東電設計(株) |
中村秀治 川久保敦雄 本郷榮次郎 太田宏 |
日本国内における送電鉄塔の設計は,立体骨組を平面トラスに置換し,手計算による平面解析の時代を経て,応力算定を平面解析と同じように仮定したコンピュータプログラムを作成して実施している。海外では古くから立体解析による鉄塔設計プログラムが開発され,実用化されている。海外の代表的な立体解析プログラムに“TOWER”があるが,国内で適用する場合,荷重や許容応力などの違いに対応する必要があり,形態不安定を避ける対策が求められることもある。本論文では,まず,鉄塔構造において形態不安定を生じ易い部位と不安定回避方法について考察した後,“TOWER”における不安定対応策の適切な活用と,解析精度について66kv2回線山形鋼鉄塔の解析例を用いて検討する。続いてピン結合のトラス要素を使用せず,すべて剛結合の変断面はり要素を用いる提案法の安定性と解析精度について,上記と同一の解析条件に基づいて検討する。更に,Tit工法を用いる275kvスリム型鋼管鉄塔に対して提案法を適用し,実耐力試験の計測値,及びADINAによる解析値との比較結果も併せて報告する。 |
設計技術 |
解析手法 |
平面解析 立体応力解析 TOWER |
299 |
令和 2年 2020年 |
129 |
「墜落制止用器具の規格」改正について |
藤井電工(株) |
上田光男 |
「墜落制止用器具」には,フルハーネス型と胴ベルト型の二種類があるが,今般の規格改正によりフルハーネス型の使用が原則となった。ただし,フルハーネス型の墜落制止用器具を使用する者が地面に到達するおそれのある場合には,胴ベルト型の使用も認められている。一方,身体の保持用として用いる安全帯(柱上安全帯等)は,ワークポジショニング用器具として分類され,墜落制止用器具を併用しなければならないとされている。本稿では,規格改正の背景,墜落制止用器具の構造・特長及び選定方法に加え特別教育について説明する。 |
その他 |
その他 |
構造と特徴 選定方法 特別教育 |
300 |
令和 3年 2021年 |
130 |
既存送電用トラス鉄塔における重ね継手を有する山形鋼部材の座屈耐力に関する研究 |
(株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション (株)巴技研 |
中村毅 石田交広 井川直大 |
送電用トラス鉄塔などの日本国内の送変電工作物は,電気学会が制定している送電用支持物設計標準(JEC-127)に従い設計されている。山形鋼部材の内,主柱材は(b)(以降,JEC-b カーブ)偏心の比較的少ない構造材に分類されている。一方で,山形鋼主柱材には重ね継手が採用されていて,継手偏心が座屈耐力に与える影響を適切に考慮する必要がある。しかしながら,JEC-b カーブは偏心量をパラメータとして直接反映した設計式となっておらず,その危険性を示唆する研究がいくつか報告されている。近年,既存の送電用トラス鉄塔の構造安全性を再検証する動きが進む中で,重ね継手偏心に伴う付加曲げモーメントを考慮した際に既存軸力部材が保有する実耐力を把握することが求められている。文献では偏心に伴う耐力低下および異サイズ継手を考慮する係数を数値解析的に求め,継手偏心を考慮した弾性域における曲げ座屈耐力を分析し,有効細長比に基づく評価式および設計式を提案している。 |
設計技術 山形鋼鉄塔 |
解析手法 継手 |
重ね継手偏心 曲げ座屈耐力 数値解析 評価式 設計式 |
301 |
令和 3年 2021年 |
130 |
送電用鋼管鉄塔の部材腐食に対する炭素繊維補修技術の適用検討 |
東京電力パワーグリッド(株) 東京電力パワーグリッド(株) 東レ(株) (株)安田製作所 |
山崎智之 大園智章 松井孝洋 高野修一 |
超高圧鉄塔などの規模の大きい鉄塔の部材は,鋼管が使用される場合が多いが,鉄塔製作時の鋼管部材の内面不めっきや経年劣化等が原因と推定される鋼管内部の腐食進行により,部材の減肉や穴あきの発生が確認されることがある。部材の穴あきは,部材の強度低下が著しく,部材取替による改修が望ましい。しかしながら,既設の鉄塔において,部材取換が困難な場所があることや,大きな応力が発生している部材の取替は応力の一時的な解放を要し,電線移線等の大がかりな工事が必要となるため,多大なコストがかかるといった間題がある。また,穴あき部を半割鋼管で挟み込みボルト締結する鋼管バンド補強工法が採用されているが,引張強度の回復ができないことや補強材腐食の懸念が残ることから暫定的な対策に限定されている実態にある。以上の問題に対し,低コスト,短期間で,穴あき鋼管部材の現場での補修(強度回復)が可能となる炭素繊維補修技術について報告する。 |
補修技術 鋼管鉄塔 |
耐力試験 強度 |
腐食 低コスト 短期間 現場での補修 炭素繊維 |
302 |
令和 4年 2022年 |
131 |
山形鋼鉄塔主柱材の山形鋼重ね補強に関する研究 |
東京電力パワーグリッド(株) 東京電力パワーグリッド(株) (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション |
山崎智之 村上慧斗 石田交広 木峻一 |
電力流通設備のレジリエンス強化に対する社会的要請等を背景に,地域別風速やガスト応答評価の導入など,実況に即した耐風設計手法が電技に反映された。また,風荷重で設計された鉄塔は,相応の耐震性能を保有していることから,一般的には耐震設計は省略されてきているが,近年の震災経験を踏まえ,耐震性能の明確化や耐震設計の必要性などの気運の高まりを背景とした鉄塔の耐震基準の検討が進められている。このような耐風・耐震設計基準の改訂による設計荷重の増大に伴い,耐力評価結果に応じて既設鉄塔の改修が必要となる場合があることから,鉄塔部材に対する合理的な補強構造の確立は重要な課題と位置づけられている。腹材の改修については部材取替え工法や補強方法が確立されているが,主柱材の取替えは特殊な施工工法を用いる必要があり,容易ではない。
そこで本研究では,既存の山形鋼鉄塔の主柱材に対して新たに山形鋼を重ねて補強する工法の補強効果確認を目的とし,単材座屈試験・FEM解析・骨組試験を実施し,提案した補強方法は1.1倍から1.6倍の耐力を有することを確認した。 |
補修技術 山形鋼鉄塔 |
試験 強度 |
重ね補強 突き合わせ構造 |
303 |
令和 4年 2022年 |
131 |
鉄塔最下節における冠雪対策結構の適用 |
東北電力ネットワーク(株) (株)巴コーポレーション (株)巴コーポレーション |
遠藤勝行 皆川浩一 廣田勇 |
東北電力ネットワークでは豪雪地域となる東北地方日本海側にも多くの送電設備を持っており,大雪による設備被害のリスクを有している。これまでも鉄塔に雪が積もる冠雪によって鉄塔の部材変形事象が確認されており,冬期間の巡視,鉄塔の冠雪除去や部材補修等の保守に苦慮していた。
鉄塔頂部や腕金付近に冠雪する場合があるものの,超高圧鉄塔においては既に対策され,二次系の規模の小さい鉄塔では,部材が密となっている部位が全体的に覆われるような冠雪となり,部材変形に至る事例は稀であったことから,冠雪対策の適用個所は最下節のみとした。
冠雪対策として,対辺材2か所に突上げ材を挿入することで,対辺材が3分割となり部材長を短くすることができ,少ない部材点数かつ冠雪荷重を考慮しても重量増分が抑えられることから,準ダイヤモンド結構を冠雪対策結構として採用するものとした。
骨組試験により,準ダイヤモンド結構により腹材,主柱材に強度上の問題が無いことを確認し,ブライヒ交点水平材などの座屈補剛材も従来の仕様で設計できることを確認した。 |
その他 工事概要 |
耐力試験 骨組 |
冠雪対策 準ダイヤモンド結構 |